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大将軍バートラムとの死闘

 ローレンツ軍の糧食を奪ったことはドルフ、アジル、バルトの三人が独断で行ったことであり、バートラム将軍本人は未だ知らない。そして、西で大爆発が起きたのを知り、まさに出撃しようとしていた時だった。


 バートラム本陣をエルンスト、ヴェルナー、エミールが隊を率いて一気に後ろから突いたのである。西で起こった爆発に気を取られていたバートラム軍はどこからともなく表れた軍に本陣の兵は次から次へと討たれていき、バートラム将軍を守る兵はすでに数えるほどになっていた。


「将軍!お逃げください!」


「バカ野郎!どこに敵が潜んでんのかわかんねぇのに、どこへ逃げるんだよ!?」


 くそっ!俺がなんとか退路を開かないといかんな。バートラムはオーラを一気に高めて集中させる。


「てめぇら、どいてろおおお!今穴開ける!」


 バートラムの大剣にオーラが集中して輝き始めると、大剣をそのまま横に振り切る。と、同時にオーラによる衝撃波がローレンツ兵たちに迫る。が、当たると思った瞬間、バートラムの放った衝撃波は別の衝撃波により掻き消された。エルンストである。


「バートラム将軍とみた、いざ、尋常に!」


「そういうてめぇは誰だ?」


「アルス隊の部隊長、エルンストだ」


「そうかい。墓石に名前くらいは刻んでやるよ、覚えてたら、なっ!」


 バートラムは言い終わらない内に馬でエルンストに向かって突進をしていた。エルンストは斜め下段から槍を突き上げるようにしてバートラムに放り込む。バートラムが大剣で弾き返すとその勢いを利用して槍を回転、今度は槍の柄で反対側から打ち上げるように(あご)を狙った。バートラムは不意を食らったがそれも弾き返す。


「ぬう、なんだこやつの槍捌きは」


 エルンストはここで突きを繰り出した。バートラムはその突きの軌道を正確に見抜き大剣で器用に軌道をずらしていく。


「さすがはルンデルの大将軍、この程度では討ち取れないか」


「ぬかせっ!」


「ならば速さを上げるまで」エルンストのオーラが大きくゆらめく。すると今度は先ほどの倍の数の突きを繰り出した。バートラムも更なる身体強化によって反応速度を上げて対応していく。



 ガガガガガガガガ!!!!!



 槍と大剣が弾き、擦れ合う。やがて音が重なっていくと、音と音の境がなくなり、まるでひとつの連続音のようになっていく。


「エルンスト!助けはいるか?」ヴェルナーが後方から声を掛けるが、エルンストは「手出し無用!」と言ってそのまま打ち合い続けた。


「わかった!なら俺とエミールは周囲の敵を掃討する。頼んだぞ!」


 バートラムは自らの力で大将軍の地位に辿り着いた。それは巧みな奇襲戦術も評価されてのものだったが、彼本来の力を表すのにはいささか表現が足りていない。彼の強さを表す逸話はいくつもあるが、そのひとつにこんな話がある。


 ある時、バートラムは剣を地面に突き刺し、「抜いてみよ」と兵士に向かって言ったことがある。その兵は両手で柄を掴むと足を踏ん張って、思い切り力を入れて引き抜こうとした。しかし、重すぎてビクとも動かなかったという。バートラムの強さのひとつはとてつもない重さの大剣を軽々と扱う膂力と身体強化にある。


 その大剣の重量を受け止める相手は、打ち合うたびに手の感覚が奪われていく。見た目は軽そうに振っているが、実際の重さはとてつもない。そんな質量の塊が加速された状態で速度エネルギーを伴って降ってくるのだ。まるで天から降って来る岩の塊を打ち返すようなものである。


 バートラムの逸話には続きがある。罪を犯した部下を処刑する前に彼は必ずチャンスをやることにしている。彼が罪人に与える課題は色々あるが、無理難題ばかりだった。そんな無理難題でも罪人は命惜しさに飛びつく。


 その中でもひと際、理不尽とされたのが頭の上の蚊柱を三十秒で全て斬り落とせというものだった。数百匹も頭上に飛んでいる羽虫をたった三十秒で斬り落とすなど不可能である。ある罪人は絶望に頭を抱えながら叫んだ。「あなたに出来ないことを俺が出来るわけがない」と。


 バートラムはそれを聞いて、大剣を持つとゆっくりその罪人の前まで歩いて行った。そこで、立ち止まり、大剣を構える。


 次の瞬間、風を斬り裂く異様な音がしたかと思うと、男の頭上を飛んでいた羽虫は全て斬られて地面に落ちていたという。その間、僅か数秒。


 バートラムを大将軍たらしめているのは、独特の戦術眼に加え、彼のこの異常なまでの動体視力と精密な剣筋あってのものである。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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