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 『軍基地』では『りばりば用テント』内で、地図製作が進められていた。

 軍人NPCに協力してもらえれば地図がもらえるはずだが、さすがに悪の組織がそういう協力を頼むわけにはいかない。


 そんな地図を頼りに俺はなんとか生態調査班が見つけた『巣穴』の位置を説明する。


「これは、マザー撃破に一歩近づいた気がしますね」


 糸が地図を見ながら頷く。


「他地区では大型ガイガイネンが戦闘員を食って、新しく小型ガイガイネンを産み出すことで、戦闘が激化していると聞きます。

 NPCが危険に晒されている今、魔法文明世界は団結して事に当たらなければならない状況だと思いますが……。

 大手はどこも担当地区だけで精一杯のようで、どこまで協力が望めるか、難しいところですね」


「ゐーんぐ?〈ヒーローたちはどうなんだ?

 マンジとヴィーナスシップのように共闘できれば、多少はマシにならないか?〉」


「現状では、お互いに不可侵とするだけで精一杯だと思います。

 国外線空港をムーンチャイルドが抑えていますが、友好的な関係とは言えません。

 一部、どうしても信頼を得られなかった民間人NPCをムーンチャイルドが抑えた空港まで連れて行きましたが、その時にガイガイネンに追われてしまいまして、結果的にトレインして妨害されたと思わせてしまったようで、現状では近づけなくなってしまいました……」


「ゐーんぐ……〈そ、そうか……〉」


「マンジの方も、敵対する気がないことだけは伝わっているようですが、だからといって寝首をかかれないとも限らないということで、お互いに戦闘時に利用する形にするところまでで、共闘とは言ってますが、実際には共闘とは程遠いのが現状のようです」


 うーむ、そうか。

 共闘が成立しているかと思っていたが、お互いに一方的に協力しているだけだったか。


 たしかに、下手に内部に招き入れて技術流出でも起きたらと考えると、簡単にいかないのは分かるが、少し悲しいな。


「ゐーんぐ!〈なあ、グレイキャンパスはどうだ?〉」


 静乃たちはマザー打倒のために、特定のレギオンには雇われずに行動している。


「ど、どうなんでしょう?

 動向が掴めてないので、なんとも……」


「ゐーんぐ!〈グレイキャンパスに知り合いが居る。

 今回、グレイキャンパスはマザー打倒を最優先にしていて、他レギオンと傭兵契約は交わしていないらしい。

 今回の巣穴の件なら、協力を求められるんじゃないか?〉」


「なるほど、打診しておきます」


 そうして、糸と話しているとシシャモから全体チャットに連絡が入る。


シシャモ︰生態調査班から情報です。山の麓にある電波塔近辺で見つけた巣穴と思われる『ガイガイネン』が出てくる穴ですが、内部は大型『ガイガイネン』が楽に通れる広さでかなり長かったです。

 自分が見たのは斜め下方向にかなりの長さがある直線の通路状のものでした。

 他のメンバーの見解によると、自然洞窟でもただの穴でもなく、おそらく『ガイガイネン』が何らかの方法で作り上げたトンネルのようなものだろうとのことでした。

 途中で死んでしまったので、どこまで続いているかは分かりません。

 ただ、かなり長さがあり、途中で分岐などは見当たりませんでした。

 一時間くらい歩いた時点で大型に遭遇、自分だけ死に戻りしました。

 他のメンバーは行けるところまで行ってみるとのことでした。

 内部では全体チャットが使えなくなるようで、自分が現状分かっている部分だけの報告になります。以上です。


 随分と無茶をしている。


 『巣穴』改め、『トンネル』はかなりの長さがあるようだ。


 その後、時間ぎりぎりまで『軍基地』の防衛任務についてから、俺はログアウトした。

 ログアウト直前、糸から簡易ポータルの設置が終わったことを告げられる。

 簡易ポータルは双方向で行き来ができるモノではなく、本部から『軍基地』に来るだけのものらしい。

 これで明日からは、『軍基地』に来るまでの苦労がなくなる。

 糸は行き来が楽になると言っていたが、俺は死にワープするつもりはないので、ここに来る時だけだ。

 ログアウトして、ログインし直せば同じことではあるが、長時間ログイン後だと、ログアウトしてから一定時間を置かなければログインできなくなる仕様がある。

 自分のログイン時間を見極めなければならないのが少し面倒だな。




 ログアウトして、レポートは書いたが、静乃には後日、送ろうと思う。

 おそらく『りばりば』から正式なオファーが行くはずなので、その前に情報を入れる訳にはいかない。

 ざっと、『ガイガイネン』の生態調査に行って、詳細は後日送ることにするとメッセージを残してから、俺は寝るのだった。


 明日も昼過ぎからの長時間ログイン予定だ。


 できれば明日には決着をつけたいところだが、どうなることやら。

 少々、不安に思いながら俺は瞼を閉じた。


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