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本日、五話目。
───リザルトに移行します───
───ボス戦ルールが解除されます───
俺が逃げ回っている間に、なんとか『森の主・狂えるエント』は倒されたようだった。
表示されるリザルト画面を見る。
リザルト画面では貢献度によってドロップと経験値が変化するようだった。
おお! 俺の貢献度が3位だったらしい。
貢献度ランキング
・1位、TRICK『マンジ・クロイツェル』
・2位、ムサシ『リヴァース・リバース』
・3位、グレン『リヴァース・リバース』
ボス戦報酬
・魔石×5
・復活石
・✩3以上確定ガチャコンパク石
・無料ガチャコンパク石
・狂えるエントの丸太×2
・精霊樹の種
・精霊樹の葉×5
こんなに貰えるのか。
腕も潰さずに済んだし、ラッキーだったな。
さらに、経験値だ。
ボス戦までに2レベル、ボス戦後に5レベルもアップした。
さっそく、ポイントの割り振りをしないとな。
名前:グレン〈Lv13→20〉
〇力:6
〇器用:5
〇素早さ:6
〇知力:15
〇精神:15
〇特殊:21→28
〇生命:6→10
〇運:5→8
〇魂:『フェンリル』『グレイプニル』『ダークピクシー』
〇スキル〈残り4〉:【回避】9→11【夜の帳】7→12【全状態異常耐性】8→15【回し蹴り】6→10【農民】5【装備設計】1【封印する縛鎖】7→10
△副能力値
△装備重量:12
△ダメージ:+12→16
△武器命中:+11→15
△回避:+11
△装備設計:+20→23
△状態異常:+36→43
△異常耐性:+36→43
△体力:12→16
△疲労:21→24
△HP:17
△MP:52→59
能力値は特殊をひたすら上げ、毎回足を引っ張る体力と毎回お世話になる疲労が上がるように生命と運にある程度振ってみた。
生命を上げたことでダメージと武器命中が上がったのは嬉しい誤算だったりする。
スキルは上げていく途中でLv10になると派生アーツというのが出ることに気付いて、上げ易いものをとりあえずLv10にしてみた。
以下は派生アーツだ。
『ロンリーウルフ』派生アーツ
【緊急回避】
命中:ー
攻撃:ー
範囲:単体
射程:自身
重量:なし
対価:体力2
孤独な狼は自分の身を自分で守らねばならない。
このアーツを使うことで前後左右いずれかに自分の身体を2メートルずらすことができる。
『ダークピクシー』派生アーツ
【闇芸】
命中:状態異常値
攻撃:ー
範囲:単体
射程:中距離
重量:なし
対価:疲労2
お祭り騒ぎが大好きな妖精たちは、その能力を使った技を持っているものだ。
対象の影を好きなように操り、姿形までも自在に変化させる。
真面目な顔の騎士の影が踊り出したり、愛を語る恋人の影が狼男になったり、悪戯ひとつ成せないようではピクシーとは言えぬ。
『フェンリル』派生アーツ
【賢明さ故の勝利】
命中:±0
攻撃:ー
範囲:単体
射程:遠距離
重量:なし
対価:疲労10
養父テュールによって教え込まれた戦術眼は敵の命を見抜き、誰の目にも明らかにしてしまう。
対象のHPバーが誰からも見えるようになる。
また、使用者には対象の弱点〈属性があるなら属性、もしくは弱点位置にカーソル〉が見えるようになる。
『カラーテラビット』派生アーツ
【正拳頭突き】
命中:+2
攻撃:+15〈防具無視〉、昏倒〈確率Lv-9〉
範囲:単体
射程:至近距離
重量:なし
対価:体力1
その小さな身体全てを拳として放つ危険な技。当たり所次第で相手は昏倒する可能性すらある。
『グレイプニル』派生アーツ
【誘う首紐】
命中:必中
攻撃:相対距離固定
範囲:単体
射程:近距離
重量:1
対価:MP3
グレイプニルに結ばれる首輪首紐セット。
対象の任意で外すことはほぼ不可能。
使用者の腕に首紐は結ばれ、使用者からの相対距離が近距離より離れることがなくなる。
【緊急回避】は軽く試したところ、超短距離転移のようなアーツだった。
2メートルしか動けないが、まさに緊急回避として使うには悪くないと思う。
【闇芸】は、正直、どう評価したらいいかわからんアーツだ。
読み仮名もえんかいげいだしな……。
【賢明さ故の勝利】はムサシの持つ敵HP確認スキルの上位互換的なアーツだと思う。
