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本日、二話目です!

連日、暑いけど、頑張りましょう!


 空から降る『ガイガイネン』は灰被り姫を砕きながら着地した。


「こんっのーっ! 」


 片足を無くしたナナミが屋根の上で吼える。

 飛び上がるように片足着地を決めるがバランスを取れず倒れる。

 なんとも痛そうな光景だが、本人は気にしていない。


 サクヤはいち早くナナミを支えに行っていて、俺たちも新しい『ガイガイネン』へと向かう。


「煮込みさんがいたら楽勝ですね! 」


 coinが向かいながら呑気な声を出す。


「いや、無理ミザ。あれはユニークスキルだから、ウェイトタイムあるし、MPが持ってかれるミザ」


 MPポーションをふりかけながら、煮込みが答える。


「ゐーっ? 〈煮込みってすぐペルセウス使うよな? 何か理由とかあるのか? 〉」


「ウェイトタイムが勿体なくて、早めに使うようにしてるミザ。必殺技を勿体ぶる余裕なんて私にはないミザ」


 そうか、β版からのやり込み組としては、結構、怪人を務める機会も多いのだろうから、煮込み的には、ユニークスキルを何発撃てるかが大事ということか。

 俺もそうした方がいいだろうか? 

 一度、やってみるか。


 そう考えながら、定番のおにぎりとエナドリαで体力と疲労を回復しながら走る。

 食い合わせはいつもながらに、悪い。


 エナジーバーの開発にはもう少し掛かるとかレオナが言っていた。

 おにぎりよりも簡単でいいんだよな、アレ。




「ゐーっ! 〈【神喰らい(オオカミ)】〉」


 俺は走る。右腕はすでに狼の頭に変化している。

 大型『ガイガイネン』だ。

 トラックくらいの大きさがある。

 大きな複眼にダンゴムシのような甲殻、太い足が六本。

 アレだ。ダイオウグソクムシに気持ち悪い色を塗りたくって、棘とかアリみたいな触角を足したら近い。


 そんな大型『ガイガイネン』の複眼に【オオカミ】を突っ込む。

 大型『ガイガイネン』が声もなく上体を起こして苦しそうに藻掻く。


 やめろや、複眼に手を突っ込んでるから、俺の身体が3mくらい浮いている。

 ちなみに複眼の味は、味のないガムみたいで、俺はちょっとえずいた。うぇっ……。


 それでも食えば体力は回復する。

 代価がHPまで割り込んで、頭の中で危険を示す音が響いていたのが止まる。


 大型『ガイガイネン』の身悶えで、俺は更に空高く飛んだ。

 ヤバい! 落ちる! 


 しかし、俺に痛みはなかった。

 子供たちを安全なところに逃がしたムックが駆け付けて、飛ばされた俺を抱きとめてくれたのだ。


「ゐーっ! 〈すまん、助かった! 〉」


「問題ないピロ」


 む、ムックがちょっと格好いいじゃないか。


「影、よろしくピロ」


 ああ、アレな。

 俺は【闇芸えんかいげい】で影を伸ばす。

 ダークピクシーは悪戯好きらしいしな。

 嫌われないように複数の狼型の影が『ガイガイネン』の影を襲うようなイメージをする。


 みょいん。みょいん。みょいん。


 真っ直ぐ伸ばした影があった地面が三ヶ所、爆発した。

 俺が食った複眼の死角から迫る影が、大型『ガイガイネン』の影に接続する。


「【新月渡り(イン・ザ・ダーク)】、【飛翔斬り】ピロ! 」


 影に潜んだムックが、大型『ガイガイネン』の死角から飛び出して、『ショックバトン』の斬撃型武器『ショックスレイヤー』で斬りつける。


 ん? 一瞬だが動きが止まった。

 状態異常攻撃、通るのか? 


