160 side︰グレン
本日、2話目!
さて、レベルアップ作業をするか。
俺は『プライベート空間』のハンモックに揺られながら、画面をいじり始める。
23レベルアップか。
ジャイアントキリングによる唐突なレベルアップも慣れてきたが、それにしても貯まったな。
名前:グレン〈Lv103→126〉
〇力:16
〇器用:25
〇素早さ:18
〇知力:52→72
〇精神:20→26
〇特殊:111→131
〇生命:15
〇運:8
〇魂:『フェンリル』『グレイプニル』『ダークピクシー』
〇スキル〈残り0/6/24/0〉:【回避】30【夜の帳】30【全状態異常耐性】30【回し蹴り】30【エレキトリック・ラビット】1→27【サーベルバンパー】13→30【封印する縛鎖】30【血涙弾】30【言語〈古代〉】30【擬態】30【蠍農民】30
〇派生アーツ
【緊急回避】【野生の勘】【孤高の群れ】【闇芸】【闇妖精の踊り】【闇精霊】【賢明さ故の勝利】【希望】【神喰らい】【正拳頭突き】【餅つき】【満月蹴り】【誘う首紐】【叫びの岩】【打ちつける物】【ウサギ跳び】【雷瞬】【ベアクロー】【熊突進】【角待ち】【逃げ足】【地面擬態】【毒強化】【古代の読み書き】【古代思想】【言霊】【トラップ看破】【トラップ解除】【トラップ設置】【自在尻尾】【一刺し】【一揆呵成】
切り替え︰『農民』30【栄養満点】【豊作】【マナ操作】
△副能力値
△装備重量:32
△ダメージ:+31
△武器命中:+40
△回避:+43
△装備設計:+60→80
△状態異常:+163→203
△異常耐性:+131→156
△体力:33
△疲労:28→34
△HP:59
△MP:181→227
ついに状態異常とMPが二百を超えた。
これは素直に喜んでいい気がする。
新しいスキルと派生アーツも確認しておこう。
【エレキトリック・ラビット】
命中︰+10 距離︰視界 範囲︰半径3m 代価︰MP-3
半径3m以内の対象に、ダメージと『ショック状態』を与える。ウエイトタイムが極端に短い。兎耳が頭頂に生える。
・肉食系兎とは俺のことな。耳を擦れば電気ショックな!
【ウサギ跳び】
範囲︰半径3m 代価︰体力-2
大きく跳んで、瞬時に移動する。
・危ない敵には近づかないのが一番な。体力系兎とは俺のことな。
【雷瞬】
距離︰10m 代価︰MP-3
雷に乗って、瞬時に移動する。移動時、その方向に雷を放つ。触れた相手に『ショック状態』を与える。
・怖いと思うとつい出ちゃうのな。放電系兎とは俺のことな。
【熊突進】
命中-10 ダメージ︰+【サーベルバンパー】 距離︰5m 代価︰体力-5
あなたが【サーベルバンパー】を使用している時、5mまでの対象に突進攻撃を行う。ダメージに【サーベルバンパー】の残りポイントが加算される。5m先まで移動するまで止まることはない。
・強靭な足腰から生まれる吹き飛ばしこそ、我が真骨頂。勇者とて我が突進を阻むことは出来ぬ! 折れぬ! 曲がらぬ! 突き進む!
【角待ち】
命中︰+50 距離︰至近 代価︰MP-20
あなたが敵に気づかれていない状態の時、あなたの命中力を劇的に高める。3m範囲を熱源感知できる。
・見えずとも分かる。女王陛下より賜りし魔力の全てをもって、貴様を切り裂いてやる!
……うさ耳。熊顔にうさ耳。俺はどこに向かっているんだろうか。
使い勝手が良さそうなのがまた憎い。
キメラ、キメラ言われるのはもう仕方がないとして、でも、うさ耳……。
ちょっと、おっさん泣いてもいいだろうか?
うさ耳はともかくとして、糸が言うほど使い勝手が悪いようには思えない。
まあ、動いてみたら分かることもあるか。
俺は後で実際の使い勝手は確認するとして、分析を続ける。
『サーベル白くま』の方が癖がある気がする。
【サーベルバンパー】の使用が前提条件なのはいいとして、強力な吹き飛ばし効果がある突進攻撃と短距離ながら熱源感知が使える奇襲攻撃。
どちらも前提条件付きなのは、癖がある、でいいだろう。
「グレンさん。今、大丈夫でしょうか?」
おや? レオナだ。大首領の相手はもういいんだろうか?
