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メンヘラ重井さんの恋は重すぎる  作者: こーへい
第二章 「重井さんの変化。仲間の絆」
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重井さん 第十一話「重井さんと心理ゲーム」

打ち上げから一か月経ち、六月になった。この時期は多くの雨に悩まされる。

雨の日の授業は調子が上がらず勉強もはかどることもなかった。

そんな中、唯一と言っていい程やる気が出るものがある。それは部活動である。

「まったく...雨の日が多すぎるんだよ!俊一どうにかしてくれよ」

「神じゃないんだからどうにもできないよ」

辻崎君は俺の肩を掴み大きく揺らしてきた。揺らす力は強く目が回りそうになるほどだった。しかし、辻崎君の言う通り、雨の日が以上に多い気がする。ここ一週間で四日間降るほど雨の日は続いていた。


授業終了のチャイムが鳴り響き放課後の時間となった。

窓を見ると朝よりかは雨が弱くなっていたが少し雨が降っていた。

「渡辺君、部活に行こ」

「よし、行こうか」

雨の影響で授業のやる気も出なかったが、毎回重井さんが部活動に誘ってくるため必然的にやる気が出るようになった。

しばらく歩き部室についた。野球部やサッカー部のように、野外で練習する部活動は部活動自体無くなったりあるいは、室内で練習をする場合があると辻崎君が話していた。

そんなことを思い出しながら重井さんと歩いていると、グランドには傘を差しながら帰る人であふれており外は雨が降る音と生徒達の話す声で満ちていた。

部室の前に着き響くドアを開け部屋に入り椅子に座る。

「重井さん、今日はなにをするの?」

「今日は、異世界系のアニメについて研究するよ」

「異世界系?ってことは現実ではありえない世界を描いた物語ってことだよな。今まで、現実に基づいた作品しかみたことないから詳しいことは分からないな」

今まで見たことあるのは、日常系や歴史ものを描いた作品しか見たことがなく新しいジャンルを知れる良い機会と思いながらホワイトボードを見てみると重井さんが必死に異世界系のことについて書いていた。

「よしできた!後、渡辺君異世界系のジャンルは見たことあるよ」

「え、あるのか?」

「うん、私が紹介したロボットのアニメ。あれこそサポートする人が違う世界から来ていたでしょ?」

確かに重井さんの言うと通り、違う世界から来ていた様な気がした。その事を思い出し異世界系について少し分かった気がした。

「あ、あれ?インクがでない…」

異世界系について考えていると重井さんが小さな声でボソッと喋った。

重井さんを見るとペンを思いっ切り降っていたりホワイトボードに書いていたりした。

「ご、ごめんなさいインクが無くなっちゃた」

「謝らなくてもいいよ、それにしてもインクが無くなったのは困ったね。でも書かなくても言葉で説明してくれれば大丈夫だよ」

「いや、書いて説明したいの」

「そっか…困ったね。雨降っているから新しいの買いに行けないし」

買い出しに行こうとしても、雨が降っており流石に行けない為どうするか悩んでいた。このまま中止して帰るのも一つの手だが重井さんの残念そうな顔を見てここで中止して帰ることを伝えると悲しそうな顔をしてしまうと勝手に思い込んでしまい断念した。どうするか悩んでいたら重井さんが何かを思い出したかのように目を大きくし手をポンと叩いた。

「そうだ渡辺君!心理ゲームをしよう!」

「し、心理ゲーム!?」

考えてもなかった言葉に驚きを隠せなかった。

心理ゲームといえば自分自身が考える答えからどういう性格なのかなどを導け出せるゲームである。しかし導ける一方、思ってもいない答えが出てしまい地雷を踏んでしまう可能性がある悪魔のようなゲームだ。

