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最弱国の魔素無し第四王子戦記(無限の魔素と知略で最強部隊を率いて新王国樹立へ)  作者: たぬころまんじゅう
第五章

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ミラ軍団の小さな軍師

 その日の夜、マーセラスは兵7000を連れて北の補給庫の防衛に動いた。その動きをいち早く察知したのは、ミラが放った斥候兵だった。報告を受けるとミラはニヤッと笑う。


「ようやく動いたようじゃの」


「ミラさま、エルザにも報せますか?」


 執事であるシャルの提案にミラは首を振る。


「あんなんでも、一応、軍師なんじゃ。そんなことせんでも、掴んでおるじゃろ。どちらにせよ儂らの出番はもう少し先じゃな」


「そうですね」



 同時刻、エルザにも報告がもたらされる。


「山が動きましたね。ジャンさんとサシャさんを呼んでください」


 しばらくして、ジャンとサシャがエルザのいる天幕に顔を出す。


「ヤッホー♪来たよ~?」


「うまくいったか?」


「はい」


 エルザはニヤリとしてジャンの問いに答えた。


「で、次はどうしたらいい?」


「はい、ジャンさんには騎兵を連れて川の浅瀬を渡ってもらいたいんです」


「川を渡る?」


「あたしんとこは馬持ってないよ?」


 エルザは慌てて説明を追加した。


「サシャさんは、弓兵の一部を連れてジャンさんの援護をしてもらいたいんです」


「あー、なるほど。つまり敵軍の斥候兵がいたら倒せば良いのね!」


 エルザは首肯して続ける。


「敵部隊は東側にある川を背にして陣を敷いてますが、今までマーセラス将軍がいたので動けなかったんです」


「てことは・・・・・・、奴は動いたのか!?」


「北の補給庫に向かいました。彼がいない今なら動けます。川を渡って、敵の陣の後ろを取ってもらいたいんです」


「ふふふ、そいつぁ面白ぇ話だな。ラヴェルーニュの作戦を思い出すぜ」


「あの時も、ジャンさんとリザさんの騎馬隊で敵の後背を取りましたものね」


「よし、今回も任せとけ!」


 エルザから説明を受けたジャンは、騎馬兵6000を引き連れ、闇に紛れて南経由で川の浅瀬へ向かった。サシャは最精鋭の弓兵500を率いてジャンを援護、ヘルセの斥候兵を排除する。さすがに、サシャが選び抜いた精鋭の弓兵で、一兵たりとも討ち漏らすことはなかった。霧が川面を覆い、馬の蹄音を隠す。ジャンは浅瀬を渡り、無事、川の東側に到達した。


 朝陽が昇り始めると同時に、丘陵ではフランツ、エヴァールト、サシャが一斉に本格的な攻撃を開始する。フランツ、エヴァールトは普段の攻め方と違い苛烈を極めた。


「ドルフ、今日で決めるぞ。おまえは俺から出来るだけ離れてピエトロ軍の南側から突っ込め!」


「了解っす。フランツの兄貴はどうするんで?」


「俺はピエトロの中央を限界まで近づいて圧力をかける。エヴァールトが北のカロ軍を攻める間に、サシャが連携をぶった切る。合図が出たら、全力で突撃だ。ぬかるなよ!」


「了解っす!」


「俺が合図を出したら全力で突撃しろ」


 ドルフは頷くと、兵を連れてピエトロ軍の南側——側面から攻撃を開始する。ピエトロ軍は1万1000の兵数だが、ここにはマーセラスが残した8000の予備兵もいた。


 兵数はサシャ5000,フランツ9000,エヴァールト8000。対してカロ1万5000,ピエトロ1万1000に加えて予備兵8000。兵数ではヘルセが圧倒的だが、エルザの策は数を超えた。



 ドルフもフランツも敵軍に近づけば矢の雨が飛んで来る。これを出来るだけ分散させつつ、敵の意識をサシャに向けさせないように、ギリギリの距離で牽制を続ける。サシャは高台で敵の陣をじっと観察していた。


「さ~て、エルザの言ってた連接点ってのはあの辺かな?」


 サシャはカロ軍とピエトロ軍の連携を取るために作られた、陣と陣の連接点に狙いを定める。


「今まで大人し~くしてたからね。ちょっと今日はサシャさまの本気を見せちゃうよ~♪」


 サシャは、振り返って弓兵たちに号令を出す。


「弓兵諸君!今までテキトーにやってきたけど、今日はガチだ!こっから敵陣まで700トゥルクある。奴ら届かないと思ってるだろうね?だけど、サシャ弓隊の高台射撃がど~んなにヤバいか、あたしたちの強さをヘルセの亀さんたちに教えてやろうじゃないか!」


 弓兵たちは体内で魔素を練り上げ、身体能力を一気に強化する。弓を引き、角度をつけて空へ放った。空を埋め尽くすほどの矢が放物線を描き、驚異的な飛距離で連接点に降り注ぐ。落下の加速で威力を増した大量の矢は、ヘルセ兵を次々と貫く。


 サシャは、その様子を注意深くじっと見ていた。即座に対応して、指示を出す者の存在を見極めていた。ひとりの兵士が指を差しながら盾を掲げるように指示を出す。

 

 それを見た瞬間、サシャの身体に一気に魔素が流れ込み、オーラが身体から立ち昇る。他の弓兵と違い、サシャは弓を上空へ向けず指揮官を直接狙う。巨大な弓の弦を限界まで引くと、一気に解放した。


 槍ほどもある矢は、唸りを上げなら風を切り裂き一直線に指揮官の胸を貫く。サシャは小さくガッツポーズすると、叫んだ。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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