春休み中の仕事
クレバーとライダーが風香中学校に転入してきてから、学校では二人の噂が大量に流れた。
クレバーは、クールでかっこいい女子として、女子の中でも男子の中でも人気が出てきたそうだ。それに、クレバーは頭が良い。もう学年末テストも終わっちゃってたのではっきりとはわからないが、すべての教科の授業で一番に問題を解き、先生を驚かしていた。
ライダーも、人気が出てきている。紫の頭は少し変な気もするが、まあ顔はいいんじゃないかと私も思う。それに、ライダーは勉強はできなかったが、体育で大活躍した。春休みまでの一週間の間に体育は三回あった。最初の陸上では学校の最速記録を更新し、サッカーではライダーのいるチームが二〇対一で勝ち、最後の野球ではホームランを何回も打っていた。きっと新学期の部活決めのときには、運動系の部活の勧誘に追われるだろう。
そして一週間たち、修了式がきた。
「通知表を配るぞ~」
ゴリ男が赤茶色のカバーの通知表の山を持ってきて言った。
私の今回の成績はまあまあよかった。五が七つと、三と四が一つずつ。合計は、四十二だ。
「うわっ、さすが委員長」
いつの間に机まで来ていたのだろう。優希がすぐそばにいた。私の通知表を覗いている。
「ちょ、勝手に見ないでよ」
私は通知表を閉じた。良くても悪くても、通知表だけは他の人に見られたくない。先生のコメント欄は特に。
私は仕返しでもしてやろうと思い、優希の通知表を取り上げた。優希が小さい叫び声を出す。
「どれどれ……なにこれ」
優希はいつも遅刻しているし、テストの点は悪いので、成績は悪いとは思っていた。思ってはいたけど……
「一、一、二、一、三……なにこれ、五は体育だけ!?」
なんと、優希の成績は一が三つ、二が四つ、三が一つ、五が一つの、合計一九しかなかった。
「ちょ、優希、進学できるの!? 受験できる高校、あるの!?」
私と優希は来年で中三になる、中三といえば受験。私は親や先生に、
「評価で二を一つでもとったら公立高校はまず無理だからな」
と言われ続けていた。なので私は常日頃気をつけ、二をとらないようにしてきた。三も、毎回一教科しかとってない。その教科は体育だから優希の体育五は羨ましく思うが、優希の成績は体育しか能がないと言っても過言ではないと思える。
「え~、ルカってば考えすぎだって。頭堅すぎ。一つぐらいあるだろ。進学だって、中学は義務教育だから大丈夫だって」
確かに私は頭が堅いと自覚している。考え方が狭い気もしている。でも優希はお気楽過ぎないか!?
もしかして、推薦枠を狙ってるのかもしれないと思った。ライダーが来てから首位の座はとられているが、優希は体育の元全校一位だ。この間更新された学校内最速記録も、前までは優希のものだった。たしか優希は、バスケ部に入っていたはずだ。
「うわっ、ルカにライバルができたぞ!!」
私が考え込んでいたら、優希がまた叫んだ。手には、私のでも優希のでもない通知表を持っている。クレバーのだ。たしかにクレバーは勉強が物凄くできていたし、授業に積極的に参加していた。
「五、五、五、……ま、負けた」
クレバーの成績は、五が八つと三が一つだ。合計四三。一点違いで負けた。
「ク、クレバーは入ってきたばかりなのに……」
先生のコメント欄も、褒め言葉ばかり並んでいた。
「えぇっ、クレバーそんなにいい点取っていたの!?」
後ろからまた叫び声が聞こえて、振り向いてみると……そこにはライダーが自分の通知表を持って突っ立っていた。
「ちょっとライダー、見せて」
私はライダーの通知表を奪い取って見た。一、一、二、一・・・合計十八。一点違いで優希に負けている。
「あ、やったね。俺より下の成績のやつ、始めてみたよ」
優希にもライバル出現ということか。それにしても、似た者同士の組み合わせになっているな。
帰り道。私はクレバーと優希とライダーと一緒に帰ることにした。クレバーが、この後仲間ではなすことがあると言ったのだ。
家についてから、二階へと上がった。親はまだ帰っていない。両親共働きなのだ。
「ルカの家に来るのも久しぶりだなー」
後ろで優希が叫んでいる。そういえば、優希とは幼稚園のぐらいのころはよく一緒に遊んでいた。お絵かきしたり、積み木をしたり、公園へ行ったり……今ではありえないが。
二階の私の部屋の前に来ると、私の部屋の中から話し声が聞こえた。
「へぇー、本がいっぱいあるね」
「でも化粧用具が少なすぎるわ。色気がなさすぎよ」
は? と思って、ドアを開けた。
そこには、クレバーの仲間と持ち主が全員そろっていた。
「な、なんで私の部屋に皆いるのよ!?」
私がそう叫ぶと、クレバーが冷静に答えた。
「今日はこれから、春休み中に皆にやってほしいことを伝える」
今回は、ライダーとクレバーを入れた学校の様子を中心に書いてみました。
次回から、次のアイテムが登場してきます。