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翌日、夜。

昼間は昨日眠れなかった分を取り戻すべく寝てしまったので、夜はやることがない。

俺は『リアじゅー』にログインすることにした。




いつもの『大部屋』。

未だ『ガイガイネン』イベントに決着がつかない現状、『作戦行動』は起こせないので、基本的に『ガレキ場』に行くか、フィールド探索に行くかの二択になる。


サードアイでも読めない『ガイガイネン』イベントの現実への影響を考えると、やはり『ガレキ場』に行くべきだろう。

そう、『リアじゅー』と現実の相関関係を考察しているサードアイのホームページ上でも『ガイガイネン』の動きが現実に及ぼす影響は危険視しているものの、どういう影響が出るかという問題は言及されていない。


危険な芽は摘んでおくべきだろう。


現実では神話世界が近づいているなんて話も出ている。

『ガイア帝国』の勝利は喜ばしいことだが、大規模レギオン同士のラグナロクイベントは現実への影響が大きすぎる。


これが『ガイガイネン』に置き換わった時、現実への影響が全くの未知なのが怖い。

未だ『ガレキ場』以外の『シティエリア』内でも完全排除できていない以上、一番上の頭は潰しておきたいところだろう。


今日は糸率いる有志メンバーとパーティーを組んだ。

俺が知っているのは糸とムサシだけだ。

他ははじめましてのメンバーだな。


人数が多い。パーティーひとつで三十人以上だ。

今までは十人前後でパーティーひとつという組み方をしていたが、『シュリンプマン』が湧き始めてから、一体だけを釣って倒す方法が困難になったからだ。


『シュリンプマン』は指揮官のように、自身の周囲にいる『ガイガイネン』を従え、パーティーを組ませる力があった。

三匹一組でパーティーを組まれると、非常に厄介な敵になる。

中心の『シュリンプマン』を倒せば、敵の連携は途端に瓦解するが、『シュリンプマン』を倒さない限り、まるで将棋かチェスでもやらされているかのように、三十匹くらいの大型、小型『ガイガイネン』が連携してくる。


敵の連携を凌ぐには、三十人くらいいないと辛いということだ。


『ガイガイネン』イベントに参加しているプレイヤーは、また緩やかに横の繋がりを持ち始めていた。


俺は斥候として、周囲の状況を見渡す。


グレン︰南東方面で『ヴィーナスシップ』が仕掛けた。


糸︰何グループ動いていますか?


グレン︰現状、三グループだ。半包囲。『ヴィーナスシップ』中心に右翼の『世界征服委員会』が動いている。左翼は混成ヒーローパーティーが動いたぞ。


ムサシ︰敵、増援は?


グレン︰後方左翼側、『コンフュージャー』と『ケージ』、『ウィザード』でチームみたいだ。


糸︰遠距離デバフと遠距離火力ですか……こちら側はどこか動いてますか?


グレン︰『ガイア』が回り込んで、『シュリンプマン』を狙いに行きそうだな。


糸︰では、我々は敵増援に当たりましょう。


チャットを使い、パーティーの方針を定めると、糸の指揮に従い『りばりば』のパーティーが動いた。

俺は【飛行】を駆使して、全体の戦況把握に努める。


最近は、糸の指揮にも余裕が出てきて、任せて安心という感じになってきた。

数人で『ウィザード』の注意を引きつけて、『ケージ』はムサシが変身して叩きながら逃げる。

糸の本隊は『コンフュージャー』を全力で叩いてから、『ケージ』へと向かう。

俺も、戦況把握をしながら、たまに遠距離攻撃で経験値を稼がせてもらう。


現実では左腕がないんだが、『リアじゅー』ではある。違和感なく動くしな。

いちおう、怖いので『狼人間』と『金山羊』の回復再生ガチャ魂は、デフォルトで入れっぱなしにしているが、余りに左腕に違和感がなくて、つい忘れそうになるな。


そうして、戦うこと二時間ほど。


ようやく『シュリンプマン』に手が届く。


『シュリンプマン』は単体でもかなり強力な個体だ。

『ガイア帝国』が途中で別部隊に阻まれてしまったので、ここは俺たち『りばりば』と直線で突き進んで来た『ヴィーナスシップ』の共同戦線だ。

俺たち『りばりば』は『ガイア帝国』にいち早く手を貸したことでヒーローレギオンから反目されているが、呉越同舟、目的が同じ以上、無駄に戦うことはない。

ただ、なんとなく距離を置いて戦うだけだ。


しかし、そのおかげで『シュリンプマン』は二方向から攻められるので、対応しきれなくなってきている。


「ヒット&アウェイだ。ヴィーナスシップの射線を塞ぐと恨まれますからね。慎重に行きましょう」


糸の指揮により、俺たちは近づいては、離れての繰り返しで戦う。


「おし、シュリンプマン、片膝ついたぞ!」「効いてる、このまま押すか?」「いや、下がれ。どうせラスアタラストアタックボーナス無いんだ。譲ろう」


無理せず退いたその時、『ヴィーナスシップ』戦闘員のビームチャクラムが飛んで来て、『シュリンプマン』の甲殻に食い込む。


『シュリンプマン』が断末魔の叫びを挙げる。


「りらららららー、【食いしばり】」


一瞬、全員が動きを止める。


スキル、だと!?


コイツ、なんなんだ?




遅くなりましたm(_ _)m

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