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みなさまいつも、誤字報告、感想、ポイント等、ありがとうございますm(_ _)m

あまりの誤字報告の多さに自分の国語能力の低さを痛感する日々ではありますが、ある意味新しい発見がたくさんあります。

あ、これ意味間違って覚えてるんだ、とか、ああ、この表現は口語表現だったか、とか、勉強させていただいております。

あんまり毎日、ありがとうを書くとうざくなってしまうので、なるべく抑えていますが、毎日感謝です!〈いや、毎日誤字報告って……w〉

今後とも宜しくお願いしますm(_ _)m



 前に回り込むと見せかけて、見当違いの方向へと走る。

 撹乱しつつ、集落を抜けるのだ。


 『メガロメガロドン』。鮫島の横をパスしていく。

 お前の相手は、ウチのやつらがしてくれる。

 せいぜい、安い挑発に乗って、楽しめよ。


 ズドンッ!


 俺の目の前にキウイをもっと太らせたくらいの拳が降ってきた。


「ちっ! ズレたメガ。

 肩パッドって有名人なんだってなあ、グレンメガ!

 デバフが得意なんだろ、なあ、グレンさんよォメガ!」


 『メガロメガロドン』が手を開いて、俺を掴まえようとしてくる。

 目の前が赤い光で埋め尽くされる。


「ゐー〈くそ、見られてたか【逃げ足(ステップバック)】〉」


 飛び退きで、ギリギリ躱す。


「ほら、さっきみたいに捕まえてみろメガ!

 ダメージ出すやついないけどなっメガ!」


 『メガロメガロドン』の踏みつけ。

 【緊急回避(ウルフステップ)】で避けたが、すぐ横に落ちた足の風圧で圧される。


「ゐーっ!〈【バンパーサーベル】!〉」


 俺の顔が獣になって、サーベルタイガーのような牙が生える。


 『メガロメガロドン』の足がもう一度、降ってくる。


「きうー」「こけー」


 駆け込んでくるキウイにギリギリで掴まる。

 キウイの急加速でストンピング領域から抜ける。


「逃がさんメガ!」


「ゐー〈逃げねえよ〉」


 俺はキウイに(またが)って、『メガロメガロドン』と対峙する。

 フジンがキウイの頭から俺の肩に移動してくる。

 パーティーチャットで仲間に先に行くよう連絡する。


 【神喰らい(オオカミ)】で右腕を狼頭に変化させ、準備を整える。


「気持ち悪い格好メガ……」


「ゐー〈7mのダブルヘッドサメ人間に言われたくねえよ〉」


「死ねメガ!」


 『メガロメガロドン』がサッカーボールキックを放つ。

 キウイが俺を乗せたまま跳んで、『メガロメガロドン』の頭上を超える。


 『メガロメガロドン』が振り向いた。


「【燃え盛る虫たち(フレアフライ)】メガ」


 ふたつの口から炎のブレスが吐かれる。


「ゐーっ!〈下ぁぁぁっ!〉」


 キウイと共に『メガロメガロドン』の足元を抜ける。


「ゐーっ!〈キウイ、そのまま行け! 【誘う首紐(ゲルギャ)】+【叫びの岩(ギョッル)】!〉」


 『メガロメガロドン』の四方に岩が立ち上がる。

 さらに首に巻き付いた鎖が俺を上へと引き上げる。

 一瞬、『メガロメガロドン』がふらついたのは『行動不能』が入ったか。

 『鈍重』で動きも鈍ったな。


「ゐーっ!〈フカヒレ、もらったー!〉」


 『メガロメガロドン』の背面を上がりざま、その背びれに大きく狼頭で噛みついた。


───神・糞山の王(バアルゼブブ)を喰らいました───


 ……脳内アナウンス、聞くんじゃなかった。

 せっかくのフカヒレが不味く感じる。おえぇ。

 ちなみにフカヒレはゼラチン質の繊維だ。

 味? 味は少しの旨味はあるものの、後は魚臭さが目立つ。

 軟骨部分の方が食ってる感じがするな、俺の狼頭だと。


 それにしても、『糞山の王(バアルゼブブ)』かよ。メガロドンはユニークじゃなかったらしい。


 『メガロメガロドン』が炎を吐きながら、振り向く。

 俺は繋がれた鎖のせいで大きく振り回される。


「ゐーっ!〈【一刺し】!〉」


 背中に俺の蠍尻尾を突き立てる。

 蠍尻尾は俺の第三の腕だ。突き立てた尻尾を【自在尻尾】で操って、どうにかバランスを取る。


「くそっ、どこいったメガ!」


 感覚設定デフォルトは悲しいね。

 俺の尻尾の痛みが分かれば、すぐにも分かっただろうに。


 首ひとつ貰おうか。

 狼頭の口を大きく開いて、ダブルヘッドのひとつ首に噛みつく。大きく毟る。

 さすがにひと口じゃ無理か。

 うん、淡白な魚味。磯の香りがアクセントだ。


「くそ、背中メガ!」


 『メガロメガロドン』の手が迫るのを、ダブルヘッドの間に立たせてもらって逃げる。

 小犬が一匹、肩〈?〉の上に乗っていると思えば、可愛いもんだろう?