「心理ゲームか…ちょうどいい暇つぶしになるしやろうか」

「それでは、始めるね!私も答えるから答えは見ないようにするね」

重井さんも一緒にこたえると言い心の中で少し安心した。しかし心理ゲームは自分自身、相手の性格が分かってしまうげーむである。もしかしたら重井さんに嫌われてしまうかもしれない恐怖に襲われていた。

「最初にある問題はこれか。『あなたは心霊スポットに行きました。あなたが行くなら場所はどこにしますか?暗い森、トンネル、病院のうちどこ?』だって。渡辺君はどう思う?」

「いきなり怖い問題だね…んー、俺は全部嫌だけど、一つ選ぶならトンネルかな。最悪叫べば声が響いて誰か助けに来てくれそうだし」

「確かに響くからね!私は病院かな。怖いけど、森やトンネルと違って先が見えないことはないと思うからね」

確かに暗い森とトンネルは進んでも同じ景色が流れるが病院は部屋があり、一つ一つ違う景色が流れるのがわかる。

「では、答え出すね。これは相手の怖いものが分かります!渡辺君の選んだトンネルは『先が見えない恐怖があります』だって」

「先が見えない?将来の不安ってことか…確かにあるがまだ一年生だしそんなにかんじていないかな」

「でも、来年になると不安になるってことかもよ。それで私の答えは『いつも誰かがそばにいないと不安になる恐怖』だって…確かにお姉ちゃんがそばにいないと不安になるかも」

重井さんにお姉ちゃんがいるのか、お姉ちゃんがそばにいないと不安になるということはいつも頼ってくれるってことだな。重井さんの性格とは真逆の性格をしているのかもしれない。

「なんか当たっているかもねこの問題それで最後の問題は?」

「『暗い森は恐れが無い恐怖』だって逆に怖いね…ま、まぁ次行こ」

最初の問題は、重井さんに嫌われるがなかった答えだったため安心していた。しかしまだ油断はできないため大きく息を吐いた。

「次は、『大事なものがなくなってしまいましたそれはどんな物?手袋、靴、ハートのうちどれ?』だって」

ハート?それは心臓なのか…心なのかわからないもしかするとただのハートの模型なのか分からないしばらく下を向いて悩んでいたら重井さんは顔を覗かしてきた。

「渡辺君はどう思う?」

「び、びっくりしたよ重井さん」

「ご、ごめんそんなつもりじゃ…」

「ううん、ちょっと驚いただけ、それで俺の答えは靴かな。ハートはどんな意味を指しているか分からないから無しとして靴のほうが無くしたら困るかな」

「そう?私はハートかな。心だと思ったらハートを無くしたら困るからね」

確かに…心臓だと思っても同じで無くなったら困る。そう考えたらハートが一番無くしたら困るかもしれないと思い地雷を踏んだかもしれない恐怖が全身を巡らせた。

「では、答え言うね!これは、独占欲が分かりますだって…渡辺君が選んだ靴は自由な時間を独占したいタイプだって」

「たしかに自由な時間が欲しいかも、いつも自由な時間がすくないからね」

「それで、私のハートは自分だけのモノになってほしい独占欲…この問題可笑しいね。あ、雨やんだね…私、急用思い出したから帰るね。渡辺君また明日」

そう言い残し走って部室を出てしまった。自分だけのモノになってほしい独占欲か…可笑しいのかこの問題?それにしても急用ってなんだろ…まだ、雨降っているのに


―――

適当に言い訳をつけ部室を飛び出した重井は、傘を差し小走りで家に帰った。部屋に戻るとベッドに飛ぶ込み蹲っていた。

「な、なによあの問題!まるで私が渡辺君のことを一人占めしたいかの用じゃない…ま、でも嘘じゃないけどね。好きな渡辺君は絶対他の人に渡さないんだから…夏休みになにか惚れさせるような行動しなくちゃ」

顔をにやつかせ、ノートにどのようなことをするか必死にメモをしていた。机の横に渡辺君の写真があることに本人は()()、知る由もなかった。

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