表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
328/447

328


 『ダゴン秘密神殿』入口から一度に入れるのは二十名から三十名程度。

 合計八つの入口があるので、最高二百名強が五分に一度、このダンジョンに挑むことになる。


 内部構造は一時間ごとに変更される。

 『ダゴン』まで辿り着いたやつらはいるし、戦ったやつもいるが、スキルは判明していない。

 『ダゴン』と戦ったやつらは、一様に記憶を失っているのだ。

 本来ならば、『シュリンプマン』の元になったプレイヤーがいるはずで、そいつに聞けばスキル内容も分かるのだが、持ち主は名乗り出ない。


 まあ、自分のスキルを打ち明けるのはかなりの勇気がいるだろうし、それを取り逃したとなれば、レギオンの恥となる。


 難しいだろうな。


 『ダゴン』か。メソポタミア系神話に出てくるらしいが、クトゥルフ神話にもいる。

 豊穣神、冥界神、悪魔とされることもある。

 性格に多様性がありすぎて、スキルの予想もつかないな。

 『リアじゅー』では同じ名前でもスキル違いのユニークというガチャ魂の場合があるので、決めつけも怖い。

 つまり、情報なしで挑むしかないわけだ。


 現在、各レギオンの代表が集まって対策を話し合っている。

 五分に一度、二百名強しか挑めないということで、ここには人員が余っている。

 大部分は北西の巨大樹に向かうことになりそうだ。

 それとも、あるかどうかも分からない『ガイガイネン』の座標爆破のリソースを飽和攻撃で削るパターンも有り得る。


 暫くして、代表として出ていたジョーが戻って来た。


「大規模レギオン八つで人員を選出、一時間でのダンジョン攻略を選ぶことになった」


 ジョーの説明によれば、一時間ごとに内部構造が変わるということは、つまり、一時間以内ならば内部構造は変わらないということだから、最初にスピードがあり、敵の相手をしなくて済むようなパーティーを八ヶ所から投入。

 そのメンバーはマッピング中心に動く。

 次に雑魚敵殲滅を目的とした部隊を投入。

 マッピングパーティーは三十分を目処にリスポーンを選ぶ。

 マップ完成後は全レギオンで共有。精鋭部隊を投入し、確実に『ダゴン』を追い詰めるというものだった。

 『ダゴン』が本当にHP回復スキルを持たないならば、これを繰り返すことで削り切れるだろうという作戦らしい。


 まあ、『ダゴン』が自分で作ったルールに則って最後まで戦えるのならば、という条件付きだが、タイムアタック式のダンジョン攻略としては至極真っ当なものだった。


 なるほど、中途半端に相手のルールに乗るくらいなら、全乗っかりしてしまえということらしい。


 ダメなら北方面に回した戦力を呼び戻して、飽和攻撃にするらしい。




 怪人の場合、復活石を使ったリスポーンができないので、俺は三十分後に突っ込む『ダゴン』削り要員になった。

 マッピングにはジョーやばよえ〜んが参加する。

 ばよえ〜んは再生怪人だが、再生怪人は少し強い戦闘員という扱いのため、復活石が使える。

 そして何より、下手な大人の戦闘員よりしっかりしていて物覚えもいいので、マッピング要員にぴったりだ。


 『ダゴン』の声が響いて。


「ルーララー。マップ変更の時間だ。中に居るやつは巻き込まれないようにな……」


 と、楽しげな宣言が下される。


 中に誰がいようが関係なくマップ変更は行われるのか。

 内部の壁も攻撃するとルール違反になるのだろうか。

 確認すると、内部では壁役の大型『ガイガイネン』が死亡した時点で、ルール違反になるらしい。

 まあ、それくらいは初期の内に確認して当然という気もする。


「そろそろ入口が開くぞ!

 マッピング隊、俺に続け!」


 ジョーが選んだ人員が入口が開くだろう場所に集まっていく。


「ルーララー! さあ、次の挑戦者よ、来るがいい!」


 こうして、タイムアタック式ダンジョン攻略が始まったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