 頭のデカい目玉が憎々しげに俺を見ていた。


「ゐー!〈こっち見んな!〉」


 俺はその目玉をいただく。うーん、コラーゲン!


 右頭の左目をいただいたので、今度は反対、左頭の右目ももらっておこう。

 これで右目と左目が一個ずつ残るから、ダブルヘッドでも普通のサメだな。コラーゲン!


「ぬおおっ、貴様の知らないスキルを見せてやるメガ! 【糞山の王(バアルゼブブ)】メガ!」


 ぶわぁーん! と音がする。

 知らないけど、知っているぞ、王様気取りの鮫島くん。

 音は左頭の口から、何が出るって蝿以外になにか出たらビックリするけどな。

 分かっているなら、対処されるもんなんだよ!


「ゐーっ!〈【餅つき(ラビストンプ)】+【回し蹴り(ベスト・キッド)】!〉」


 防具《サメ皮》無視の攻撃で、口は閉じとけ!


 開こうとした口を、下から上へと蹴りを回して閉じさせる。


「ゐーっ!〈見たくないものは封印だな。【希望(ヴォーン)】〉」


 あがががが……。俺の口から溢れた水が『メガロメガロドン』に膨大な数の状態異常を起こさせる。

 『メガロメガロドン』より上のステータスから放たれた状態異常は簡単に外れない。

 上から適当なサメ人間に【封印する縛鎖(グレイプニル)】を放って、ゲルギャの鎖を外すと、俺は地上へと降り立った。


 そろそろタイムリミットか。


 能力値は戻ったが、俺はまだ無傷。

 代価で払った傷がアホみたいに痛いが、それよりも空腹感が辛い。


 レオナ班も戻ったので、俺は別のサメ人間を探す。


 なんだあの美味そうなサメ人間……。


 俺が見つけたのは『鮫たこ焼き』と言えばいいのか。

 関節部にたこ焼き付きのサメ人間だ。


 俺はたこ焼きを食しに向かう。


「ゐひぃ!〈ひと口寄越せ!〉」


 俺は『鮫たこ焼き』に向かう。


「怖っタコ……」


 無駄な全能感に包まれ、正面から突っ込んだが、ステータスが元に戻れば、俺はただの目立つ雑魚。

 不意をつかなければ、攻撃など当たるはずもない。


「寄るな化け物、【たこ焼きスマッシュ】タコ」


 【緊急回避(ウルフステップ)】で、なんとか回避。


「ゐひぃ……ゐひぃ……〈なあ、食わせろよ……ひと口でいいからよぉ……〉」


「なんか執念を感じるタコ……ならば、手加減はなしタコ! 【青のりスプラッシュ】!」


 『鮫たこ焼き』の手から放たれた大量の青のりが、俺の視界を『暗闇』に閉じる。


───全属性耐性(フェンリル)、成功───


 効かんわ!


 目の前に『鮫たこ焼き』に迫っている。


 チャンスだ!


 俺の【神喰らい(オオカミ)】がカウンターになって伸びる。


「ぬっ……【タコジャンプ】タコ」


 直前で『鮫たこ焼き』がバックジャンプ。

 空振った。


「【ソースビーム】タコ!」


 肩のたこ焼きからソースが噴き出す。

 衝撃!


「ゐーっ!〈ぐはっ!〉」


 死んだ、そう思ったが、その衝撃は【サーベルバンパー】がへし折れて、俺を守っていた。

 一撃、耐えた。

 俺の食欲が、今だ! と叫ぶ。

 俺は『鮫たこ焼き』に食らいつくべく走る。


「あれで死なないなんてありえんタコ……ひ、ひぃぃぃ……助けてタコー!」


 『鮫たこ焼き』の逃走。


「ゐひぃ! ゐひー……。ゐひぃ!〈待てぃ! 待って……。追いつけん!〉」


 素早さ(ヘルモーズ)の能力値が違い過ぎる。逃走されたら追いつけん。


 くっ、体力が減って……。


「【メントスコーラ】だコラ!」


 ふらついたところに衝撃。

 俺の腹に穴が開いた。


「ゐひぃ……〈コーラ煮かよ……〉」


 もうコーラ煮でもいいから、せめてひと口……。


───死亡───


 俺は幽霊状態でがっくりと膝をついた。



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― 新着の感想 ―
[一言] 今までずっとリアネで呼んでたのをやっとプレイヤーネーム呼ぶようになったか 持ってるユニークが糞山の王は草 食欲に突き動かされてるの端から見たら怖そう
[一言] なに! 青のりフラッシュじゃない・・・だと!?←
[一言] 時間内に1点でも入れた方が勝ち何じゃないか? くらいの激しい妨害戦になってる。 フジンはただのマスコットなのか?!(肩パッドが目立って鮫島に見つかっちゃうだけなのか?) フジンの隠された力…
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