445〈side︰じいじ〉
本日三話投稿の三本目になります。
まだの方は一本目からお願いします!
私は浮遊都市『エデン』へとやって来た。
私の乗る車椅子を押すのは五杯くんだ。
亡き五杯博士の遺児だが、今では立派な青年に成長している。
「先生、研究所の開設はまだ十日も先で、今、行っても邪魔になるだけですよ……」
「十年経っても、この地に残る複雑な気持ちは消えぬままか……」
帰りたそうにする五杯くんに私は声を掛ける。
「そりゃあ、簡単には忘れられませんよ。
父さんが何をしたのかは聞きましたけど、それでも僕にとっては良い父さんでしたし、フェンリル……グレンって人は僕の父さんを殺した悪人です。
先生みたいに、昔から知っている人じゃないですからね。
あの時、世界の転換点だったと言われても、納得はできませんよ……」
「だから、残っていていいと言ったんだがな」
「今後の超能力者の正しい生きる道を創るって父さんの絵空事を現実にするためには、先生の師事を仰ぐしかないんですよ、僕には……。
先生が行くと仰られるのなら、僕の複雑な事情は置いておいて、やはり、ついて行くしかないんですよ」
ふう……やれやれ。
これから、私がしようとしていることは、やはり五杯くんには言えないな。
齢七十にして、ようやく超能力に目覚めた私は、この力をグレンとSIZUに使いたいと思った。
ガチャ魂『霊媒師☆☆☆☆』。
死者と話をするだけとも言えるスキルだ。
まあ、この歳で世界の命運を左右するガチャ魂をもらっても、どうにもならないからな。
ある意味、私には充分なスキルだと言える。
元Bグループの研究棟があった場所。
今ではすっかり修繕されて、新しい研究棟が建てられている。
「すまないが少しだけ一人にしてくれないか」
「ええ、いいですよ。どうせ十日後には、僕もここに来なくちゃならない訳ですしね。
先生がお望みの公的な超能力研究機関です。
感慨もおありでしょうよ。
僕はその辺で、時間を潰して来ますから」
そう言って五杯くんは離れていった。
私は小さく呟く。
「【霊媒】」
───聞こえるか、グレン。SIZUくん……───
このスキルに一縷の望みをかけて、私は呼び掛ける。
あの転換点を経て、時代は変わったのだと、君たちのしたことは無駄ではなかったのだと伝えたい。
私は必死に祈った。
───頼む。応えてくれ。グレン。SIZUくん……───
遠く、遠吠えが鳴り響いた。
了
本編はこれにて終了となります。
グレンとSIZUがどうなったかは読んで下さった皆様の判断に任せるとして。
今回はヨルムンガンドだけが取り残されたようです。
ちなみに、ゲーム内に入っていたBグループ人員。
天粕さんたちは研究棟の中で全員が肉体を失うこととなりました。
かぷかぷくんがあのタイミングで出て来られたのは、一人だけ『マギクラウン』ではなく『ムーンチャイルド』所属だったからです。
色々と拙い部分もあり、誤字脱字もありで、読者になってくれた、自分の作品を見つけてくれた皆様のおかげで、ここまで書くことができました。
本当にありがとうございます!
次回作は書くつもりですが、まだどれを書くか決めかねてまして……。
しばらく書き溜め期間をいただいてからになるかと思います。一ヶ月以内にスタートするつもりです。〈締切作っておかないとダラダラしそうなので……〉
その時には、こちらで短編を一本上げるつもりですので、ブクマをしばらく残しておいて頂ければ、次回作スタートが分かるかと思います。
それまで、しばしお待ち頂ければと思います。




