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8〈はじめての破滅の森の砦〉

本日、四話目です。


 とりあえず、初期状態の能力値と簡単な説明がこれだ。


名前:グレン


〇トール・肉体系、装備重量とダメージ、HPに関係:5

〇テュール・肉体系、武器命中と回避、HPに関係:5

〇ヘルモーズ・肉体系、回避と体力、HPに関係:5

〇ロキ・精神系、装備設計と状態異常、MPに関係:5

〇ブラギ・精神系、異常耐性と疲労、MPに関係:5

〇オーディン・精神系、状態異常と異常耐性、MPに関係:5

〇ヴィーザル・魂系、ダメージと武器命中、体力に関係:5

〇フリッグ・魂系、装備設計と疲労、運要素に関係:5


「こう考えるといいシザ…… 」


 そう言って煮込みがチャットに書いたのが簡単だ。


〇トール〈力〉

〇テュール〈器用〉

〇ヘルモーズ〈素早さ〉

〇ロキ〈知力〉

〇ブラギ〈精神〉

〇オーディン〈特殊〉

〇ヴィーザル〈生命〉

〇フリッグ〈運〉


 初期状態では、各能力値が5になっていた。

 さらにガチャで得た魂から三つをセットすることで、能力値とスキルに変化が出る。

 セットするのは『フェンリル』『ロンリーウルフ』『ダークピクシー』。

 それ以外の魂は、スキルセットというところに入れると七つまでスキルを得られる。

 今のところスキルセットは入れていない。

 そこまで設定すると能力値に5点のフリーポイントが貰えるので、自分の弱点であるテュールに全部、入れてみた。


名前:グレン〈Lv1〉

トール:3

器用テュール:5

素早さ(ヘルモーズ):8

知力ロキ:4

精神ブラギ:9

特殊オーディン:11

生命ヴィーザル:5

フリッグ:5


〇魂:『フェンリル』『ロンリーウルフ』『ダークピクシー』

〇スキル〈残り7〉:【回避】2【夜の帳(ダークネス)】1【全状態異常耐性フェンリル】1


 自動算出で決まった副能力値というのがこれである。


△装備重量:6

△ダメージ:+8

△武器命中:+10

△回避:+13

△装備設計:+9

△状態異常:+15

△異常耐性:+21


△体力:13

 体力値が無くなると動けなくなる。回復には食事が必要。

△疲労:14

 疲労値が溜まると動けなくなる。回復には睡眠が必要。

△HP:16

 HPが無くなると死ぬ。

△MP:24

 MPが無くなると死ぬ。


「グレンさんは後衛攻撃タイプですね。レベルアップで能力値のフリーポイント2点とスキルポイントが3点貰えますから、他のスタイルにすることも充分可能です」


「他にもイベントやクエストなんかで能力値が増えたり、スキルポイントが貰えるシザ。

最初はこれで充分シザ! 」


 まあ、これだけ現実味があるゲームだ。

 能力の実感とかに伴って、自分に何が必要かは分かってくるだろうと思う。


「スキルセットには、今あるものを全て入れてしまっていいと思いますよ。

 後で付け替えも可能ですから」


「スキルレベルは一定レベルごとに派生効果が出たりするシザ。

 汎用性が高いスキルを優先的に上げるのが基本シザ! 」


 俺はレオナの言う通り、スキルをセットしておく。

 【農民】1【装備設計】1【回し蹴り(ベスト・キッド)】1だな。


 煮込みの言う汎用性が高いスキルというのは、俺の場合【回避】と【全状態異常耐性フェンリル】あたりか。

 覚えておこう。


 食事が終わり、レオナと煮込みが立ち上がる。


「さて、じゃあ、軽く『遺跡発掘調査』に行きましょうか! 」


「イーッ! 〈分かった〉」


 俺もチャットを閉じて、立ち上がる。



 レオナに案内されたのは、大きな扉だ。

 扉に触れるとウインドウが立ち上がって、行きたい場所を選べるようだ。


「まずはパーティー組むシザ! 」


 言われるままに、レオナと煮込みとパーティーを組む。


「最初は『破滅の森の砦』とかにしましょうか…… 」


 レオナがウインドウを消して、大扉に手を掛ける。

 大扉は重さを感じさせることなく、片手で開いてしまう。


 目の前には剥き出しの土を踏み固めたような黄色っぽい道があり、その道は森へと続いている。

 空は青く、木々が密集した森は光を遮るかのように暗い。

 その中へと誘うように、黄色っぽい道がカーブを描くように進んでいる。


 これが怪人側の世界ってことなんだろうか。

 大きな大木に蔦が絡まり、緑と黒の風景は、美しいというより、少し不気味だ。


 ぱたん、と扉が締まる音がする。

 振り向けば、後ろには一部の壁が崩れ、少しずつ緑に浸食されつつある城壁が見える。


「この扉が『幕間の扉』と呼ばれているシザ」


 今、俺たちが出てきた扉、城壁の門になっている扉を指さして、煮込みが教えてくれる。


「この壁の向こうはフシワという街の廃墟なんですが、入れません」


「イーッ? 〈入れない? 〉」


「はい、壁が街をぐるりと囲んでまして、あくまでも『遺跡発掘調査』の出発点として、この扉が必要だから設定されているという話です」


「この『幕間の扉』は怪人側の世界中に散らばる扉と扉を繋ぐワープポイントみたいなものシザ! 」


 そんな会話をしていると、大扉はピカッと光って色が変わる。

 黒いフルフェイスのヘルメットにグリーングレーな作業着を着た集団が現れ、ぺこりとお互いに会釈する。


「ピピッ…… 」「ピピピ…… 」「ピコンッ! 」


「どうも! 」


「イーッ? 〈なんて? 〉」


「ああ、挨拶です」


「あれは、『世界征服委員会』ですね」


「マンジ・クロイツェルとガイア帝国は注意するシザ! 