 coinが大型『ガイガイネン』の足を『ショックバトン』で殴りつける。

 黄色文字で80点と出て、一瞬、動きが止まる。


「ゐーっ! 〈サクヤ、こいつにも属性チェックしてくれ! 〉」


「了解ですー」


 サクヤの属性弾が当たる度、赤文字やら青文字やら属性攻撃が効いている表示が出る。


「ひと通り、効きますねー。状態異常も一瞬ですけど通ってますよー」


 それならば、と俺は【正拳頭突き(ラビロケット)】を放つ。

 『防具無視』のエフェクトと「48」ダメージ。『昏倒』は発動しなかったが、状態異常は通っている。


 おっと、近づきすぎた。


 棘棘の足が俺を巻き込んだ。


「ゐーっ! 〈痛えっ! 〉」


「大丈夫ミザ! 」


 吹き飛んだ俺に、煮込みがHPポーションを掛けてくれる。

 頭からポーションを滴らせながら、どうにか立ち上がる。


 くおおっ、痛えっ! 


「ゐーっ! 〈すまん、煮込み〉」


「今の突っ込みは減点ミザ」


 少し怒った煮込みがかわいく見える。

 心配してくれているのが分かるからだ。


「ゐーっ! 〈状態異常、通るぞ! これで戦える! 〉」


「いたぞー! 」「よし! 殴れ、殴れ! 」「火炎浄土、参上! 」


 オレンジの全身タイツに革ジャンという中規模レギオン『火炎浄土』が参戦した。


「うなれ、火炎バット! 」


「おし、どんどん殴れよ! 」


 十人くらいの団体が、俺たちを無視して大型『ガイガイネン』に群がる。

 遠距離を中心にしていたサクヤは慌ててスキルを止めるし、近距離にいたムックやcoinは、フレンドリーファイアを恐れて遠巻きに見守る。


「こぉるらぁー! てめぇら挨拶はちゃんとしたのかー! 」


 一人の『火炎浄土』戦闘員が怒声を上げる。


「火炎浄土、参上って言っときました! 」


「バカ野郎! そりゃ挨拶って言わねえんだよ! 」


「さーせん、リーダー」


「総長って呼べや! 」


 総長という戦闘員はキョロキョロと辺りを見回して、俺のところまで来る。


「すいやせん。りばりばの方っスよね。

 火炎浄土のバルトってモンです。

 今さらですけど、参戦というか、アイツ俺らでいっちゃっていいスか? 」


「ゐーっ! 〈俺か。おい、煮込み、リーダー。任せるぞ〉」


「あれ? 言語なし? もしかして新人っスか? おかしいな、俺が間違えるなんて…… 」


「はいはい、このチームの代表の煮込みミザ。

 バルトさんて、あのバルトさんミザ? 

 握手、握手して欲しいミザ」


「え、ああ、ウチの有名どころと言えば俺っスけど、うわぁ、手ぇちっちぇえ! 子供っスか? 」


「むむ、失礼なやつミザ」


「ゐっゐーっ! 〈ぶふぉ! なんだか、愉快なやつだな〉」


 俺が笑うと、煮込みが俺にローキックを連発してくる。ご不満らしい。


 煮込みは、キッとバルトを睨みつけて宣言する。


「ランキングがあるかもしれない現状、ラスアタ〈ラストアタック〉は早い者勝ちミザ! 」


 言って煮込みは走り出す。


「オラオラ、いつまでも居ると巻き込むミザ! 」


「おお! 早い者勝ちね! オッケーっス! 

