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 『ユーピテルメモリー』の幹部。

 そいつが黄色ヒーローの第一候補だ。


 静乃たちに連絡は回すとして、どう接触したものかと考える。

 まあ、そこは静乃に任せるか。

 相手が科学文明側レギオンだと、魔法文明側レギオンの俺には、かなり難しい問題になるからな。


 この問題は一度、置いておくとして、煮込みやムックたちと『シュリンプマン〈模倣神格〉』狩りに出かける。


「ゐーんぐ?〈生け贄はどうする?〉」


「自分が。星4の天使を手に入れたので、狂信者の自爆スキルと合わせれば、良いかと」


 coinが手を上げた。


「coinさんの天使スキルはどうなんですか?」


「手に入れたばかりで成長させてませんが、初期スキルは【賛美歌】という味方のHPを底上げするバフスキルなので、バフ系ならばシナジーはないかと。

 しかも、【賛美歌】は自分には掛からないですから」


 なるほど、孤立させて戦うのが基本な以上、『シュリンプマン』がcoinの【賛美歌】を使っても対象がいなくて不発することになる。

 しかも、coinの自爆スキル【我が身を糧に(ファナティックボム)】は10m範囲と威力はあるが、体力、疲労、HP、MPが全て1になる諸刃の剣なスキルだ。

 これは『シュリンプマン〈模倣神格〉』にとっては最悪の生け贄かもしれない。


 俺たちは『ガレキ場』で周囲を確認しつつ、『ケージ』を探す。


 敵の数を減らすことも忘れない。


「ゐーんぐ!〈ケージだ。人影確認!〉」


 俺は見つけた『ケージ』を本隊に報告する。


「んじゃ、グレンに釣るのは任せるミザ!」


「自分は生け贄の用意をしておきますね」


 coinがシナジーの無さそうなガチャ魂に入れ替え始める。

 こればかりは、どんなガチャ魂を持っているかにも寄るし、試してみないと分からないのでcoinのセンス次第だ。


 俺は『ケージ』を釣ってくる。


「では、行ってきます!」


 生け贄になってしまうと、普段と違って一分程度リスポーンに掛かる。

 復活石などがなければ、さらに戻って来るまで移動に時間が掛かる。

 ゲームとして考えると、面倒な仕様だが、自分のコピーが批評されながら倒されるのを間近で見るのと、どっちがいいだろうか?


 微妙なところだ。


 『ケージ』を倒したところで、ここからが本番だ。

 全員で『シュリンプマン〈模倣神格〉』に備える。


 『ケージ』の背中を割るようにして、『シュリンプマン〈天使〉』が現れた。

 やはり左半身が黒い人間で、右半身は『シュリンプマン』だ。


 いきなり目の前が赤くなって、座標爆破が来ることを知る。

 ミョイン! という音でも分かるので、全員で一度、散った。

 爆発が起きる。


 最初に全員で固まっておくと、『シュリンプマン〈模倣神格〉』は直線での連続座標爆破を仕掛けて来るので、ここまではシステム的に全員が動いている。

 損害はゼロだ。


 問題はここからだろう。


 『シュリンプマン〈天使〉』の動きを見ながら攻撃を仕掛けていく。


 10m範囲の自爆スキルは分かっているので、なるべくお互いに距離を取る。

 『シュリンプマン〈模倣神格〉』は弱い内に叩いて、数で存在値を稼ぐのが一番だ。

 強くなると厄介だからな。


 今までにいくつかのレギオンから、取り逃し報告が上がっている。

 そうなると、別のレギオンが出会った時、スキルが判別していない状態で戦うことになり、かなり不利だ。

 幸い、今までのところは他のレギオンから発見報告と共に殲滅報告も上がっているので問題はないが、『シュリンプマン〈模倣神格〉』を作るだけ作って全滅というのは、結構、恥ずかしい。

 他レギオンからも迷惑をかけるなと、お小言をもらったりする。

 簡単に言うと政治的発言力が弱まり、他レギオンに借りを作ることになる。

 そういうものは、じわじわと自レギオンを苦しめることになるのだ。


 例えば、俺たち『りばりば』が『ラグナロクイベント』で『ガイア帝国』に借りを作ったため、今回のイベントでできかけた科学文明側レギオンとのパイプを一度、全て白紙に戻すことになったのは、そういう部分に由来する。


 つまり、早めに倒せるなら、それが安全確実なのだ。


「ムック隊長、私たちで自爆スキルを誘発させます!

 骨は拾って下さいね!」


 ナナミが言って、数人の戦闘員で固まって攻撃を仕掛けにいく。


「分かったピロ」


 俺たちはその時を待った。


「【我が身を糧に(ファナティックボム)】!」


 使った。

 俺たちはトドメをさすべく、走った。


 ミュイン!


「ゐーんぐ!〈自己範囲型だ!〉」


 『シュリンプマン〈天使〉』が自身の周囲に座標爆破をバラ撒いた。

 反応しきれなかった数人が爆発に巻き込まれた。


「れべるあっぷ!」


 何故か『シュリンプマン〈模倣神格〉』は最初にユニークスキル、次に言語スキルにポイントを振りたがる。

 俺たちと同じように成長がポイント制なのだろうという予想は既に立っている。


 どうせ、れべるあっぷか、俺たちの言葉をそのまま反芻するくらいしか話さないのだから、意味が無いのだが、無駄にポイントを使ってくれる方がありがたい。


「今ピロ!」


 ムックが飛び込む。


 ミュイン!


 は? 今、別方向から座標爆破の音がした。

 ムックは爆発に巻き込まれて消えた。


 今回、俺たちは復活石を使っていない。

 戦闘復帰はしばらく後になるだろう。

 いや、それよりも今の爆発の方が問題だった。


 俺たちが音の方向を確認すると、そこには別の『シュリンプマン〈模倣神格〉』が立っているのだった。



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