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本日、三話目です!


 空からの落下音が激しくなってくる。

 大量の『ガイガイネン』が降ってきているのだ。


「ゐーっ! 〈はっ……初めてだぜ、このゲームの異常気象は! 〉」


 俺は呆れて悪態をついた。


「私も初めてミザ…… 」


 『ガイガイネン』一体は、HPこそ多めなものの、戦闘員が数人で囲めば倒せなくはない程度の強さだ。

 ただ、この量はヤバい。


 たぶん、今この『遊興区』に展開している『りばりば』戦闘員よりも多いだろう。


「くああー! グリムランド! 夢の国、グリムランドがあぁぁっ! 」


 ナナミはサクヤに支えられたまま叫んでいる。

 今、七匹の子山羊のティーカップが壊れた。


「なああっ、三番目のお兄ちゃんが! 」


 今、俺たちと『火炎浄土』、俺たち以外の『りばりば』チームが二組集まって、建物の屋上〈職員用〉から状況を確認している。


 レオナのいる本部に状況を伝えるためだ。


「結構マズイことになってるミザ。

 建物に避難して、その崩落に巻き込まれて死んだ戦闘員が多数いるのと、サッカー場がNPCの避難場所になっているけど、入口を守ってたヒーローレギオンが崩壊寸前らしいって本部が言ってきてるミザ」


「グレンさん、どうしますー? 」


 このまま高台を維持して遠距離中心で戦うか、崩壊が激しいところはウチの防御が手薄になっているところなので、そこに討って出るか、サッカー場を守りに行くか、の三択だな。


「ゐーっ! 〈サッカー場しかないだろ〉」


「そう思うピロ」


「じゃあ、サッカー場に向かうミザ! 」


「は? あんたら馬鹿か? サッカー場はNPCの避難場所で、ヒーローレギオンが守ってるんだぞ? 」


 バルトが俺たちの会話に口を挟んでくる。


「いや、一発屋に一緒に来てとか言ってないミザ…… 」


 バルトに子供扱いされてから、すっかり拗ねてるな。


「煮込みんたち、マジでサッカー場行くの? 」


 俺たちと別チームの『りばりば』戦闘員だ。


「マジミザ! 」


「確か、別チームからの情報だと『マーズエンジェル』だぞ? 小規模のくせにやたらと武闘派のレギオンの」


「問題ないピロ」


「ムック隊長が言うなら異論はありません」


「同じく! それと、これ以上グリムランドの崩壊を見てられません! 」


 coinとナナミも行くことに反対はしないらしい。

 ただ、ナナミは片足が無いからな。

 今のままじゃ厳しい。


「ゐーっ! 〈ナナミ、行くならこれ使え! 今のままじゃ足手まといだ〉」


 仕方ないので俺は常備している『部位破損回復薬』を渡す。


「なぜ、こんなマニアックな回復薬を…… 」


 マニアックとか言うなよ。貴重品だぞ。


「グレンさんがくれるそうですよー」


「え? 」


「グレンさん、お人好しなんですよー。

 好意を無碍にしないためにも、使ってあげるが吉ですねー」


「すいません……ありがとうございます! 」


 これで俺の奥の手の代価がひとつ減った。

 だが、ここでナナミだけ置いて行くという選択肢はないしな。


 よし、行くか、と立ち上がる。


「おーし! 俺たちもその案に乗るぜ! 」


 バルトが立ち上がる。


「マジすか! 」「リーダーかっけえ! 」「友情っすね! 」


「よせやい、そんなんじゃねえよ……。

 あと、総長って呼べよ」


「他に行くチームあるミザ? 」


「え、いや、それはちょっと…… 」「マーズだろ? 」「あいつら近いんだよな…… 」「戦闘員がビームヤッパ持って切り込んでくるとこだろ」「マッハマーズはすまん。無理…… 」


 『マーズエンジェル』ってそんなにヤバいレギオンなのか? 

 だが、そんなレギオンでさえ崩壊寸前だと言うんだ。

 NPCたちの危険度はかなり高いだろう。


「ゐーっ! 〈行くならとっとこ行こうぜ! 〉」


「んじゃ、こっちは任せたミザ! 」


 俺たちは、激戦区と思われるサッカー場へと足を向けた。




「発砲! 」


 パトカーを盾にしたNPC警察官たちが、拳銃を撃つ。


 小型『ガイガイネン』はそれらに「1」点ダメージを受けて、向きを変える。


「ザッ……よくやった……ザッ…… 」


 フルフェイスの防御メット。プラスチック製に見える防護スーツ。色は全て赤のグラデーションカラーで構成されている『マーズエンジェル』戦闘員がビームヤッパなるソードを片手に斬りこんでいく。


 一瞬とはいえ、警察官に意識を向けた小型『ガイガイネン』がビームヤッパに切り刻まれる。


「よし、もう一度、引きつけを頼む……ザッ…… 」


「「は、はい!」」


 警察官をオトリにしていた戦闘員がこちらに気付く。


「……ザッ……おい、撃て……ザッ…… 」


 ノイズ交じりの機械音声が無機質に俺たちを撃てと命じた。


「ゐーっ! 〈ここも同じ対応か、下がろう〉」


 警察官に撃たれる前に俺たちは引いた。


 まともな入口に近づいて共闘を申し込もうとしているが、これで三ヶ所目だ。


 一番の激戦区になっているのは正面大玄関と呼ばれるところで、ここは『ガイガイネン』が集まり易い広場がある。

 ここではヒーロー『マッハマーズ』という赤い鎧のやつが踏ん張っている。

 戦闘員が車などで盾を作って、ビームチャカなる拳銃で『マッハマーズ』を補助しているが、この戦闘員たちがバンバン死んでいる。


 ここに俺たちが加勢をしたいところだが、説明もなく行っても、ヒーローレギオンに敵対するだけだ。


 そこで、他の入口で話が分かりそうなやつと交渉しようとしたが、どの入口も殺気立って話にならないというのが今の現状だ。


「かぁー! まどろっこしいな! いっそ押し入ろうぜ! 」


 バルトは『火炎浄土』の中、一人だけ着けている指貫グローブを見せつけるように掌を拳で叩いて言う。

 清々しいほどにバカ。


「交渉は難しそうなのでー、正面大玄関の更に前辺りに防衛線を作ってしまうのはどうでしょうー? 」


「確かにそれくらいしか思いつかないミザ」


「ゐーっ? 〈それをやるには、一度、周囲の敵を一掃するくらいの戦力が必要ってのは、分かるか? 〉」


「僕と煮込み、ナナミで変身すればいいピロ」


「ゐー? 〈ナナミも変身できるのか? 〉」


「今回はLv120の戦闘員に再生怪人コアが配られてますから、それなりの戦力にはなりますよー」


「おう、『りばりば』ってやっぱ、最大手なんだな……ウチじゃ俺が一個、持ってるきりだぞ」


 ふむ、聞けば『再生怪人コア』というのは今までに倒された怪人コアを模倣して作れるコアで、一般怪人が能力値にして五倍~八倍のところ、『再生怪人コア』は三倍から五倍程度の引き上げ能力があるらしい。

 それで、バカト……間違った。バルトも『再生怪人コア』を持っているとのことだった。


「ゐーっ! 〈よし、じゃあそれでやってみるか〉」


 場所は正面大玄関に直通で『ガイガイネン』が集まりつつある駐車場。

 今なら、ギリギリやれそうだからな。

 俺たちは作戦を話し合って、防衛線を築くことにしたのだった。


前話の後書きに入れた設定、前に一回出してた……。

ちょっと情報量増やしてるから、許してね( ̄▽ ̄;)

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