130〈日曜特別企画! 協力レギオン合同、どきっ! 作戦だらけの大行動会! 狙撃もあるよ〉
頑張った!
・作戦行動概要
・作戦名『日曜特別企画! 協力レギオン合同、どきっ! 作戦だらけの大行動会! 狙撃もあるよ』
協力レギオンが同時多発的に各地で作戦行動を行います。
各地で作戦行動を行うことでヒーローを分散。
敵対勢力である『マギスター』側ヒーローの出没地域に怪人『バリスタアーチャー』を派遣、狙撃によってヒーローを撃退します。
迅速な行動が要求されるためボランティアバイク部隊によって『バリスタアーチャー』を運びます。
『バリスタアーチャー』の狙撃は強力ですが、一撃ごとに次弾装填に時間が掛かります。
戦闘員各員は『バリスタアーチャー』の守備に注力をお願いします。
なるほど、他のレギオンに作戦時間を合わせてもらっているのか。
大画面下部では各地で行われている作戦行動の画面が出ていた。
ある画面では豪華客船に乗り込む人々の荷物を全部同じ色にしていたり、またある画面ではラグビーの試合中、ボールの形が変形して、とんでもない珍プレーが続出していたりする。
大量のカラスが光り物を奪うなんて作戦行動もある。
「待てい!」「待ちなさい!」「そこまでだ!」「貴様、怪人だろう!」「見つけたぞ!」
あちらの画面、こちらの画面で次々にヒーローが変身していく。
「強き光は正義の証。悪成す者よ、この光が許さない! 光臨! マギクリスタ!」
それはカラス集う『繁華街』だ。
『繁華街』の一角でグラスハープの路上パフォーマンスをやっているやつがいる。
光り物が狙われるこの地でグラスに水を入れて奏でる美しい音色は、まるでそこだけ浮いていた。
そりゃバレるわ。
「ふん、私かラス? よくぞ見破ったラス!」
メガネにボロボロのマント姿の男が、グラスハープのグラスを持ち上げて、それを見つめる。
「変身ラス! 私はグラスカラス!」
『マギクリスタ』はクリスタルゴーレムベースのヒーローのようで、全体は『マギスター』製の強化スーツという感じだが、メタリックな内部が見えるクリスタルで覆われている。
全体的に丸みを帯びたスタイルなのは中身が女性アバターだからだろうか。
「クリスタかよ!」「クリスタ、マギ系のくせに特殊高めなんだよな」「うわ、超新人じゃん!」「めちゃくちゃ新人?」「違う、新人を超えた新人!」「すでに一線級って噂だ」
対する『グラスカラス』は腹に透明な円筒型のガラスの入った、擬人化カラスで、第五フィールドのカラス天狗に似ている。
「バリスタアーチャー、緊急出動!」
レオナが叫ぶ。
「頑張れー!」「頼んだぞ!」「スクランブルだ!」
戦闘員の声援を一身に受けて、角刈り男がポータルへと飛び込んだ。
画面内ではレイド戦が始まった。
「カッカッカッ! 今日、私に会ってしまったのが運の尽きラス! いでよ、同胞ラス!」
「「「ガイアー!」」」
『グラスカラス』が復活石をバラ撒くと、白い全身タイツに法衣姿の『ガイア帝国』戦闘員が、わらわらと現れた。
『氷結メイス』が『マギクリスタ』へと振り下ろされる。
『マギクリスタ』はひとつずつ丁寧に対処していく。ゴーレムベースなら防御力が高いはずで、『マギスター』のヒーローにしては珍しい戦い方な気がする。
『グラスカラス』はどこからか水入りのコップを取り出すと、カラスの羽根でその縁をなぞる。
リィィィィィィン! とグラスハープの音色が響く。
「【七つの子】ラス」
途端、『マギクリスタ』が耳の辺りを押さえて苦しみだす。と同時に全身に小爆発が起きる。
音波攻撃か。
「カッカッカッ! 共鳴振動攻撃は避けられないラス!」
つまり、音波攻撃だよな?
「くっ……あの頃に帰りたい……」
『マギクリスタ』の頭上には『郷愁』という状態異常が出ていた。
必死に『マギクリスタ』が頭を振って、『郷愁』を追い出そうとしていた。
「ガイアー!」
ガイア戦闘員がメイスを振るおうとした、その時、ビームがそのガイア戦闘員を撃ち抜いた。
同時に何発ものビームが近辺のガイア戦闘員を撃ち抜く。
「ちっ、もう援護が来たラス!」
「昼状況を恨みなさい! 【光斧】」
光の斧だ。しかも片手斧。それを『マギクリスタ』は振り回す。
一瞬で『グラスカラス』に肉薄すると、片手斧を一閃、それなりのダメージを叩き出した。
「全員、傾聴!」
レオナの号令。
「なんとか『バリスタアーチャー』が間に合ってくれました。
今から参戦です。
それでは皆さん、張り切ってお願いします。
いってらっしゃい!」
「「「イーッ!〈ゐーっ!〉」」」
俺たちの声が響いた。
パンザマストは千葉県特有の夕方5時に鳴る地域放送です。
これを聴くと、そろそろ帰らなきゃという気になります。
『郷愁』は精神的状態異常で、数秒間に一度、帰らなきゃ!という気になり、攻撃意志が緩む効果があります。
精神判定です。




