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ラヴェルーニュのたたかい4

 リザの号令によって2000の騎馬隊が一斉に動き出す。今度は、相手の左翼騎馬隊もリザの突撃に合わせて前進し始めた。リザ率いる騎馬隊は、マクシミリアン軍の歩兵部隊と連合軍が組み付いている横を通り抜ける。


 こちらも丘陵地帯が南側にあるため、騎馬隊は身動きが取れない。そこにリザは突っ込んだ。馬と馬とが交錯し入り乱れると、あっという間に混戦状態に陥った。リザ自身は混戦状態のなかでも、敵兵を斬り倒していく。


 やがて、マクシミリアン軍の最後の戦列の歩兵部隊が通り過ぎ、スペースが空いた。左翼騎馬隊を率いていたジュレはすぐに指示を出す。


「よし、まずは機動力を確保する!移動しながら戦うぞ」


 その空いたスペースに敵の騎馬部隊が雪崩れ込もうとした瞬間である。


「そうはさせるかってんだよ!」


 左翼側にいたはずのジャン将軍が、敵軍左翼の騎馬隊を背後から突いた。


「ジュ、ジュレさまっ!て、敵軍です、敵の騎馬隊が背後から!」


「なっ、いったいどうなってんだ!?」


 全く予想していなかったジュレ率いる左翼騎馬隊は、この一撃が大打撃になった。ジャンはオーラを薙刀に集束させて一気に敵の背後に放つ。それを皮切りにジャン騎馬隊は、ジュレ騎馬隊の背後から縦横無尽に斬り裂いていく。それを見て、リザも檄を飛ばしながら攻勢を強めた。挟撃されたジュレ騎馬隊はみるみるうちにその数を減らしていく。



 先陣を切るポッツォ将軍を中心に、アルス・ミラ連合軍の中央はどんどん押されていった。


「いいぞっ!敵軍は崩れてる。このまま押し込めぇ!!」


 先陣からポッツォ将軍の激が飛んだ。元々三日月型に出っ張っている陣形である。それが押し込まれていくと、平坦な普通の陣形に戻り、さらに押し込まれると鍋の底のようになった。


 その間にマクシミリアン軍は自然と中央へ中央へと圧力が集中していく。第二第三戦列も入り乱れて、吸い込まれるように中央に突っ込んで行った。レーヘ軍が押し込んだ距離は相当長い距離になる。この事実がレーヘの将軍たちをおおいに錯覚させることになったのだった。


 これこそアルスの狙っていた展開である。とはいえ、中央にかかる敵軍の圧力は凄まじいものがあった。たびたびヴェルナーやギュンターが、時にはアルス自身も前線に立って敵の圧力を緩和しなければならない。更に陣形は押し込まれていくと、両翼に待機していた重装騎士団が現れた。


 この時点でガストン率いる重装騎士団は一歩も動いていない。当然、敵にも見える位置にいるのだが、これに敵軍が気付くことは無かった。アルスの誘導により、中央に敵軍の意識が集中しているため、外側まで意識がいかないのである。この状況をじっと上から見ていたミラは右手を挙げた。


「今じゃ、ガストンに合図を送れ!」


 ミラの指揮で丘陵地帯から旗が振られると、ガストン率いる重装騎士団が両翼から中央へと動き出す。こうして大きく凹んだ中央歩兵部隊の両翼から重装騎士団が圧力をかけ始めた。ここで初めてジョゼはアルスの狙いに気が付き始めた。


「なんだ、いったい何が起こっている?左右の敵はどこから現れた?」


「わかりません、我々もこの位置からでは・・・・・・。いったい何が起こってるのか?」


「先陣は本当に押し込んでいるのか?」


 ジョゼがおかしいと気付いたのは、両側から重装騎士団により圧力をかけられて密集隊形になってきていたからだ。もし味方が敵の前線を抜けているのならば、前へと流れる。それがピタッと止まったのだ。

いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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