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最弱国の魔素無し第四王子戦記(無限の魔素と知略で最強部隊を率いて新王国樹立へ)  作者: たぬころまんじゅう
第五章

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ゴットハルト王の歓待

「なんだおまえ、まだ言ってなかったのか?」


「すみません、少し驚かそうと思ったのですが・・・・・・」


「そこは隠さなくていいだろ。相変わらず、おまえは変なところでズレてるな」


「なぁ、そろそろ教えてくれよ。なんで俺たちをここへ招いたんだ?」


 フランツが今までの疑問をぶつけるとゴットハルトがそれに答えた。


「久しぶりだな。和睦のとき以来か。実はな、先日アルトゥース陛下の使いからゴドアと国交を結ぶ話を聞いてな。俺たちもゴドアと経済交流を深めたくてな」


「つまり、貴国からも使者を派遣するということですか?」


 ジェルモがフランツの問いに被せると、ゴットハルトは笑いながら頷いた。


「そういうことだ。まぁ、あとの話はなかで話そう」


 そう言いながら、ゴットハルトは巨体を屈めて小さなドアを潜って部屋に案内した。部屋は普通の家の部屋ほどしかなく、そこには小さなテーブルにこれでもかというほどの料理が所狭しと並べてあった。酒瓶はテーブルに乗り切らなかったのか、床の上に何本も置いてある。


「こんな狭い部屋でわざわざ・・・・・・・」


「堅苦しいのは好きじゃねぇんだよ」


 アンリが改めて不満を呟くとゴットハルトが背中越しに反論する。


「ははっ、それは俺も同感だぜ。こういう隠れ家みたいなほうがむしろ落ち着くわ」


「はっはっは!わかってるじゃねぇか。なぁアンリ、男はみんなこういうもんよ」


「人によると思いますけど・・・・・・」


 全員がテーブルに着いて六人、ゴットハルトがジョッキに注がれたエールを片手に叫ぶ。


「ファニキアとルンデルの発展を願って、乾杯!」


 乾杯を済ませたゴットハルトは椅子に座ると、途中で止まってしまっていたお互いの紹介を始めた。ゴットハルトの左隣にいるのがエヴァールト・フォン・バイエルライン将軍、右隣にいるのがアンリ・ファルク将軍。ふたりともまだ若いが、ゴットハルトによって抜擢された人材である。


「まぁ、簡単に言えばエヴァールトは武の担当。アンリはこの国の頭脳ってところだ」


「それで、ゴドアに使者に行かれる方というのは?」


「このふたりだ。能力は申し分ないんだが、コイツらはまだ経験が足りない。見分を広げるためにもゴドアに一緒に行かせてもらいたい。本当はジャックの奴も行かせてやりたかったんだが、あいにく別任務についていてな」


「おっさんは行かないのか?」


 フランツがいつもの調子で話しかけた途端、エヴァールトが骨付き肉をビシッとフランツに向けて叫ぶ。


「陛下と呼べよ!」


「あ、わりぃ。ついな」


 それを見たアンリとソフィアがクスクス笑ってるのを睨んだが、骨付き肉を振りかざしても、どうにも格好がつかない。


「はっはっは!まぁ、いいじゃねぇか。俺は気にせんよ、こういう場所にしたのもざっくばらんに話したかったからだしな」


「そうか。で、ゴットハルトは一緒には行かないのか?」


「無理だな、俺は世間的には王位簒奪者と見られてる。俺が国を離れた隙に何が起こるか予断を許せない状態だ。そんな状況だから、今はまだ国内をまとめるので精一杯だな」


「アルスも似たようなこと言ってたな」


「アルスというのは、アルトゥース王のことか?」


 ゴッドハルトの問いにフランツが頷きながら続けた。


「あいつは親しい奴にはアルスと呼ばせてるんだよ。どうにも自分の名前が好きじゃないみたいでな」


「ほぉ。なら、俺もアルスと呼ばせてもらうとしよう」


「は?なんであんたが?」


「はっはっは!ルンデルとファニキアはどのみち協力しなきゃ生き残れないからな」


「ということは、やはり貴国周辺にもキナ臭い動きがあるということですか?」


 ジェルモが気になっていた疑問をぶつける。ルンデルも前国王の悪政で相当に国力が落ちてしまっていた。ゴットハルトが王座に着いたということは、同時に3大商業ギルドを敵に回したということを内外に示す。その質問を聞くなりゴットハルトが髭を指で引っ張りながら厳しい表情を見せた。


「正直、3大ギルドの連中の動きが読めないのが一番厄介だ。奴らは独自の軍事力を持たない代わりにありとあらゆるところに資金を投入してやがる」


「今のところ、私たちが最も警戒しているのは隣国のヘルセなんです。最近は軍事的な衝突は起こってないので、すぐにどうということはないと思うのですが・・・・・・」


「私はざっと資料を見ただけですが、3大商業ギルドはヘルセにも相当出資してますわ」


 ソフィアの反応にアンリの表情が変わった。


「凄いです・・・・・・!よく見てますね!?そうなんです、ヘルセはルンデルより遥かに国土も国力もあるので。正直、今ぶつかりたくはないですね」


「それにしても嬢ちゃん。その歳でその知識と見識、たいしたもんだな」


「コイツはうちの国の頭脳で、交渉担当だからな」


「どうだ、うちのアンリと交代してこっちで働かねぇか?」


「ちょ!?何言ってるんですか!」


「はっはっは!冗談だ」


※ソフィア:リヒャルト伯爵の姪で天才少女。アルスに仕える。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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