マンジは赤タイツにドイツ軍っぽい軍服シザ。

ガイアは白タイツに法衣シザ。

どっちも独自色が強過ぎて、襲われる場合があるシザ…… 」


 同じ怪人側レギオンにも色々とあるらしい。


「ちなみにヒーロー側レギオンとは会わないですから、その点は安心していいですよ」


「モンスターは出るけどシザ…… 」


 二人に促されて、黄色っぽい道を進んで行く。


「森では狩りとかできるシザ! 」


「普通の野生動物と魔物、一応どちらも出てきますよ。

 あ、武器は装備しておいて下さいね」


 装備するといっても、オブジェクト化して実際に持っておく以上の意味はないらしい。

 俺はさっそく『ベータスター』を肩から掛けておく。


「お、あそこに鉈兎がいるシザ! 」


 煮込みが指さす先を見ると、確かに灰色の兎がいる。


「せっかくですから、一度、その武器を使ってみましょうか。

 使い方、分かりますか? 」


 俺は『ベータスター』を構える。

 さすがに実銃を撃った経験はないが、男はこういうのが好きなやつが多い。

 例に漏れず、俺も知識だけはある。

 トリガーには手を触れない。安全装置を外す……。


「あ、先に一度、マガジン抜くシザ」


「イッ? 〈えっ? 〉」


 マガジンを言われた通り抜く。弾がない。


「ベータスターの弾はMPシザ! どうやってもいいから、マガジンの上部に一度、触れるシザ」


 親指で、本来なら弾が装填されている場所を触る。

 俺の親指が光って、MPが一点消費された。

 ガシャ、と音がして、マガジンに弾が装填された。


「弾が無くなったら、そうやって装填する必要があるシザ! 

 特殊弾頭を使いたい場合は、オブジェクト化した特殊弾頭を触れさせる必要があるシザ! 」


 特殊弾頭なんてのもあるのか。


「特殊弾頭は『装備部』で売ってますから、余裕ができたら各種取り揃えるのもいいかもですね」


 レオナが自身の腰に自動拳銃をオブジェクト化させながら言う。


「まあ、武器は色々あるから、自分に合うものを探すといいシザ! 」


 そういう煮込みがオブジェクト化したのは、幅広の片手剣ブロードソードと盾だ。


「イーッ? 〈剣なんかで戦えるのか? 〉」


「近接戦闘では、頼りになりますよ。煮込みさんの場合、それだけじゃないですけど」


 レオナが含みのある笑顔を見せる。

 どうも、レオナは仕草がいちいち色っぽいというか……つい見てしまうな。


 まあ、いい。マガジンを『ベータスター』にぶち込んで、安全装置を解除、セレクターがセミオートになっていることを確認して、撃鉄ハンマーを起こす。

 スコープを覗いて、灰色の兎を探す。


 ジーッ……灰色の兎、耳が鋭角的で金属質な武器みたいになっている兎と目が合った気がした。


 ダッ! と灰色兎が逃げ出す。

 俺は慌ててトリガーを絞る。

 だんっ! とさっきまで灰色兎が居た場所に穴が開く。

 ちぃ、外した。

 スコープから目を離して、灰色兎を確認する。

 真横に跳んでから、金属質な耳を振り回して、こちらへと跳ねるように向かってくる。


「【両断刃ペルセウス】シザ! 」


 煮込みが遠くにいる灰色兎目掛けて、剣を振る。いや、届かないだろうと思うなかれ、剣から光の衝撃波が二枚、灰色兎の斜め左右から襲う。


 ぴぎっ! 


 断末魔を上げて、灰色兎は四等分された。

 ああ、あれは怪人シザマンティスの必殺技か! 

 シザマンティスの時は光るハサミが二本だったが、剣でも使えるのか。


「むふーっ、私のユニークスキル【両断刃ペルセウス】シザ! 」


 煮込みが胸を張る。ので、一応、ガン見しておく。

 うむ、小さな身体に似合わぬデカさ! 


「どこ見てるシザ…… 」


 結構、冷たい声だったが、こちとらもう、いい歳したオッサンなんでね。

 普通に指さしておいた。触りゃしないけどな。


「ふむ……立派さに見蕩れたシザ〜? 」


 煮込みが両腕でその立派なモノを挟んで強調してくる。

 萎えた。そこは恥ずかしがってくれないと、な。

 とりあえず、がっくり項垂れておく。


「うわぁ、グレンって失礼なやつシザ! 」


「はい、はい、煮込みさん、グレンさん、戯れてないで、鉈兎のドロップ拾いに行きますよ…… 」


 レオナがさらっと纏めて、歩き始める。

 俺と煮込みも、特に気にした風もなく、それについていく。

 まあ、煮込みは見られるのに慣れているようだし、レオナもあまり気にしてないっぽいので、いいか。

 それにしても、煮込みのあのスキルはユニークスキルなのか。

 俺のフェンリルと同じか。少し親近感が湧いた。


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