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56〈はじめての緊急イベント〉

暑くて書き物進まないよー。

と思っていたけど、汗で手が滑ったー!

半端な時間でごめんね。本日、二話目です。

まだの方は前話からどうぞ。


 ログアウトしてレポートの時間だ。

 まあ、今日はどこに冒険に行くでもなく、宴会をしただけなので、簡単に書く。

 ただし、天然食材の話だけはしっかりアピールしておく。


───待ってたよ! ───


───そんな待ってたとか言うほどのトピックはないんだが…… ───


───グレちゃんになくとも、こっちにはある! ───


 何かと思えば、動画が添付されていた。


 題名は『戦闘員VS戦闘員』。

 俺たちが『マギスター』を襲った時の動画だ。

 ムックが敵の戦闘員のビームバズーカを拾って大爆発したところが映っていた。


───よく見つけたな───


───『リバリバ戦略研究所』っていう個人サイトにあったよ。鍵付きだから、普通の人は見られないとこ。あとこっちは『シザマンティス・シノビピロウVSマギハルコン・ロータスフラワー』───


 この動画は、前のやつの続きだな。

 『戦争イベント』開始からの顛末が映っている。

 見ていると、煮込みとムックが如何に頑張って死なないように立ち回っているかが良く分かる。


───怪人も簡単じゃないんだな───


───立ち回り? この二人は凄い上手いよね! グレちゃんたちを信頼してるっていうか、連携取ろうとしてるの分かるし。

 最近の怪人は自分が、自分がって人が多いから、余計に良く見えちゃう───


 従妹が褒めるんなら、本物だ。

 こいつ、ミスはミスとして見逃せないところがあるからな。

 それと、仲間が認められているというのは、なかなかに気分が良い。

 誇らしげな気持ちになるな。


───ちなみに、グレちゃんはミスが目立つから気をつけてね。基本の嫌がらせで使ってる黒いモヤモヤ攻撃とか、忘れてる瞬間がちょいちょいあるよ───


 うん、俺に対しても厳しいな。


───いや、あれは決まったところで2秒とかだから、撃っても撃たなくてもあまり関係ないというか…… ───


───その2秒で展開が変わる面白さが『リアじゅー』じゃん! ───


 確かにその通りとしか言い様がない。


───お、おう。その瞬間だとテンパってる時とか多くてな───


───言い訳、カッコワルイ! ───


───なんも言えなくなるだろうが───


───まあ、レベルの割には頑張ってるよ───


───すげー上から言ってくんな! ───


───だって、やったらグレちゃんより活躍するからね───


───はいはい。じゃあ早くゲームできるように夜更かししないで、安静にしとけよ───


 そう返信して、俺は寝た。


 朝、起きると静乃から連絡が来ていた。

 何故か、一部の大手レギオンが【農民】スキル持ちを集め始めたらしい。


 昨日の宴会のせい、だろうか? 


 だとすれば『リアじゅー』内で天然食材が普通に手に入る日も近いかもしれない。


 少し機嫌よく仕事を終わらせて、準備を整えたら、俺はログインする。




 さて、何をしようかと考える。

 昨日は宴会やって、帰りにレオナに付き合ってもらって畑を増やした。

 どーん、と百区画増やして、今、俺の畑は百五十区画ある。

 昨日の内に種系のものは全部植えてある。


 まずはドローンで収穫だけしておこう。

 収穫をすると、新しい種が手に入る。

 不思議だ。

 まあゲームだから、と言ってしまえばそれまでだが、毎日収穫できるので、収穫物と種が俺のロッカーに貯まり始めている。

 少し売るか? 


 薬草なら一区画分で1マジカ程度の売り上げらしい。

 もう少し貯めないとダメだな。


 今の俺はLv61か。もう少しレベルアップして、『無常なる高野の山脈』に普通に挑めるくらいにはなりたい。

 そのひとつ手前のフィールドで修行でもするか? 


