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今日も何話か上げようと思います。
ちょっと時間差になるかも。
とりあえず、一話目。
ログアウトして、日記を書いて、従妹に送信。
───外部にも動画あるから送っておくね───
───ちな、シザマンティスVSマギミスリル見つけたけど、どれがグレちゃんか分からん。ブフォwww ───
従妹から送られてきた動画を幾つか視聴する。
ヒーローレギオンの戦闘員は顔バレ防止のためか、一切映ることはなく。
基本、ヒーローが蹂躙するシーンと怪人との一騎討ちがアップで映る場面ばかりだ。
ただ最初に怪人の悪行を伝えるためか、『作戦行動』の一部は入っているようである。
たぶん、この最初の部分というのが運営から提供される映像なのだろう。
───確かにこりゃ、レオナなんかの言うとおり役に立たないな。ヒーローレギオンの戦闘員がどこからヒーローをフォローしてるとか、ヒーローのスキルがどういう効果なのかとかは分からないように隠されてるな───
従妹が少しでも俺が活躍できるようにと資料を送ってくれたが、ヒーローカッコイイ映像を見ても、攻略法は見つけようがない。
ついでにシザマンティスVSマギミスリルについてもコメントしておく。
───俺はヒーローに向かってないから見えなくて当然だろ───
俺の返信に対する従妹の言葉に俺は一瞬、目を見張る。
───戦闘員の位置、分かるじゃん。ちゃんと見てないでしょ───
───どうやって? ───
───シティエリアの地図は公開されてるやん。それと怪人側戦闘員の位置関係、射線と角度考えたら分かるよ。楽勝じゃね───
───楽勝じゃねーよ!意味分からん……───
俺は従妹の言動に合わせて、もう一度動画を確認するが、はっきり言ってちんぷんかんぷんというやつだった。
だが、従妹からは改めてシティエリアのマップが送られてくる。
ご丁寧に書き込み入りだ。
さらにもう一点、映像からの切り抜きで、ヒーローの攻撃の奥、戦闘員が斜め下に倒れ込もうとしている部分を丸で囲んで、射線が矢印で表示してある。
───戦闘員の倒れかた、射線は斜め上から、マップ的にその攻撃ができるのはマップに描いた位置しかない。楽勝やん。はい、論破! ───
ぐぬぬ……ぐうの音も出ないが、ぐぬぬくらいは音を出しておこう。
───まあ、分かったところで、攻略できる訳じゃないけどな───
負け惜しみ。負け惜しみだが、事実だ。
同じ場所、同じ条件で戦う訳じゃないから、起こった事実は覆せない。
───まあ、現状はね。私が『リアじゅー』始めたら、がっちり勝てる作戦作ってあげるから、お楽しみに! ───
従妹は、俺の贔屓目を抜いて見ても、できる奴ではある。
もしかしたら、本当に勝てる作戦を立てられるのかもしれないが、怪我が治らないとゲームもできない。
───はい、はい。怪我人、乙! ───
あと、実際にやれるもんならやってみろや、という意志を込めて、従妹風に返信しておくのだった。
明日は土曜日か。
俺の仕事は土日休みだから、少し長くできるな。
そう考えて、最初は従妹のお願いで仕方なく始めた『REEARTH_JUDGEMENT_VRMMORPG』に思いのほか自分が楽しみを見出していると知った。
まあ、歳の離れた従妹とここまで会話するのも、悪くはない。
普段、従妹から絡まれることは多いが、仕事にかまけて構ってやれてなかったというのもあるしな。
従妹から、ちくしょー覚えてろ的な返信が来たのを確認して、俺は満足して寝るのだった。




