夢かうつつか
「さ、行こうか」
「はい! 今日は何観ます?」
「うーんそうだな……まあ10本は観たいよね」
「っすね」
「でも最後にテリファー2は厳しかったよねえ!」
「あれはさすがに……長すぎました」
「順番が悪かったよね」
「はい。いい加減黒澤の夢は?」
「ああ、ね。観たいけど……あれ絶対寝るよね」
「ま、始めに飲みながらでも」
「そっか。……夢で思い出したけどさ、この間超リアルな夢見て!」
「へえ夢か……俺全然見ないっすね」
「うーん俺眠りが浅いんかな? めっちゃリアルで。って言っても世界はおかしいんだよ? リアルなのは質感で」
「はい」
「匂いとかもわかるし……階段上ったら本当に疲れるの、凄くない?」
「疲れるんすか」
「そう! あ、でさ、これはずっと夢だったのかって迷ってる話があって」
「ほう」
「いや夢ってさどんなに衝撃的でも忘れてくもんじゃん?」
「はい」
「ちっちゃい時の記憶なんだけど、おばあちゃん家で。外だったかな? 立ちションしたらさチンコからゲジゲジが出てきて!」
「ええ?! いや夢でしょ、さすがに」
「まあだよな、普通に考えれば」
「だってやばいっしょ、病院行かなきゃ」
「確かにね。でもずっとこの記憶ある」
「いや夢っすよそれは」
「そっか。怖いな」
「っすね。あ、怖いといえば死ぬ夢ならありますよ、あんま覚えてないけど」
「死ぬ夢か〜! いや俺逆に、殺しちゃった夢ならある」
「え、殺しちゃった?」
「そう、確か、Uさん家行った帰りでコンビニ寄って」
「ほう」
「で、ちょうど君に出くわして」
「アイス買ったんすよね!」
「そうそう、てかこれ夢だから」
「ああ、はい」
「で、最近Iさん見ないっすねなんて言われて俺内心ドキドキで! ほら俺がもう殺しちゃってるから!」
「ああ」
「急いで帰ってさ」
「それ……この間先輩が酔った帰りっすよね?」
「え、ああそういや」
「それ、たぶん夢じゃないっすよ。先輩青い服だったでしょ!」
「え?」