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6つの石

 私は、少し疑問に思っていたことがあった。クレバーたちは、何で私たちに力を与えるのだろう。気まぐれにしてはクレバーたちのメリットがなさ過ぎる。私たちとの生活を楽しむため? それだけなら、別に力を与えなくても学校に入るだけですむ。もしかして、人間の体になるための儀式をするため? そうだとしても、仲間の持ち主同士を合わせる必要は別にないのではないか。本を月の光に当てて血を垂らすだけなんだし。いや、もしかして全員いないとできないのかもしれない。でも、自己紹介をする必要はなかったのではないか。

 でもその疑問は解決された。さっきクレバーは確かに「春休み中にやってほしいことがある」と言っていた。たぶんそれは、クレバーたちだけではできないことなのであろう。クレバーたちは、ちゃんと目的を持って行動していたのだ。

「やってほしいことは6つの石を集めることだ。全部居場所はわかっているし、力さえ使えば別に危険なことでもない。もちろんバイト代は出す」

クレバーは一生懸命たのんでいる。別に土下座させられたわけでもないがそう思った。しゃべり方が珍しく堂々としていないで、まるで急に教壇の前でスピーチさせられている生徒みたいになっている。

「私は別にいいわよ」

田野口さんが、急にそういった。さっきまで暗い顔をしていたクレバーたちの顔が急に明るくなる。

「別に春休みは何も予定なかったしね。友達を誘って出かけようと思ってたけど、お金がなかったんだもの。ところでそのバイト代はいくらなの?」

なるほど、つまりお金がほしいと言うことか。みんながあきれたと言いだしそうな顔をした。速水さんなんか、ため息までついている。

「もしすべての仕事が終われば一〇〇万円差し上げます。もし途中でリタイアなさる場合も、五万は差し上げます。もちろん一人ずつにです」

めずらしくトゥルーが答えた。みんなで一斉に驚く。

「はあ!? 石を集めるだけで一〇〇万!?」

優希が叫んだ。声が裏返っている。

「すべての仕事と言うのは石集めだけではないのだが、お金は確かに与える」

どれだけ金持ちなのだ、クレバーは。もしかして偽札なんじゃないのか?

「もちろん、本物の紙幣だ」

またもやクレバーが私の心を読んだかのように答えた。


 結局、石集めには全員参加することになった。私は「受験生なので」と断ろうとしたのだが、そう言おうとしたころにはもうみんなやるときめていて、断りづらくなっていた。

「集めてほしいものは、ラピスラズリ、ヒーリング、ファントム、アメジスト、エメラルド、ルチルの六つです。でも集めると言ってもそこらへんのを買えばいいのではなく、私の言った場所からとってきてほしいのです」

全部天然石だ。まあ確かに買うとせっかくのバイト代も一気になくなってしまいそうなものばかりだ。これはとってくるしかないだろう。……あれ、取って? 採って? 撮って? 捕って? ……もしかして、盗って!?

「まず最初にとってほしいものはラピスラズリです。これは、五井の橘婦人の家にあります」

まさかこれは……盗ってか!? 私の悪い予感は当たってしまったのか!? ふと周りを見てみると、みんなも気がついたらしく固まっていた。あぁ、私は犯罪者になるのか……。涙が出てきそうだ。

「ラピスラズリを手に入れるのに必要な力の持ち主は、主に知恵(クレバー)(ビジョン)治癒(ヒール)の三人です。明日早速行きたいので、力をうまく操る練習でもしといてください」

あぁ、もう日数まで決まっていたのか……ん?泥棒なら名前的に治癒はいらないんじゃないのか?

 

 私は皆が帰っていってから力の練習といって色々させられた。町に出て通行人は何を考えているか当てるのから始まり、最後には鉛筆が何を考えているのか当てるところまでやらされた。

 最初はかなり簡単だったのに、最後のは二時間もかかるほど難しかった。

 クレバーが言うに、これは自分の常識をうまく整理できればできるようになるのだそうだ。『人間は何か考えている』とわかっているので人間の考えていることはすぐにわかるのだが、『鉛筆は生きていない』と思い込んでいるので鉛筆の考えがすぐにわからないのだそうだ。

 私は「鉛筆は生命活動を行っていないので生きているわけがない」と何回も反論していたが、クレバーに「生きていると言うのは正しくは生命活動を行っているかではなく、魂が張り付いているかどうかだ」と何回も言われ最後には納得してしまった。理解できていないけど。

 そして納得したとたん、私の鉛筆はしゃべり始めた。

『ルカってば中学生になってからシャーペンばっかりつかっちゃって私を使ってくれないわ』

と繰り返し言っていた。今度から鉛筆もたまには使うかと思った。

 そして、それからがさらに大変だった。

 鉛筆の声を聞けたのは夜の十二時なのだが、一度聞こえはじめると布団や枕、椅子や写真たてまで話し始めたのだ。寝たくても寝られない。そして結局、声を聞くターゲットを絞る練習までしてから寝た。結局寝られたのは三時になってからだった。


 今回は少し短くなってしまいました。

 次回からやっと意思疎通以外の力も出てきます!!うまく書けるか心配です。

 よかったら、評価、感想などを書いてくださるとうれしいです。

 

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