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再会2

 リースがそのことを話した途端、リヒャルトとフリッツが同時に割り込んでアルスに尋ねた。結局、ふたりとも聞きたかったのは、どうやってあの城を落としたのか?である。アルスは、それを見て笑いながら答えた。


「それが出来たのは、ここにいるみんなのおかげだよ。特に、ミラ侯爵と魔女の騎士団の助けが無ければあそこに辿り着くことすら出来なかった」


 それを聞いて、「そうじゃ」とばかりにミラは大きく頷いた。


「ミラ侯爵、あなたの決断で我々は助かりました。あなたにも大きな借りが出来てしまいました」


 リヒャルトがそう言うと、アルスが続けた。


「ミラ侯爵、こちらのリヒャルト伯爵はソフィアの伯父にあたる人なんだよ」


「ほぅ?ソフィアの伯父じゃと・・・・・・。ぜんっぜん似とらんなっ!どうやったらあんな可愛い姪が出来るんじゃろうな?」


 言われたリヒャルトは苦笑いするしかない。以前にも誰かに言われたような気がしたが、誰に言われたかは覚えていなかった。アイネにも以前同じことを言われたと思い出したのは、ずいぶん後になってからだ。その後アルスとミラからアルル城攻略の詳細を聞いた三人は驚きつつも、今後の動きについて話題が移っていく。


「問題は、ヴァール城にいる陛下と、どう連携を取るかだと思うのですが」


 フリッツが机上の地図を睨みながら、周囲に疑問を投げかける。アルスは、フリッツの疑問にすぐに答えた。


「連携を取る必要はないと思う。フリードリヒ兄さんなら敵の動きに合わせて柔軟に対応出来るからね。それと、こちらに向かって来ている敵軍の数は4万以上という報告が来てるんだ」


「4万!?総数は5万だと聞いていたが?」


 フリッツが驚きの表情でアルスに聞き返す。包囲していた軍の総数が5万であれば、1万が城に残った計算になる。しかし、実際は攻城戦で死傷者数は相当出ているはずだ。それを加味すれば多くて5000前後の兵数で城を警戒しているということになる。


「それともうひとつ。王家の旗が掲げられてることからラザール国王直々に兵を率いている可能性が高いんだ」


「ついにあのブタが出てきおったか!」


 ミラは右手でグーを作って、左の掌に打ち付ける。それを横目に見ていたアルスはミラに尋ねた。


「ミラ侯爵、ラザール国王は戦上手なの?」


「ハッ!上手なもんか。奴の考える戦術なんぞ、そのへんの子供のほうがよほどマシじゃ」


 そのやり取りを見ていたエルザがおずおずと手を挙げる。


「あの、ミラさまの言う通りです。ラザール王の戦は凡庸を下回ると思います」


「つまり、ブタに指揮官任せたほうがマシだってことじゃ!」


「私、そこまで言ってませんよ?」


 エルザが苦笑いしながら、やんわりとミラの意訳を修正する。


「同じことじゃ。それに儂とアルス殿下が相手じゃぞ?勝負にもならんわ」


「あの、失礼ですがそちらの方は?」


 リースが聞いているのはエルザのことだろう。見た目はただの少女が、軍議に当たり前のように参加しているのだから驚くのも無理はない。しかし、実際はソルシエール・シュヴァリエのひとりであり、ミラの軍師だ。


「コイツは儂の軍師でアホの子じゃ」


「・・・・・・え?」


 ミラの紹介にリースだけじゃなくリヒャルトやフリッツの目が点になっている。


「酷いですよミラさま~!私の軍師としての威厳が・・・・・・」


「貴様が威厳なんぞ求めるなっ!だいたいしょっちゅう何もないところでコケまくりおって。アホの子じゃわ」


「はははっ、ずいぶんと変わっ・・・・・・いや、賑やかな陣営なのですね」


 リースがなんとなく哀れむような目でエルザを見ている。それを感じたのか、エルザが突然強い口調でアルスに詰め寄る。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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