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イヴニール攻略戦 城門前の攻防戦

 城兵が攻城塔に集まって武器を弓から槍や剣に持ち替える。近接戦闘にもつれ込んだときのアルス軍は無類の強さを発揮する。パトスとギュンターは衝撃波を飛ばすと、一気に距離を詰めて集団に斬り込んでいった。


 アルスは飛び込みざまに、オーラによる斬撃を飛ばす。水平に光る一直線の光の筋に前衛の兵士たちは斬り裂かれた。


 隣にいるリザはアルスの技のキレに目を奪われるも、瞬時に切り替えて敵兵の群れの真ん中に飛び込んでいく。ハルバートで衝撃波を上から叩きつけると、衝撃の中心から円を描くように兵士たちが吹き飛んだ。着地した瞬間には、両手に持った短剣に持ち替えて急所を突きながら城兵たちの間を縫うようにして走り抜けている。


 こうして瞬く間に東の城壁を制圧していき、アルス・ミラ連合軍の兵士たちは続々と東の城壁から内部に侵入していった。



 スラスたちは、東の城壁を目指して走っていた。しかし、辿り着く前に攻城塔が城壁に取り付いているのを兵士が確認する。


「スラスさまっ!東の城壁は制圧されたようです」


「見ればわかる!おまえはそのまま半分の兵を率いて東を奪還しろ。俺は城内に入ったネズミを叩く!南の城門を開けられたら終わりだ」


「はっ、ご武運をっ!」


 スラスは兵を率いて南城門前に到着すると、防御陣を敷きながら急いで指示を出していった。


「万が一を考え、城門前に拒馬槍を二重に並べろ!」


 シャルミールの魔女相手にこんなもん何の役にも立たないかもしれんが・・・・・・。くそっ、運が無いとこんなものか。スラスが城門前を固めていると、東から走ってきた兵士が叫んだ。


「スラスさまっ、来ます!」


「来たか」


 スラスが見ると女騎士が兵を引き連れ、短剣で兵士を薙ぎ倒しながら迫って来ていた。


「弓隊、先頭の女騎士を射て!あいつがリザ将軍だ!」


 兵士たちは無我夢中で先頭を走るリザ目掛けて矢を射かける。リザは飛んでくる矢を何本か躱して横っ飛びに飛んだ。今度は城壁を横に走りながら、さらに飛んでくる矢を壁を蹴って一回転しながら地面に着地して走り続ける。その光景を見て兵士たちは唖然とした。


「に、人間か・・・・・・!?」


「が、あっ・・・・・・!」


 そう叫んだ兵士の目に、短剣が深々と刺さり倒れた。目の前に迫ったリザが呟く。


「そのセリフはサシャに言え!」


 リザはもう一本の短剣を敵兵に投げつけると、今度は背中の剣で周囲の敵兵を斬り倒していく。しばらく戦っていると、後方から轟音とともに兵士が吹き飛んで来た。アルスとパトスのふたりが目に入ると、リザは叫ぶ。


「私はここで兵が集まるまで橋頭保を作る!城門を開閉する制御塔を抑えて頂きたい!」


「承知!」「わかった!」


 アルスとパトスが制御塔に向かおうとすると、敵兵がすでに陣を作って迎撃態勢を整えていた。


「パトス、僕が側面援護するんで、正面頼んでいいかな?」


「ははは、さては無理をされましたね?」


 パトスに見抜かれてアルスはバツが悪そうに笑った。


「アハハ、バレちゃったか。実はちょっと身体が痛くなってきてさ。張り切り過ぎちゃったみたい」


「では、援護をお願いします」


 パトスのオーラが膨れ上がる。ビリビリと大気が震え出すと収束したオーラは、一気に衝撃波となって前面の城兵を弾き飛ばした。そのままパトスは兵士たちに斬り込んでいく。左右から迫る城兵はアルスが次々と斬り倒していく。そこにアルス兵が次々と突っ込んでいき、城兵たちを壁際へと押し込んでいった。


 少し遅れて兵を引き連れて来たギュンターを見てリザは声を張り上げた。


「アルス軍の部隊長か!?」


「そうだ!」


 リザが橋頭保を確保することによって、リザの周りには兵が集まって来ていたがまだ十分な数の兵が集まって来ていなかった。ギュンターが十分な兵の数を引き連れて来たのを見て、リザは瞬時に判断する。


「助かる、私と一緒に城門を開けるのを手伝って欲しい」


「わかった」


 ギュンターは短く返事をすると、すぐにリザと合流して城門前の防御陣を崩し始めた。ギュンターは鋭い剣撃で次々と城兵を屠っていく。リザも牽制から攻撃に転じると、ギュンターと並んで一気に前に押し進んで行った。ギュンターが城門の閂に手を掛ける。刹那、横から物凄い勢いでひとりの兵士が叫びながら斬り込んで来た。ギュンターは咄嗟に身を引きながら、兵士の剣撃を受け流す。


「させるかぁぁぁぁ!」


 兵士からオーラが溢れ出すと速度と剣圧が格段に上がる。一撃一撃が重さを増し、狙いも的確に急所を狙って来る。金属と金属がぶつかる音が城内に響き渡り十数合打ち合うと、兵士は衝撃波を連撃で飛ばした。


 普通の兵士じゃない!?ギュンターは冷静に対処しながら体内でオーラを練り上げていく。


「スラスさまっ!助太刀します」


「いらん!おまえらはあの女を止めろ!」


 指示された兵士たちは一斉にリザに向かっていく。なるほど、部隊長かこの城の指揮官といったところか。


「来い、全力で相手する」


 ギュンターは上段に構えた剣先を斜め下に向ける。


「おおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」


 スラスがそれを見て、全速力で突撃をした。突撃に合わせて、ギュンターは体内で練り上げたオーラを一気に解放する。


「霞崩し、蒼天!!」


 柄にはめ込まれた刻印石が強烈な青い光を発する。刀身に込められたオーラがバチバチと弾け、青い軌道が一直線にスラスの胸を貫いた。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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