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レビューいただきましたー!〈パチパチパチ!〉
ありがとうございます!
そして、ありがとうございます!
現実での『グレイキャンパス』緊急会議だ。
「会長の考えが正しいと思う」
改めて分かっていることを羅列して、SIZUが言った。
「今回の爆破痕事件は、Bグループが使ったアースガルズがあれば充分に可能なことでしょ。
マスコミ報道はわざとそれを避けているようにしか見えない」
ニュートラル・パーソンズ・クリーナー。
『リアじゅー』用語でNPC保護フィールドだ。
『リアじゅー』内では、『シティエリア』で戦闘が起きた時、NPCを保護するために使われる空間隔離フィールドを再現したものをBグループは『アースガルズ』と名付けて使っている。
だが、その再現度は完璧とは言えず、『スターレジェンズ』のアジト強襲時に使われた時もかなりの人数の関係ない人々を巻き込んで、殺している。
これは予想の域を出ないが、『ユミル』が開発者コードでBグループに好き勝手されていた時、『ユミル』の中にあるNPC保護フィールドの設計図なり、基礎研究理論なりを抜かれたのではないかと思う。
未来技術の半端な再現とでも言おうか。
どういう理論で人を分けているのか分からないが、とにかくBグループの使う『アースガルズ』は半端だ。
「つまり、SIZUはBグループが、アースガルズを本来の用途ではなく、超能力者の仕業に見せるために使われていると、考えてるってことかにゃ?」
会長が言うのに、静乃は強く頷いた。
「はんっ……奴らがやりそうな手だな……」
最近、さらに肉付きが良くなって首が見えなくなりそうな響也が鼻を鳴らして憤る。
「それで、ドーしますカー?」
アパパルパパが妙なイントネーションで静乃の方を窺う。
「一番いいのは、アースガルズの破壊と、その再現をできないようにすることだけど……私たちでできるかな?」
「何が盗られたか分からないと、破壊も何もないよ」
主婦のまりもっこりが手を上げた。
「白せんべいさんなら分かったはずですよね……」
遠い目をして山田が呟く。
俺は、重い腰を上げる。
「あまり気は進まないが、リアじゅー内で白せんべいと情報のやりとりができる……聞いてみるよ」
「そんな方法があるのか?」
響也が驚く。
「ああ、『ノルニル』のガチャ魂持ちがいる。
何故か彼女は白せんべいたちとの連絡役に選ばれている。
ただ、彼女はまだ子供だ。
巻き込まないようにしたい……」
「子供か……そうだね……慎重にやらないと……」
みんなから口々に似たような言葉が出てくる。
俺たちは慎重に計画を練り、それから『リアじゅー』へとログインした。
いつもの『大部屋』で、ばよえ〜んに連絡を入れると、ちょうどログイン中だったので、一緒に『シティエリア』に言って欲しいと頼む。
「お待たせしましたです!」
「ゐー……〈悪いな、急な頼みで……〉」
「そろそろ呼ばれる気がしてたです!」
これも『ノルニル』のスキルの力なのだろうか?
「ゐー……〈そ、そうか……〉」
「最近、先のことが見えるというか、カンが鋭くなった気がするです!」
「ゐー?〈な、なあ、それってゲーム以外もってことか?〉」
「はい、そうなのです!」
リアルスキル……超能力者として目覚めかけているようだ。
静乃たちに伝えて対策を練るべきだろう。
俺は、ばよえ〜んに付き合ってもらって、『観光区』の前と同じ旅館に向かうのだった。




