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最弱国の魔素無し第四王子戦記(無限の魔素と知略で最強部隊を率いて新王国樹立へ)  作者: たぬころまんじゅう
第三章

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王都2

「長旅、お疲れ様でございましたアルトゥース殿下。この度、殿下とご一行のお世話をさせて頂きますアンソニーと申します。よろしくお願いいたします」


 そう言って全員でお辞儀をする。


「ありがとう、アンソニー。滞在中よろしくお願いするよ」


「何なりとお申し付けください。まずはお屋敷のご案内をさせて頂きます」


 アンソニーの案内で屋敷が相当広いことがわかった。一階には大広間と応接室、キッチン、パントリーにバスが4つ、それに客室が10部屋。2階はテラスに小部屋合わせて4つ。そして同じく10部屋の客室。一行は案内されるたびに感嘆の声を上げる。


 やがて、案内も終わるとそれぞれ好きな部屋に泊まることにして、次々と荷物が使用人たちによってホールに運び込まれた。


「ここは衛兵もいるし、セキュリティーも万全だから荷物は置いてっちゃっても問題ないと思う」


「それは助かります」


 リサは抱えていたトランクを床に降ろした。よく見るとリサの運んでいる荷物がとんでもないことになっている。引っ越しでもするのかと思う程だ。


「すごい荷物だね。ちなみにそのケースの中は何が入ってるの?」


「これは全てディーナさまのお着換えの服です」


「そんなに着るか普通?」


 フランツが素朴な疑問をぶつけるとリサが少し不機嫌そうに答えた。


「要ります。使用目的や場所はもちろんのこと、どんな人とお会いになるのか、その日の天気、気温、そして気分によって選ぶ服は変わってきますので」


「マリアとアイネは少ないんだね」


 少し雰囲気が悪くなったのでアルスがマリアとアイネに話を振る。


「私は武人ですから、軽装でいいんです」


「あたしもマリアちゃんと同じような理由かな。兵士稼業が長かったし、荷物なんて旅の邪魔なだけだしねー」


 アイネがそう言うと、リサがますます不機嫌になっていく。雰囲気を変えようとして見事に失敗したアルスがアワアワし始めていた。


 そんなアルスの様子を見て、すかさずマリアがカバーする。


「あ、でも今回私はアルスさまとパーティーに出るのでドレスは別で持ってきてますよ。それに王都でも何着か見繕っておきたいなぁと。ディーナさん、リサさん、明日時間があったら一緒に服も見て回りませんか?」


「あ!そうですね!私も服見たいです!」


「ええ、そういうことであれば」


「待って待って!それならあたしも見たい!」


「ずるい、私も!」


 ディーナとリサに続き、アイネとコレットも手を挙げ、結局その場にいるほとんどの女子が参加することになった。


 マリアに救われたアルスは、その様子を見てひとりホッとしていると、マリアにウインクされて苦笑いした。本当に有能な秘書である。


「ジュリさんも一緒に行きませんか?」


 コレットがおずおずと声を掛ける。


「いや、私はいいや。あんまりそういうのに興味がないからな。それよりお菓子屋巡りだ!」


 結局ジュリの興味は完全にお菓子にしかなかった。


「あ、アハハ。なるほど。それなら今から一緒に行きましょう!」


「是非!」


「フランツたちはどうするの?」


 アルスは女の子たちの盛り上がりを横目にフランツにも予定を聞いてみた。


「うーん、俺はやっぱりガートウィン工房に行ってみたいんだよな」


 ガートウィン工房という単語に数人がすぐに反応する。結局フランツ、ガルダ、エルンスト、エミールに加えベルがガートウィン工房に行くことになった。


 パトスは王都のコーヒーの味を楽しみにしていたらしく、新たなコーヒー豆探しとカフェ巡りを楽しむことに。


 ダナはディーナたちと一緒にお菓子屋巡り。ヴェルナーはアイネに街を案内するという約束をしていたらしく、それぞれ別行動となった。


「さて、それなら僕とマリアはこのあと戦勝パーティーに行かないといけないから。各自行き先だけはお互いに伝えておいてね。なにかあると困るから」


 その後、アルスとマリアがパーティー出席のために出かけると同時に、各自それぞれの自由時間を満喫することとなった。


 街に出ると、相変わらず王都は人の往来が地方と違って格段に多い。行政区、商業区、工業区と王都は分かれているが、そのなかでも商業区には人が一番集中する。行き交う人々や行商人、馬車の往来で通りを横切るのも一苦労だ。


「出店や市場から聞こえてくる掛け声を聞くとやっぱり地方とは全然違うと思い知らされるな」


「ヴェルナー、あたしルンデルを出たことなかったから今まで知らなかったけど、ローレンツの王都ってこんなに大きいんだね」


「そりゃそうだ。いくら小さい国だって言ってもさすがに王都だからな」


「へぇー。ルンデルのレムシャイト城も凄かったけど、大きな国だったらもっと凄いのかな?」


「さあな、俺も他の国の王都に行ったことがないからわからん」


「ねぇ、いつか行ってみたいね」


「ああ、そうだな」


 ふたりが色々な屋台や店を見ながら、通りの角を曲がったときにヴェルナーがアイネに囁いた。


「アイネ、気付いてるか?」


「ん?何を?」


「つけられてる」


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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