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メリア鉱山の野盗退治2

 その騒ぎに気付き野盗たちが次々とテントから出てきて襲撃者がいることを確認すると武器を持って出て来る。エミールは木から木へと飛び移りながらテントから出て来た野盗の足元を狙い撃ちした。エミールが矢の先に結晶石を使用した矢を弓につがえて放つと、美しい青い光を放ちながら野営地に飛んでいく。その矢が地面に突き刺さるとたちまち野盗の足元は氷で固められていき、地面もろとも氷結してしまった。


 同時にガルダも飛び出て行く。野盗は襲撃犯が少数だとわかり一斉にガルダに向かって突進したが、ガルダが振るった戦斧の一振りで次々と吹き飛ばされていく。エミールが放つ矢で身動きが取れなくなり、ガルダの圧倒的な力であっという間に野盗たちは倒されてしまった。


「さて、これで制圧出来たわけなんだけど、どうしたらいいだろうか?」


「アルスさまは出来るだけ死人は出さないように言ってたから、脅しておけばいいんじゃないですかな?」


「そういうことなら、ガルダの出番だね」


 面倒くさい役回りを丸投げされたなぁとガルダの顔に書いてあったが、やらないわけにもいかずガルダは倒れている野盗のリーダーを見つけると大声で叫ぶ。


「おまえがこの野盗の首領であるな?」


「くそっ、だったらどうだというんだ?」


「この地に二度と近づかないというなら殺さないでおいてやる。どうする?」


「へっ、随分優しいじゃねぇか」


 そう言いながらその首領はガルダの死角になる位置で足に括り付けたナイフを手で握りしめ、部下に目で合図をした。部下がわざと大きな音を立てるとガルダは一瞬そちらを目を向ける。その一瞬の隙をついて首領はナイフを足から外し、ガルダの首めがけて投げる。シュッという音と共にナイフはガルダの首に回転しながら飛んで行ったが、ガルダの首元まで飛ぶとバチンっという音がしてナイフは弾き飛ばされてしまった。


「は!?」


 首領は訳が分からないといったような顔をした。起死回生だったはずの投げナイフは確かにガルダの首を捉えていた。それが直前で見えない壁でもあるかのように弾き返されてしまったのだ。目線を戻したガルダは一言、その首領に向かって言った。


「それが答えであるな」


「うぁぁぁあああ!!!」


 剣を持って突進してきた首領に対して、ガルダは慢心の力で戦斧を振りぬく。彼の振りぬいた戦斧は首領の身体を真っ二つにするだけでなく彼の周囲の木も根こそぎ切り倒してしまっていた。



 ズ、ズズーーン・・・・・・



 周囲の切り倒された大木が一斉に倒れていく。それを見た野盗たちの顔色は青ざめ、彼らが相手にしてるのは化け物だとその時初めて悟ったのである。ガルダは大声で野盗たち全員に向けて叫んだ。


「お前たちの首領は討ち取った。もしまだ歯向かうのであればこうなるであろうよ」


そう言うとガルダは戦斧の柄を思い切り地面に突き立てた。


 ドンッ!!!!!という地響きと共にガルダの突き立てた戦斧を中心として放射状に地面に亀裂が入っていく。地面が波打って地震のようにグラグラと揺れる地面の上で野盗たちは悲鳴を上げた。地震が収まると副首領と名乗る野盗の一人が命乞いをし、二度と近づかないとガルダに約束した。


 エミールとガルダは副首領に案内させ採掘した残りのアダマンティウム鉱石を回収して木箱に詰めた。そこで改めて二度とここには近づかないように脅して野盗たちを追っ払った。兵士たちに野盗を衛兵に突き出してはどうかという話もあったが、目立たないほうがいいだろうとガルダが主張したこともあって、再び集団を作らせないようにその場でバラバラの方向に離散させる。


 数か月後には各地で「メリア鉱山には魔人が住み着き人を食らっている」という噂が立ったが、野盗たちの話に尾ひれがついたのだろう。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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