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第1章 超人になれる本

 わお。こんなところに本屋があったなんて。

 私の名前は早瀬ルカ。十四歳。本が大好きで、休日はいつも本屋へ行ったり、図書館へ行ったりしている。

 今日は、はじめて、隣町の探索へ行った。隣町は私の住んでいる町よりも都会で大きい本屋がたくさんあったので感動して本を読んでいた。そして、門限まで一時間を切ったので、店から出てきた。その時、『珍しい本、あります』と書いてある、古ぼけた看板を見つけた。時間は気になるが、その看板にひかれてしまい、私は看板の指している矢印の方向へと進んだ。

 そこで見つけた店。その店は、いままでに見たことのないほど古ぼけた店だった。普通の人なら、ここでがっかりと肩を落とすところかもしれない。でも、私は違う。むしろ感動してしまった。

 こんな古い店になら、今までに読んだことないような、おもしろい昔の本がたくさんあるかもしれない。そんな期待を胸に秘めて、扉を開いた。ちょっと古ぼけた障子をあけるような、雰囲気のある音がした。店番は一人。フードをかぶったおばあさんだ。ちょっと怪しい感じがして、ぞくっとした。

 さっそく、本を探し始めた。みんな、ほこりをかぶっているものばかりだった。店全体が日陰になってたから本は日焼けをしていなかったが、しけってしまうのではないかと思うぐらい手入れがされていない。しばらく本棚を眺めていると、ふと、一つの本の題名(タイトル)が目に入った。

「超人に……なれる本?」

私は首をかしげながらも、その本を手に取ってみた。

 ずっしりと重みのある、古い本だ。私は、そっと、この本が壊れないかと思いながら、ページを開いた。

 そしたら、凄い衝撃が来た。火花が散った気がした。映像……花畑が見えた。え、なに、死にかけたわけでもないし、天国なわけないか。

 手元を見てみると……そこには大きな、まるい、模様の入った絵のようなものが描かれていた。そのほかには、何も書かれていなかった。なんだろう。なんか、ものすごく魅かれてしまう。この絵。

 私は、更にページをめくってみた。真っ白だ。何も書かれていない・・・と思ったら、だんだんシミのように汚い、文字が出てきた

『こんにちは。私の名は知恵(クレバー )です。私を見つけてくれたあなたに、力を与えます。そのうちに、どんな力かわかるでしょう。あと、私のことを買いなさい。きっと、あなたのためになります。』

そんなことが書かれていた。

 別に、言われなくても買うつもりだった。絵を、気に入ってたのだ。それなのに……さらに文字が浮きでるだと!? こんなに凄いもの、見逃すわけにはいかなかった。

「すみません!! これください」

「ふふふ…まいどぉ」

怪しい店と、怪しいお婆さんを背にして、私は走り出した。なんだか、これからの生活が更に充実したものになりそうな予感がした。

 

 次の日の朝。

 目覚ましの音で、目が覚めた。寝たまま背伸びをして、隣の時計を見た。

「七時…五十五分!?」

遅刻の予感がする。というより、完全に遅刻だ。私は急いで教科書とノート、そして昨日買った本を入れ家を飛び出した。


 門は閉まっていた。しょうがない。自転車は、木の陰にでも置いておこう。

「とりゃっ」

私は、門を飛び越えた。というよりは、よじ登って落ちた。この門は、結構登りやすい。手頃なところに足の置き場がある。

 そのままダッシュで靴を履き替え、階段を上った。最初、鐘もなっていないしぎりぎり間に合ったと思った。だけど、廊下には人が1人もいない。これは……遅刻か!?


 これほど、学校のドアの音を呪ったことは、今までに一度もない。私はできるだけそっと開けたのに、ドアは大きな音を出してしまった。その音で、一斉にクラスメイトが振り向いた。

 その時だ

『委員長、遅刻だ~めずらしっ』

『へへ、ざまぁ見ろ。いっつも俺を馬鹿にしてるからだ』

『ルカ大丈夫かな……担任、もうすぐ春休みだからって気を抜くなってこの頃うるさいし……』

「えっなに!?」

思わず声をあげてしまった。自分でも、変だと思う声だ。

「えっなに……だと!? 遅刻しといて何言ってるんだ。おまえは罰として、今日の大掃除、人気のなかったトイレ掃除を一人でやれ!!」

『まったく……早瀬は大丈夫だと思ってたが、まさかこいつまで……』

先生の声が、重なって聞こえた。さっきのも、確かに声がしたのに、みんな口が動いていなかった。

 びっくりして、口を開いたまま呆然とたっていると、担任に

「なにあほ面で突っ立っているんだ!! 早く座れ」

と怒鳴られた。


「ううう……なんだよゴリ()そんなに叱らなくたっていいじゃん…」

今、私はトイレ掃除をしている。トイレ掃除はもともと人気がないが、今日は更に人気がない。なんたって大掃除。いつもよりも念を入れてやらなくてはならないのだ。

「はははっ。遅刻したおまえがワリーんだよ!!」

「うっさいな!! 優希だって遅刻じゃん」

隣の男子トイレでは、私の幼馴染、鈴谷優希(すずやゆうき)が、私と同じ理由で掃除をしていた。

 優希とは、幼稚園生のころからつるんでいる。髪は染めていないが、ピアスをつけていて、私としてはチャラチャラしたイメージなのだが、友達などのクラスメイトは「かっこいい」と騒いでいる。たしかに、服の着こなしはいいかもしれない。顔も……まあまあいいと思う。目はちょっとつってるが、二重だし、まつ毛も長い。

「でもさ、めずらしいな。おまえって無遅刻無欠席の優等生な委員長様じゃん」

「優希からみればそうかもしれないけど、私は普通なの!! 優希が異常なの!!」

「うっせえ!! 俺はちゃんと遅刻した理由があるんだよ」

「なにさ、言ってみなよ!!」

「寝坊した」

「ちゃんとした理由じゃないじゃん!!」

いっつも優希とは、こんなバカっぽい会話をしている。それなりに楽しいのだが、たまにむかっとくる。

「でもさ、ルカだって寝坊だろ? ほんっとに珍しいな!! 何かやってたんか?」

そう。昨日私は、あの後夢中であの本を読んで……いや、「会話」していた。あの本は、話しかけると文字となって返事するのだ。私は、本が言っていた「力」とは何なのか、はかせようとしたが無駄だった。ただ、「そのうちにわかる」とだけ言っていた。もしかして……今日の、あのクラスメイトの声や、先生の声がそうなのかもしれない。


 待ちに待った、昼休みが来た。私は急いで、本を持ち、だれにも見つからないように屋上へ行った。ここの屋上は立ち入り禁止なのだが、実は鍵が壊れているのだ。私はここに、一人になりたいときによく来た。

「ねえ、クレバー。今日のあの声、聞いた? あれって力に関係あるの?」

すると、文字が浮きでてきた。

『そう。あれが、私があなたに与える能力』

「何の能力なの?」

『簡単に言うと、人の心を読むことができる能力だ』

人の心をよむ!? それって凄くない!!?

『実は、ルカに頼みたいことがある』

「何?」

『実は、今度の土曜、行ってほしいところがあるんだ』

行ってほしいところ? なにか、面白いことがありそうな予感がする。それに、土曜は何も予定がないはずだ。

「いいよ。どこ?」

「東京タワーだ。そこに、私の仲間が集まる」

クレバーの仲間!? なんだか面白いことになりそう。

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