弱点が分かるとか、もう勝ったな、と思われる。
【正拳頭突き】……拳なのか、頭突きなのか、ツッコミたいが、『昏倒』という状態異常を与える可能性がある。
『リアじゅー』は状態異常が豊富だな。
まあリアルさが売りのVRMMOだからこそ、小さな不具合が響くといったところだろう。
【誘う首紐】、いざなうと読むべきか。
近距離武器使い、このゲームだとナイフや剣などが至近距離、槍や鞭なんかが近距離、弓やハンドガンは中距離、ライフル、バズーカなどが遠距離という扱いらしいから、近距離までの武器で戦うには便利なアーツかもしれない。
俺は遠距離が基本だから、あまりお世話になることはないかもしれない。
そして、今になって思う。
何故、ガチャ用コンパク石を回す前にスキルレベルを割り振ってしまったのか……使えるガチャ魂が手に入ったら、そちらのレベルを上げるという選択肢もあったはずなのに。
まあ、やってしまったものは仕方がない。
派生アーツは使えそうなものもあったしな。
気を取り直して、コンパク石を回そう。
まずは無料ガチャコンパク石からだな。
ガチャは回す前に種類を選ぶことになる。
『人間ガチャ』『動物ガチャ』『虫・植物ガチャ』『幻想ガチャ』『ランダムガチャ』の5種類だ。
回したことがないのは、『虫・植物ガチャ』だが、植物というとアレだろ。
『松ぼっくり爆弾』や『目からビーム』はネタっぽいからな。
後は、煮込みが使っているカマキリとか。
ううむ、やはり趣味じゃないな。
人間ガチャは多分【言語】スキルを持っているガチャ魂があると思うので、そちらは✩3以上確定コンパク石で回そうと思う。
となると、どれがいいか……。
ふと、失ってしまった電極兎のガチャ魂が頭を過ぎる。
『動物ガチャ』か……。
よし、『動物ガチャ』を回そう。
ガチャ画面で『動物ガチャ』を選択。
───コンパク石を画面に向かって投げましょう───
書かれている通り、コンパク石をガチャ画面に向かって投げる。
コンパク石が触れた部分を中心に、画面が渦巻いて、螺旋を描きながら纏まっていく。
纏まったソレは空中に浮かび黒い玉になる。ソレにひび割れができて、そのひびから光が漏れる。
ぱきんっ! と音がして、黒い玉が弾けたと思うと、一瞬で時が逆再生するかのように螺旋が広がっていき……。
・サバクツノトカゲ〈✩〉
ヘルモーズ+1、ヴィーザル+1、オーディン-2
【血涙弾】1
勇猛そうな角のあるトカゲだが、その姿とは裏腹に、非常に臆病者なトカゲ。
目から血を噴出して、相手を驚かせる。
……え。
ブラッドバーンとか強そうな名前付いてるけど、目からビームより酷くないか?
いや、実際にそういうトカゲがいると情報としては知っているが……。
しかも、スキル情報を確認すると、代価が現在HPの3分の1で、『弱毒』という状態異常を与えるだけらしい。
俺は愕然と膝をついた。
また、✩1だしな……。
くそ、こんなのバレたら、またリアルラックが無いとバカにされる。
一応、空きがあるのでスキルセットはするが……効率悪いな、おい。
この心が折れかけている俺が復活するには、✩3以上確定コンパク石しかない。
「イーッ! 〈おらあっ! やってやんよ! 〉」
狙うは『人間ガチャ』だ!
俺は願いを込めてコンパク石を投げるのだった。
・神官学者〈✩✩✩✩〉
ブラギ+2、ロキ+1、オーディン-3
【言語〈古代〉】1
太古に思いを馳せ、その叡智を吸収せんとする神官にして学者。
異端と蔑まされようと、似非神官と馬鹿にされようと、彼は飽くなき探求の道を進む。
キターーー! でいいんだろうか。
待望の言語スキル。但し、古代……。
いや、使ってみればいいんだ。
さっそくスキルをセット、喋ってみる。
「ゐーっ! 〈話せるぞ! 〉」
話せなかった……。
いや、なんか変な語感になってる……。
これはどう考えるのが正解だろうか。
レベルが足りない? 多少、古語っぽい響きでも、話せたらそれでいいんだが、話せるのか?
ぬぅ……要検証か。
いや、いっそのこと従妹に聞いてみるか。
アイツは情報だけひたすら集めてるだろうしな。
ちょうどリアルでは晩飯時なので、一度秘密基地に戻ってからログアウト。
料理機で飯を用意しながら、携帯用リンクボードを立ち上げるのだった。