───緊急イベントが発動しました───


───『飛来せし文明の破壊者』が行われます───


───詳細は各レギオン大モニターをご覧下さい───


 俺は『大部屋』のモニターを見る。

 そこには今回のイベントの詳細が出ている。

 次のようなものだ。


 緊急イベント『飛来せし文明の破壊者』


 ・空から外概念の体現者が多数降り注いでいます。このままでは『シティエリア』の文明が崩壊する可能性があります。

 各レギオンは共闘してことに当たって下さい。〈ヒーローレギオン、怪人レギオン、双方での共闘イベントとなります〉


 イベントルール

 ・フレンドリーファイアあり

 ・くぁwせdrftgyふじこlp……〈外概念解析、変換、80%……P保護……〉→感覚設定、有効

 ・デスペナルティ、アイテム消失︰小 レベルダウン︰■■■……〈30レベル……概念強化……解析待ち……完了〉→なし

 ・変身、可能

 ・武装、シティエリア持ち込み可能品のみ


 ん? 良く分からん。と目を擦る。


 イベントルール

 ・フレンドリーファイアあり

 ・感覚設定、有効

 ・デスペナルティ、アイテム消失︰小 レベルダウン︰なし

 ・変身、可能

 ・武装、シティエリア持ち込み可能品のみ


 文字化け、というか何となく言葉の意味が入って来たが、一瞬で画面が切り替わって、普通に理解できるものになった。

 見間違い、だろうか? まあいい。


 画面には空中を落下してくる虫みたいな姿が『エネミー〈敵〉』として表示されている。


「皆さん! 大首領様よりメッセージがあります! 画面をご覧下さい! 」


 お! レオナが来た。

 まあ、とりあえずは画面を見てみるか。


 画面が切り替わって、紫バックのいかにもな悪の秘密組織の玉座が映る。

 そこに座る……座る? そこに居るのは小さなブラックホールみたいなナニカだった。


「皆の前に姿を現すのは何度目のことか…… 」


 声が聞こえる。地の底から湧き上がるような、ざらざらとした声だった。


「このような身体ゆえ、画面越しでの引見(いんけん)となる。許せ…… 」


「今回の緊急なる告知に皆も驚きを隠せぬことは重々承知のことだが、運営も混乱してカオスゆえ、その方らも心して聞いて欲しい…… 」


「カオス? 」「いや、大首領がカオスだわ」「運営とか言っちゃうのか…… 」


 周りがザワつく。


「此度の戦い、『飛来せし文明の破壊者』は我らと科学文明信奉者との争いに水を差す、外概念ガイガイネンとの戦いである。

 外概念は説明が難しいが……我らの理解の外にある何者かと考えれば良い。

 もしくは、地球の敵『ガイガイネン』としようか。

 うむ。『ガイガイネン』は我らの理外から攻撃を仕掛けてくる敵である。

 科学文明信奉者との戦いに割って入る害虫である! クソである! 

 やつらを許してはならない! やつらを許せばこのゲームはゲームオーバーを迎える。

 嘘ではない。このコンテンツをオワコン化しない為にも、諸君らの奮闘を期待する! 

 ジーク、○オン! 」


「「「ジーク、ジ○ン! 」」」


 おい! 巫山戯た大首領様だな。

 ノリノリなやつらも多かったのが、何とも言えなくなるが、アレはいいのか? 分からん……。


「大首領たん、なんか笑える」「中の人、ノリノリの演説じゃん」「要は第三勢力みたいなのが来たって理解でいいのか? 」「いいんじゃないか? 」「FFフレンドリーファイアありだろ? ヒーローとか信用できんの? 」


「静かに! 大首領のメッセージはアレでしたが、要は『ガイガイネン』の撃退ミッションです! 混乱を避けるため、今回はヒーローレギオンは無視という方向性が参謀部から提案されています。

 今から我々の作戦を説明します! 

 モニターをご覧下さい! 」


 レオナが話し始めると、皆、サッと黙る。

 訓練されてんな。

 モニターには映像が出ていて、それを指差しながらレオナが説明を始める。


「今回は『シティエリア』での攻防ですが、我々は『住宅街』『繁華街』『行政区』『港湾区』『経済区』『遊興区』『郊外』『鉱山』の八つのエリアの内、『遊興区』を守ります。

 参謀部の予想によれば大手ヒーローレギオンは『経済区』『住宅街』『行政区』『繁華街』に集中すると見られており、他の怪人レギオンとの協議の結果、我々と中規模レギオン『火炎浄土』とで当たることになりました」


「遊興区か」「うっそ、バルトさん来るじゃん」「ああ、あの一発屋、『火炎浄土』だっけ」「バルトさん、バカにすんな」「はいはい、お約束はスレでやろーな」「重要そうなとこ全部ヒーロー任せ? 」「ゲーム終わんの? 」「分岐点なんじゃねーの? 」「フラグ分かんなかった」「三陣来て、人増えたからテコ入れだろ」


 情報が錯綜している。

 ん? モニター下の受付に人が集まってるな。


 レオナが軽く手を叩く。だが、今度はなかなかざわめきが収まらない。

 具体的な方向性が決まったからなのか、全員、浮き足立っている感じだ。


 ぱーん! 


 レオナの拳銃が空に向けて一発。


「傾聴! 」


「「「…… 」」」


 シン、と辺りが静まり返る。


「『ガイガイネン』との戦いで、このゲームが終わるかどうかは幹部会で運営に問い合わせを出しています。

 今回の緊急イベントについても、β版含め初めてのことで我々にも分かっていません。

 もし、このゲームにゲームエンドが本当に来るのだとして、それが外敵による侵略エンドというのでは、我々がヒーローと戦って来た意味が無くなります! 

 あなたたちは、それを認められますか? 

 私は断固として、認めません! 

 戦いましょう! ゲームエンドは我々プレイヤーの手にあるのだと、運営に思い知らせましょう! 

 分かったら、返事! 」


「「「イーッ! 」」」


「今回、魔石による復活はありません。

 本部からの再出撃という形になります。

 装備部で武器を受け取ったら、各員順次出撃して下さい! 

 それとLv120以上の方は、復活怪人コアの貸出があります。

 早い者勝ちです! 装備部に申し出て下さい。

 それでは、各員、奮闘を! 以上です」


「「「イーッ! 」」」


 おお、全員の返事が揃うとこう……心に火が灯る感じがする。


 なるほど、いち早く武器の貸出に気付いた連中が受付に群がっていたということか。


 俺も受付に並ぶことにした。


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