 んじゃ、行くっスよー! 」


「おい、リーダー撃つぞ! 」「やべっ、退避ー! 」


「ぶち抜け! 【魔剣グラム】! 」


 バルトの持つ剣が灼熱の赤に染まる。

 そのまま縦一文字に剣を振ると、バルトの身長の二倍くらいある長さの衝撃波が放たれた。

 射程は短そうだが、威力は高そうだ。


「ぬあっ! いきなり撃ったミザ! 」


 威圧感に振り返った煮込みが慌てて避ける。

 まあ、煮込みに当たる軌道ではなかったが、あれはびびる。


 一発、800点ダメージ。一撃で大型『ガイガイネン』は爆発した。


 バルトは残心している。長いな、残心。


「ふっ……ユニークスキル【魔剣グラム】。

 どんな敵でも、どんな装甲があっても、当たれば一発、800ダメージ。凄くないすか? 」


「ゐーっ! 〈ああ、凄い威力だ。その代価が長時間の硬直ってことか〉」


 未だバルトは残心。ポーズを決めているようにも見えるが、これは『硬直』だな。

 魔剣グラムを使う者には、必ず死が訪れるというが、これは納得だ。

 800ダメージを耐えられるなら、確実にバルトは殺されるだろう。


 俺は唸る。


 バルトはそれを、俺が関心を示していると考えたのか、ふっ……と笑っていた。

 愉快な男だ。専用スレがあるというのも納得だな。


「ぬうう、次は負けないミザ! 」


 煮込みが指を突きつけていた。



たまには設定公開でも。

まあ、都度説明は入れてるので、知ってることまとめみたいなもんですが。興味のある方だけどうぞ↓↓


 怪人レギオン紹介。


『リヴァース・リバース』〈最大規模〉

 黒い目出し帽に黒の全身タイツ。ベルトのバックルにRE

・自由が売りのレギオン。人は多いがまとまりはない。


『ガイア帝国』〈大規模〉

 白い全身タイツに法衣。

・ノルマあり、PKもプレイスタイルとして認めている。ただし、ノルマが達成できないと放逐も有り得る。


『シメシメ団』〈大規模〉

 青い法被にねじり鉢巻、黄色の全身タイツ。胸に〆のマーク

・お祭りレギオンと言われるくらい、集団で楽しもうという気風のレギオン。基本、うるさい。


『マンジクロイツェル』〈大規模〉

 赤い全身タイツにドイツ軍っぽい制服

・ノルマあり、集団行動を得意とする。昔はそれほど厳しくはなかったが、最近では『鉄の規律の〜』などと使われることが多い。


『世界征服委員会』〈中規模〉

 黒いフルフェイスヘルメットにグリーングレーの作業着。

・世界制服委員会とよく間違われる可哀想なレギオンと思いきや、勘違いから制服フェチが多く在籍している。軍服姿のマンジとは、たまに共闘する仲。


『ウィンタープレゼント』〈中規模〉

 蛍光緑の全身タイツに赤い仮面。

・不幸を配るブラックサンタクロースというコンセプトの集団。レギオン設立当初から黒の全身タイツが使えなくて困っているレギオンは多い。別に『りばりば』と不仲ということはない。


『ブラッククロニクル』〈消滅〉

 桃色の全身タイツに黒地に金の刺繍が入った陣羽織。

・β版の頃、猛威を奮った元、最大規模のレギオン。自由というより何でもありという姿勢だったので、嫌っている人も多い。


『火炎浄土』〈中規模〉

 オレンジの全身タイツに革ジャン。

・頭が馬鹿だと、周りが育つの典型というレギオン。

 幹部はバカで有名人。良く周りにケンカを売ってしまい、問題になるが、何故か存続している上にだんだんと規模が大きくなってきている。不思議。


『シャーク団』〈小規模〉

 青緑色の全身タイツにサメ型ヘルメット。背びれ。

・現在、詳細不明。小規模なので。本編をお待ち下さい。


『ブラックナイト』〈中規模〉

 金の全身タイツに黒の全身鎧。

・名前だけは先行しているが実態は不明。ここも黒の全身タイツが使えなくて苦労しているらしい。全身鎧とかわざわざ見せちゃう辺りが厨二くさい。


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[一言] >新月渡り このページのイン・ザ・ダークはこれになってるけど他のところだとたしか影渡りじゃなかったっけ
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