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メンヘラ重井さんの恋は重すぎる  作者: こーへい
第一章 「重井さんとの出会い」
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重井さん 第七話「最高の友人」

「よお、おはよう」

朝登校し、鞄から教材を机に入れて授業の準備をしていると声がかかる。

目を擦りながら、声のかかったところに顔を上げると親友の辻崎君がいた。

「あ、辻崎君おはよう」

今日は朝練が無いのだろうか。いつもは居ないため新鮮味がある。辻崎君は俺の目に視点を合わせ笑顔で喋った。

「もう、種目なにするか決まったか?」

今日は種目を決める日でもあり高校生活最初の体育祭になるため思い出の残りやすい種目に出ようとしたが何も考えていなかった為適当に答える。

「いや、余ったので良いかなって」

「なんだそれ、まー俺は楽な玉入れにしようかなってお前もそれにしろよ。朝練あるからもう行くわ」

そう言うと小走りで荷物をもって教室を後にした。

「辻崎君は朝からサッカー部の朝練って大変そうだな」

朝苦手な俺は朝練出来るなんて凄いなと思った。


午前の授業も終わり、種目をどうしようか考えていると朝、辻崎君が言った玉入れを思い出し玉入れにしようかと密かに心の中で決めた。

種目を決めるのは最後の授業で決めるということもありゆっくり考える時間があった。


ついに種目を決める時間となり考えているとあっという間に時間となった。

「よし、今から種目決めをするぞ。黒板に書いたから自分たちで黒板に書いてな」

先生がそう言うと一気に教室が騒めきに変わる。どの種目にするか決める人もいれば真っ先に黒板に書きに行く人などと別れていた。

「俊一もう決まったか?一緒に書きに行こうぜ」

肩に手を添え笑顔で喋りかけてきた。

辻崎と一緒に黒板に書きに行こうとすると、クラスメイトが一斉に走り出した。

黒板ではそれぞれ自分の名前を書く人で溢れておりその中のほとんどが玉入れに名前を書き始めた。

「お、おぉ。やっぱ凄い人気だな玉入れは…ここは戦場か?」

あまりの人の多さに呆気にとられていると辻崎がふと喋りかけてきた。

「結局なににするんだ?俺は人気だけど玉入れにするよ。やっぱ楽にしたいからな」

笑顔で元気に話しかけてきた辻崎君は顔を傾けながら質問してきた。

「辻崎君が言っていた玉入れにするよ。でも人気高そうだし第二候補考えとかないとな」

そういうと苦笑いをした。

順番が来て名前を書く。まだ名前を書いていない人は半数くらいいるがすでに玉入れは各々の名前でいっぱいだった。

誰がどの種目にしているかゆっくり顔をうごかしながら見ていると一番左に重井さんの名前があった。

重井さんが書いているのは種目ではない保健係だった。

種目以外にも二つだけ例外があり保健係と代表者がある。

席に戻り隣の席の重井さんに声をかける。

「重井さん。保健係にしたんだね、種目にしなくていいの?」

「私、他の人と喋るのが苦手だし運動も出来ないから保健係が似合うかなって」

確かに重井さんは俺と先生以外喋っている所を見たことがなく保健係が合うのかなと思っていると先生が大きな声で喋りだす。

「よし、全員書いたな。人数が多いところは話し合いかジャンケンなどで決めてくれ」

そういい細かい指示をした。

玉入れの場所に行きどうするか話していた。

「どうするんだ、このままじゃきりがないぞ」

確かにジャンケンをしても人数が多いためなかなか決められず時間を使ってしまう。

どうするか言い合いになっており中には意地でも玉入れにした人や諦めて他の種目にする人と別れていた。

少し時間がたち最終的には一人だけ人数が定員超過しており最後はジャンケンで決めることになった。

残り一つ余っているのが重井さんのいる保健係だった。言い合いになっていた時に保健係は楽そうだけど重井さんと話しづらいからと他の種目にする人がいたため最終的には保健係が余っていた。

いよいよジャンケンが始まろうとしていた瞬間に声を上げる。

「まって」

そういうとジャンケンをしようとしていた手が止まり、あたり一面が静かな空間になりこちらに視線を向ける。

「俺、保健係にするわ」

そういうと周りの人たちは驚いた顔になる。

「保健係って重井さんだろ、話しにくいし気まずいだろ」

辻崎くんがそういうと周りの人も頷く。

「別に気まずくなんかないよ。重井さんとはよく話すし、最高の友人だからさ」

そういうと驚いた顔をし、中にはそういう関係だったのかと思う人もいた。

「だから保健係にするわ、ごめんね辻崎君」

「そうか、俺の次に最高の友人ということだよな?だったら行ってこい」

そう笑顔で返す辻崎君に本当に最高の親友だと改めて感じた。


チャイムが鳴り先生が喋りだす。

「よーし、決まったな!」

先生がそう言うと俺はゆっくりと席に戻る。

「な、なんで保健係にしたの?」

顔を赤めている重井さんは小さな声で俺に問う。

「別になんでもない。ただ知らない人とやるより知っている人とやる方が楽しいだろ」

「そ、そうだけど別に辻崎君とやれば...」

小さな声でごにょごにょ喋っているため途中までしか聞き取れなかった。

「な、なんだって?ま、いいや。今日部活はどうするの?」

「種目決めで時間もすこし掛かったから今日はいいかな」

普段より30分ほど長引いたからか少し悩んだ後に部活をしないことを重井さんが言った。

「そっか、だったら一緒に帰ろうよ」

正門ですぐ別れてしまうが教室から正門まではすこし距離がある。

「う、うん。ありがとう」

すこし照れくさそうに頷く。

各々帰る準備をし、一緒に教室をでる。


保健係か。正直興味ないけど重井さんとなら、何とかなるかな

体育祭まであと少しだが重井さんとならいい思い出が作れそうな気がした。

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