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426〈片手の戦士と食い止める死者の王〉


「こっちだ、マギミスリル!」


 咄嗟に『マギシルバー』の注意を引きたくて出た言葉だったが、これはNGワードだったらしい。


「俺を……俺はアイツとは違うっ!

 マギスターを守れなかったアイツと一緒にするなっ!」


 俺にはその違いが分からなかったが、注意が引けたなら満足だ。

 『マギシルバー』がゴーレム系特有のパワーでもって、ジャンプキックを放つ。

 そのヤバい匂いに、【緊急回避(ウルフステップ)】を使わされてしまう。

 ウェイトタイム的にはギリギリだ。

 あまり集中的に狙われると、スキル回避を中心にしている俺でも、スキルが足りなくなってくる。


「俺はっ! 俺はあぁぁぁっ!」


 どうにか逃げ回るものの、完全にロックオンされたようで、苦しくなってくる。

 多少の無茶をしなくては、逃げきれない。


 自傷系スキルを切るしかないか……。


 覚悟を決めようかと思った瞬間、『マギシルバー』の脇からこれでもかと銃弾が撃ち込まれた。


「グレちゃん、後はお任せ!

 研究所まで、もう少しだよ!」


 SIZUとアパパルパパ、響也が織田信長の三段鉄砲よろしく、交互に銃弾を放って『マギシルバー』の足止めをしてくれる。


「ちっ……鬱陶しい雑魚どもが!」


 『マギシルバー』はそれでも俺のことを気にしていた。


「雑魚ですか? 雑魚に言われても響きませんね。

 とにかくヒーローモドキさん。

 これ以上、グレちゃんのストーカーはさせませんよ。

 設定は黒い服以外の全員とします」


「ふん、なめるな戦闘員!

 死にたきゃ相手をしてやる!

 【銀鉱石の護り(シルバーゴーレム)】!」


 『マギシルバー』の銀の鎧が更に銀で覆われていく。

 それは銀の追加装甲のようで、防御力がさらにアップしたように見える。

 銃弾の雨をものともせずに歩き始める。


「【死の軍団(ヘル)】!

 敗因はね、スピードを捨てたこと。

 それから、慈悲を捨てたこと」


 SIZUの宣言と共に、地面から死者が現れる。

 SIZUのスキルは、SIZUが見た死者を『死の軍団』として召喚するというものだ。

 入院患者らしき人々がいる。それから、日本軍の兵士がいる。外国人の兵士は、この場に呼ばれたスパイたちだろうか、それから遺伝子組み換え人間デザイナーズチャイルドに、俺たちの仲間たち……。

 百人以上の死者たち。

 顔ぶれを見るに、これは現実の死者たちということだろう。

 いつのまに、という思いと、これほどの死者をSIZUが目にしているという事実に驚いた。


「止まれ! おい、俺の命令が聞こえないのか!」


 『マギシルバー』が日本軍兵士たちに命令を出していたが、それは死者だ。


「ちぃっ! 俺の邪魔をするなっ!」


 『マギシルバー』の肥大化した拳が、死者を叩いた。

 どちゃり、と重い物が飛んだ。

 それは、首だ。

 だが、首を無くしても死者は止まらない。


「うっ……く、来るな!

 来るな、来るな、来るなーーーっ!」


 『マギシルバー』が身体を震わせる度、腕を振り回す度に、死者が弾かれ、のそりと起き上がり、また向かって行く。


 SIZUが転びそうになるのを、アパパルパパと響也が支える。


 そうだ。SIZUの【死の軍団(ヘル)】の代償は両足の壊死……。


「おい、静乃!」


 俺の声にSIZUは支えられながら手を振る。


「会長に治してもらうから大丈夫!

 行って!」


 会長は簡単な治癒系スキルだけじゃないのか。

 俺が捕まっていた間に成長した皆のスキルが把握できていないことに気づくが、後の祭りだ。


「アパパ、響也、SIZUを頼む!」


 二人が頷くのを確認して、俺は研究所へと向かうのだった。



遅くなりました!

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