「ゐー!〈ああ、大丈夫だ〉」
「グレンさんに朗報です!」
レオナが悪い笑みで近づいてくる。
可愛いんだが、なんとなく怖いな……。
「先ほど、残りの報酬はお任せしていただいたので、コアを分捕っ……譲ってもらって来ましたー! ヒュー! どんどんパフパフ!」
おおう、いつに無いテンションで来たな……。
核で驚きたかったのに、テンションの高さが気になって、そっちが驚きだよ。
『りばりば』内、限定配信の時もテンションは高かったが、こちらはもっと素に近い、酔った時のテンションみたいだ。
普段、こういう若者みたいなテンションになることはないから、よほど自分の働きに満足したということだろう。
「ゐ、ゐー……〈お、おう、そうか……これで俺も怪人の仲間入りだな……〉」
「あっはっはっはっはっ!
何言ってるんですか、グレンさん!
サクヤさん辺りに言ったら大笑いされちゃいますよ!」
と、レオナは大笑いして言った。こら……。
「ふ、ふふふっ……あ、そ、それでですね。
ふたつの内から選んでいただきたいんです。
こちらが核︰タイガーシャークで、こちらが核︰ウイングです。
どうです? グレンさんが欲しがっていた移動系スキルが手に入りますよ!」
凄いでしょ! 褒めて、褒めて! と言われているかのような瞳の輝き具合につい、手が出てしまう。
「ゐーっ!〈ありがとう。俺のために交渉してくれたんだな〉」
ポンポン、と頭を撫でてから、自分の愚かさに気付く。
いい歳したおっさんが、何をしているのか……。
「ゐーっ!〈あ、すまん……セクハラする気はなかった……つい……すまん!〉」
「あ、いえ、いいんです。私もつい、はしゃいでしまって……」
お互いに変な空気が流れる。
き、気まずいな。
「ゐーっ!〈あ、そうだ! コアを選ぶんだったな!〉」
「あ、は、はい……どちらがいいですかね?」
少し考える。
核︰タイガーシャークってアレだよな。見た目は昔の戦闘ヘリと呼ばれるもののミニチュアだ。
これを使っていたのは、『シャーク団』の『タイガーシャーク』という戦闘ヘリとサメの合体怪人だった。
アイツはたしか……頭の上に回転ローターがついていて、後頭部に尾翼という見た目だった。
諸々を考えると、俺の頭の上が大渋滞だな。
うさ耳だけで、お腹いっぱいな上にヘリのローターが乗っかって、下手したらうさ耳が細切れ……なんてことになったら飛ぶどころではない。
核︰ウイングは見た目的にはカラスの羽根だ。もしかしてカラス天狗ちっくな外見になるんだろうか? クチバシ付きの……。
まあ、今さらか……。
うさ耳細切れよりはマシか。
俺は核︰ウイングを受け取った。
「ゐーんぐ!〈こっちをもらおう!〉」
あ、レオナのやつ、手袋してやがる。
どうりで語尾に変化がないはずだ。
いや、それよりも俺の語尾よ。
『ゐ』は元々発音すると『wi』、要は『ぅい』なのだ。
これはどうなんだ? 常に「ゥイーング」と喧伝している状態になるぞ……。
「ぷふっ……」
「ゐーんぐ……〈いや、いっそ笑えよ……〉」
「ぐふっ……し、失礼、しま……ぷっ……あの……お渡し、しっ……しました……ので……ぷふ〜っ!」
レオナが去って行こうとするので、止める。
「ゐーんぐ!〈あ、おい、この後、暇だったら、少し新スキルの試しとか付き合って欲しいんだが……〉」
「す、すいま、せんっ、まだ、仕事、あるのでっ!」
「「「そういう、ことならば、私たちの、出番〈ミザ〉〈ピロ〉〈カマ〉!!」」」
どこからか、サクヤ、煮込み、ムック、にゃんこの日が現れた。
レオナはびっくりして、固まった。
「ゐーんぐ……〈お前らいつから……〉」
「ヒュー! ドンドンパフパフくらいからでしょうかー?」
至極冷静にサクヤが答える。
ブバッ! と音がして四人が爆笑する。
「ヒュー! ドンドンパフパフミザ!」
「ヒュー! ドンドンパフパフカマ!」
「ヒュー! ドンドンパフパフピロ!」
「も、もう……知りません!」
「まあ、みんな祝福したいんですねー!」
にこやかなサクヤ。
「まだ、仕事があるので、し、失礼しますっ!」
レオナは逃げるように去って行った。
今日、1話目を予約投稿し忘れて、ちょっと焦った。
あれ?と思った方。そうです、やらかしですw
それはそれとして、ついに怪人デビュー!
どんな風になるのか、お楽しみに!とハードルを上げてみるw




