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ラヴェルーニュのたたかい6

「ガルダ殿!いったん、退きましょう」


「そうですな。隙を作ります」


 ガルダのオーラが戦斧に集束すると、柄にはめ込まれた刻印石が青く輝き始める。その戦斧を一気に地面に叩きつけた。


「グランドクラッシャァァァァァァ!!!」


 大地に亀裂が入り、グラグラと揺れ始める。


 ガルダの周囲にいた兵士たちも立っていることが出来なくなり、地面に手をついた。


「今ですぞっ!」


「助かります!」


 その隙にふたりは重装騎士団の後ろに戻る。戻ると、ふたりとも息が上がっていた。


「さ、さすがに、ふたりだけで攻撃に出るのは辛いですね」


「ここの騎士団の人たちは、攻撃参加はされないみたいですな」


「壁役としての役割があるからじゃないですかね。こっちはガストン将軍もいないですし、派手な攻撃は私たちの役割ってことなのかもしれません」


「なるほどですな。まぁ、こんな感じでボチボチやりますかな」


 ベルは、ガルダの言い方に笑った。怪訝な顔をして見るガルダに慌てて説明をする。


「いえ、以前のガルダ殿ならそのまま突っ込んでいたでしょうと思ったんです」


「はははっ、そういうことですか。確かに。でも、さすがにバートラム将軍との戦いで凝りましたからな」


 ガルダはバートラム戦でひとりで突っ込んで部下を死なせ、自身も死に目にあっている。そのことを思い出していた。あんなバカな真似は二度としたくない。



 ガルダやベルから壁と言われた重装騎士団は、壁として中央の前線部隊でもっとも効果を発揮した。マクシミリアン軍は二倍の数で圧力をかけ続けるも、中央突破を出来ないでいた。


 前線が動かない、おまけに左右からは重装騎士団に壁を作られ後背からはジャンとリザに突かれる。こうしてマクシミリアン軍はどんどん密集していった。ポッツォ将軍にとって、もっとも誤算だったのは密集した軍の中央では身動きが取れないどころか、外側で何が起こっているのかすらわからないことだった。軍の表面だけがひたすら削られていくのだ。それを打開するには中央の一点突破しかない。


「何故動きが止まった?何をしてる!?突破しろ!」


「将軍!前線が押し返されてます」


「何が起こってる!?」


「それが、各所に重装騎士が配置されているようで、それが要石のように効いているそうです」


 そうしたやり取りをしたばかりだった。その直後、前線の兵士たちが吹き飛び始める。ここでアルス含め、部隊長たちも全面攻勢に出ると様相は一気に変わった。アルスがオーラを練り上げた斬撃を飛ばせば、ギュンターとヴェルナーは縦横無尽に敵兵を斬り裂いていく。


 マリアが無数の氷柱つららを生成する横で、パトスは敵兵の間を縫うように走り抜けながら、斬って斬って斬りまくった。そして時折、巨大な衝撃波が前衛の兵士たちを吹き飛ばすのである。


 アルスは敵が死兵にならないように包囲の出口を後方に作る。逃げ場が無ければ敵兵は死に物狂いで戦いを挑む。それを避けるためだ。そのおかげもあって時間が経てば経つほどに、包囲の輪はかなり小さくなっていった。



 くそっ、くそっ、くそっ!ニコラ伯爵もロシュもマルードもやられた!なんだあの化け物みたいな連中はっ!?あいつらをなんとかせねば!


 総大将ポッツォは包囲の輪が縮まっていることに焦りを隠せなかった。


「将軍!敵の総大将であるアルトゥース王子が三度目の降伏を勧告していますが、いかがいたしますか?」


「しつこい!却下だ。勝つか死ぬかだっ!武人が戦場で死ぬのは名誉なことだ」


「しかし、公爵さまは・・・・・・」


「公爵には報告せんで良い。俺が総大将だ、俺の指示に従っていれば良い」


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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