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最弱国の魔素無し第四王子戦記(無限の魔素と知略で最強部隊を率いて新王国樹立へ)  作者: たぬころまんじゅう
第五章

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新たな取り組み

 ギュンターが唸った。


「なるほど、さすが軍師の読みだな。戦術は見事だったが、戦略の大局を見誤った、というところか。帝国のヴラディスラフ皇帝は、静観を装いつつ機会を待っていたと考えると、頭がキレるな」


 アシュが苦笑しながら言った。


「ガーネット教の誓いの騎士団も、決して弱くはないはずだ。ルイスが強かったというのもあるが、やはり、レジスタンスの働きも大きいんだろうな。だが、この和平でマルムートはバ・ローズ州を確保した。両国とも痛み分けで、しばらくは大人しくしててくれればいいんだが・・・・・・」


 アシュの言葉に全員が頷くのであった。




 パーティーの中心では、アルス、ミラ、ニナ、マリア、ベルトルト、アントンらが集まり、シャンテ・ドレイユの進捗について話し合っていた。ベルトルトがまず口を開く。


「運河の掘削は、予定より早く8割が完了しました。魔素水とベルトコンベアのおかげで、土砂運搬の効率は当初の予想を上回っています。広場の舗装も6割が終了し、貴族用宿泊施設はすでに外壁が立ち上がり、ファニキアガラスの窓の設置も始まっています」


 それを聞いてアントンが顎をさすりながら、いつもの豪快な口調で補足する。


「工房も稼働中で、モジュール工法用の部品生産が順調だ。滑車式クレーンの運用も安定し、建築速度は当初の三倍に達している。だが、問題もあるんだよな」


「問題?」


 アルスが眉を上げると、アントンが苦笑しながら続けた。


「他商会の区画です。土地の貸し出しは順調で、ゴドアやルンデルの商会がすでに建物の着工を始めてる。だが、複数の商会から工房建設の要請が殺到していて、資材と労働力の割り当てが追いついてない。特に、ファニキアガラスの生産を優先しているために、工房の拡張が遅れているんですよ」


 ミラが腕を組み、鋭い視線で尋ねる。


「資金面はどうなっているんじゃ?このペースでの建設は、相当な出費のはずじゃがの」


 ニナが即座に応じる。


「資金は、ゴドアの王室からの出資と、ファニキアガラスの売上で賄っています。ゴドアのハサード王が献上品に感動し、追加出資を申し出てくれたのが大きいですね。ガラスの売上も、貴族や教会向けの高級品を中心に好調です。特に鏡と香水瓶が、ゴドアで爆発的に売れています」


 ニナの話を聞いていたマリアが付け加えた。


「ルンデルとローレンツでも、ファニキアガラスの評判が広まっています。鏡は特に貴族の夫人たちの間で『美の必需品』として流行中です。ステンドグラスも、イシス教の教会から大量の注文が入っていますし」


 アルスは頷きながら言った。


「それは心強い。だけど、工房の拡張が遅れると、ガラス生産のペースが落ちる。ブランドの希少性を保つため少量生産を続けているとはいえ、需要がこれだけ増えるなら、供給体制を見直す必要がありそうだね」


 ベルトルトが頭を掻きながら言った。


「工房の拡張を急ぎたいですが、資材不足に加え、熟練した職人が足りないんです。商会用の工房建設も進めたいですが、優先順位をどうつけるか・・・」


 アルスは一瞬考え込み、穏やかに提案した。


「なら、モジュール工法を商会用の工房にも応用しよう。規格化された部品を共有すれば、資材の無駄を減らし、建設速度を上げられる。職人不足については、短期的な訓練プログラムを組むのはどうかな?熟練度は低くても、モジュール工法なら単純作業を分担できる。ガラス生産の職人は別枠で確保しつつ、他の工房建設は新人を投入する」


 アントンが目を輝かせた。


「なるほど!部品の共有なら、鍛冶師の負担も減る。訓練プログラムも良いアイデアです」


 ミラも満足げに頷く。


「なら、その方針で進めよう。商会からの工房要請は、土地貸し出しの収益をさらに増やすチャンスでもあるしね。シャンテ・ドレイユを、交易の中心地として盤石なものにするんだ」


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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