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 少しずつ、ヒーローレギオンに溶け込んでいった俺たちは、レギオンとしての調和は取れていないまま、個人で協力している。


 たくさんのヒーローレギオンに顔を売るという意味では悪くないと思う。

 どこのヒーローレギオンと組んでもそれなりに役に立つことが証明できれば、今後の共闘イベントで役に立つ。


 変身して『闇の堕天使(フォールン・ジェット)』になっている今、俺の真骨頂は後衛からの嫌がらせにあるが、今はわざと避けタンクとしての振る舞いを見せている。

 その方が戦っている感が出て、恩が売れそうという判断だったが、これは失敗だった。


 トリッキーな動きで敵を翻弄するのはいいんだが、動きがトリッキー過ぎてヒーローレギオン戦闘員がついてこられなかった。


「肩パッド、後ろからやってくれ!」


 オオミに注意されて、俺は後衛に下がる。


「なんだあの変態機動……」「くそ、つい肩パッドに照準合わせちまう」「もういっそ諸共に撃ちたい!」


 下がるから、やめてくれ。

 俺の代わりにオオミが分厚い鉄板の盾でタンクを務める。


 後ろに下がったのなら、【天罰の雷(バニッシュサンダー)】で電撃を撃たせてもらおう。

 変身中なら、アホみたいに撃てるしな。


「おいおい、途切れねえな……」「どうなってるんだ、肩パッドの電撃……」「大型ガイガイネンに無傷なんて、はじめてなんだが……」「俺は知ってるぞ」「どういうことだ、元マギスター」「アイツは怪人肩パッド……変身してるんだよ!」「姿変わってるか?」「あ〜元から怪物みたいなもんだから微妙だが、バージョンアップしてるかも?」「お前ら肩パッドスレくらい見とけよ」


 そうだぞ。この前、静乃から指摘されたが、俺のスキルは最新の幻獣鳥シリーズまで丸裸らしいぞ。細かい内容まではバレていないが、俺の『フェンリル』と『グレイプニル』まで考察されて、ほぼバレている。

 対策まではまだらしいが。


 MPポーションを湯水のように浴びながら、次はあっち、次はこっちと電撃で動きを止めていく。

 後はヒーローレギオン戦闘員の一斉射撃で小型『ガイガイネン』程度なら一発だ。


 俺が協力しているレギオンだけでなく、他のレギオンたちも順調に『ガイガイネン』を倒して、『トンネル』近辺の『ガイガイネン』は一掃された。


 レオナやオオミ、ムサシにナゴヤなどの幹部会の奴らは宣伝に大忙しだ。

 ヒーローレギオンもこの辺りまで来たら、後はレギオン毎にバラけて、マザー探しを始める。


 俺たちは、ポータル置きから戻ってきた幹部のジョーを頭にひとかたまりに集まる。


 ジョーはレギオン内の全体チャットを使って、各戦闘員からヒーローレギオンに対する聞き取り調査をやっている。


 ただ信用を得るためだけに分かれて加勢しただけではなく、今後『作戦行動』中に当たった時のためのスパイでもあるわけだ。


 例えば、今は亡き『マギスター』は統率B、士気B、装備B、攻撃B、防御Bと全ての評価基準の元として使われている。


 それでいうと、ある戦闘員が語った『ポセイドンギャラクシー』の評価は統率D、士気B、装備C、攻撃A、防御Cだった。いちおう、AからFまでの六段階評価での話だ。


 こういう時でもないと相対的な評価は難しいので、今後のいい指針になりそうだ。


 そんなことをしていると、個人チャットが入った。


SIZU︰やっほー! グレちゃん。グレちゃんの言う通り地元の地図を頼りに探したら、マザーらしき『ガイガイネン』を見つけたよ。しかも三体。


 SIZUたちグレイキャンパスは今回、独自に動いている。


SIZU︰港を北、『トンネル』を南、総合病院を東、グレちゃん家を西として見て、北西の国立公園にひとつ、東南の軍演習場にひとつ、『トンネル』から更に南、三角山の南東方向にクレーターがあって、そこにひとつだね。

 もう主要レギオンには連絡がいってるはず。

 近づいたら『巨大ナナフシ』が何匹も見えるから、すぐ分かるよ。


 『巨大ナナフシ』は前回の『ガイガイネン』イベントのラスボスだ。

 そいつらが何体もいるとなると、相当ヤバいことになりそうだ。


 レオナたちが戻って来る。


「聞いてください。今、先に現地入りして、斥候をしていたグレイキャンパスから連絡が入りました。

 それによると、発見されたマザーは三体。

 全てのレギオンに連絡して、あちらの森林地帯を抜けた先、山の反対側にある拓けた場所を目指します。

 そこに一体目のマザーが確認されました」


 つまり、軍演習場か。


 俺たちは森林地帯へと入っていく。

 森林地帯の中はかなり大変なことになっている。倒木が邪魔をして、その倒木を縫うように新しい木々が繁茂している。

 本来、車で二十分ほどの距離が果てしなく遠く感じる。


「ゐーんぐ!〈どこかに道がないか偵察してくる〉」


「そうですね。お願いします」


 ここに土地勘があると言えればいいんだが、さすがにそれは言えない。

 俺は本来なら整備された道路があるであろう方向へと飛んで、確認することにする。

 長距離飛行用にガチャ魂を入れ替えないとな。

 ガチャ魂はある程度、セットを自分の中で作っていて、状況に併せて入れ替え、その入れ替えたスキルの中でなんとかするという考え方でやっている。

 レベルアップのおかげで、色々なガチャ魂が使えるようになったが、組み合わせがあり過ぎて、自分でもわけが分からなくなりそうだったからな。


 スキルは使い方だ。

 俺の中での基本、『フェンリル』『グレイプニル』『ダークピクシー』『ロンリーウルフ』『神官学者(ティオロジエンス)』は固定として、他の五つでセットを回す。


 長距離飛行用セットは『ファイアーバード』『アイスバード』『サンダーバード』『狼人間ワーウルフ』『ギルタブルル・スキッパー』だ。


 炎、氷、雷、回復、毒と使える。


 目的地は分かっているので、すぐに到着。

 しばらく上空から道を追っていく。

 多少はガレキで埋まっている部分もあるが、森の中をさ迷うよりは良いだろう。


 俺は戻って、道を見つけたと報告するのだった。



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