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再会

 それから数日後にもたらされた情報は、ラザールにショックを与えるに十分な内容だった。もたらされた情報というのは、マクシミリアン軍の壊滅である。食事中であったラザールはその報せを聞いた瞬間、持っていたフォークを落としてしばらく呆然とした。


 マクシミリアンに責任を取らせるつもりだったラザールは、責任を取らせる相手も怒りをぶつける相手も失う。しばらく呆然自失としていたラザールであったが、食事を切り上げて指示を出した。


 すなわち、イヴニール奪還である。これに対してクロード・バルタザール伯爵は提言という形でラザールに進言した。真正面から異議を唱えれば殺されるからである。


「陛下、イヴニール奪還に向かうとお聞きしました。それならば、このクロードをヴァール周辺に置いていただけませんか?」


「なぜだ!?まさか怖気づいたなどと言うのではあるまいなっ!?」


「いえ、そうではありません。ですが、万が一でも背後を取られるようなことがあるといけません」


 ラザールは右手の指でヒゲを捻じりながら、提言したクロードを野良犬でも見るかのような目で見ていた。そして、しばらく考えるとニヤリと笑って口を開く。


「あい、わかった。貴様の兵は1万5000だったな?」


「城攻めで消耗し、現在は1万3000です」


「なら3000やる。それで背後を守れ」


 クロードは驚きで目を見開いた。ヴァール城に籠る敵は1万5000近くはいる。全軍で城を打って出るかはともかくとして、それをたったの3000で凌げというのか?


「へ、陛下、お言葉ですが・・・・・・」


「なんだ、貴様が提言したことであろう?よもや、今さら撤回するなどとは言わぬであろうな!?」


 クロードは、ラザールの圧の前に何も言えなかった。それから二日後、準備が整うとラザールと王太子ドミニクはクロードから1万の兵を引き剥がして南西にあるシャトンに向けて出発した。


 シャトンは、アルスたちが戦ったラヴェルーニュから北にある小さな城塞都市である。しばらく進軍を続けていると、斥候に出ていた兵士が戻って来た。


「報告いたします。シャトン、既に陥落しております」


「はぁ!?どういうことだ、詳しく話せ!」


「はっ、城壁の旗はローレンツ王家とシャルミール州の旗になっており、シャトンの周辺にも軍が陣を敷いております」


 ラザールの怒りはここでもまた爆発する。


「庇護下に置いてやった小国の分際で、我が領土を侵すというのか!それに、シャトンの民衆は抵抗もしなかったのか!?」


「父上、どうしましょうか?」


「決まっている、まずはシャトンだ。そこを落とす」




 アルス・ミラ連合軍の動きはどうだったのか?アルスはレバッハとの連絡を密に取りながら行動をしていた。ラヴェルーニュの戦いで勝利したアルスとミラは、そのまま北の城塞都市シャトンに進軍する。


 小さな城塞都市であるシャトンは、城兵のほとんどがレバッハ包囲戦に駆り出されていた。そもそもここが戦地になるなど想定されていない。アルス・ミラ連合軍の奇襲攻撃に少数の城兵が耐えられるわけもなく、敢えなく陥落となった。


 その後レバッハから出たリヒャルトたちとシャトンで合流を果たすと、連合軍は3万を超える大軍となる。リヒャルトを始め、リース、フリッツたちと再会したアルスは、懐かしさすら感じていた。


「殿下!改めて感謝いたします。我々は殿下に命を救われました」


 リヒャルトがアルスの手を取って、やや大袈裟じゃないかと思うくらい深くお辞儀をする。その後ろにいたリースとフリッツもリヒャルトにあわせてお辞儀をした。


「アルトゥース殿下、聞きましたよ。バートラム戦のときも私は驚かされましたが、今度ばかりは戦史に残る偉業を達成されましたね!まさか、あの難攻不落のアルル城を制圧されてしまうとは!」


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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