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とある勇者の冒険譚  作者: azl
第二章 王国の魔物騒動
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とある村での魔物騒動<前編>

今回は少々短めです。

前回言い忘れてしまいましたが、一部会話のかっこの部分を変更しました。ただ幕間に関しては登場人物が二人なので変えてはいません。

ここが分かりにくい!!ですとか、ここはこう変えたほうがいい!!などありましたら、感想に送ってくださるとうれしいです。

 俺は爺さんの話を聞くため、彼らの村に来た。

 来たのだが…。この村、どういうわけか驚くほど活気がない。

 まだ昼下がり、ちょうど活気づく時間帯だと思うのだが。


「あの、どうしてこんなにも人が少ないんですか?」


 あまりにもおかしいと思って聞いてみた。


「はい、実は私が貴方様に頼みたいことは実はこの事についてなのです。」

 

 あぁ、そういうことか。

 この状況を見れば、部外者に頼りたくなるのもわかる。

 

「わかりました。とりあえずどこか落ち着ける場所に行きましょうか。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺は、爺さんの家で昼食をごちそうになっていた。

 ちなみにこの爺さん、この村の村長だったらしい。

 さすがは長老というべきか、ほかの家に比べて若干豪華な家に住んでいた。

 あと、村の中に一つだけ崩れている家屋があった。

 多分だけど今回の騒動に関係があると思う。

 まぁ、後で考えればいいかな。


 話は変わって、出てきた昼食の話だが、パンと野菜、そして謎の物体だ。

 謎の物体というぐらいだから初めて見るものなのだが、これが何なのか見当がつかない。この村特有のものだろうか?

 白い殻に包まれていて、においはない。一番近い食べ物は何かの卵だろうか。

 とりあえずこれは後で頂こう。


 しかし、ここで昼食が食べられるのは非常にうれしい誤算だ。

 当然昼食は持ってきている、というよりかは長旅の食料といったほうが適切だろう。

 大体のものが保存のきく食糧、いわゆる保存食だ。だから食料の消費は今後のことを考えても抑えたいわけなのだ。


 さてこのパンと野菜、非常においしかった。

 特に野菜に関しては非の打ち所がない。フィロンストの食事は肉にしか興味はなかったが、野菜もうまいとは・・・。

 まぁ、パンに関しては俺の村のほうがいい出来だと思うけど。

 何というか、食感が違うのだ。

 俺の村でとれるコール麦はほかに比べて出来がいいのかな?生憎よその麦を見る機会が無かったから分からないんだよね。


 で、最後に残ったこの謎の物体。

 卵だと思ったが、それにしては少し小さい気がする。

 数は三つだ。軽くつついてみた感じ、中には空洞があるっぽい。


「すいません、これはどうやって食べたらいいんですかね?」


 食べ方が分からないから聞いてみた。

 卵なら殻を割るって答えるはず。


「そちらはですね、殻を砕いてお召し上がりください。かなり固いですから、力を込めないとなかなか割れませんよ。」


 やっぱり卵だったか。

 卵はかなり好きな食べ物だ。

 さてと、それじゃいただくとするか。

 俺は机の上の食器に向けて卵を割った。


 俺は何一つとして警戒していなかった。

 普通警戒しないよな、だって卵だと思ってたんだから。

 そう、この物体は卵ではなかったのだ。

 臭いッ!!!!!

 とんでもなくッ!!、臭いッ!!!!

 臭すぎるぅ・・・。


 そう、信じられないぐらい危険物質だったのだ。

 何をどうしたらこんな危険物質が出来上がるんだ?

 殻を割る前は何のにおいもしなかったのだが、この殻を割った瞬間に激臭がしたのだ。

 中から緑色の粘着性物質が現れた、こいつが犯人か!!

 殻を割ったら、鼻がもげるほどの激臭がしてくる、こんな罠、誰が見分けられるだろうか。


「あの、村長さん・・・これはなんですか?」


 思わず村長に尋ねた。当たり前だ、なんで客人にこんな危険物質を渡すんだ。


「はい、そちらは私たちの村特製の保存食でして、ゴブリンのアレとこの近辺でとれる薬草とを調合したものなんですよ。お気に召しましたか?」


 お気に召すわけないだろ。

 しかも、アレってなんだよ。

 どうやら、村長はこの物質が食べ物に見えているそうだ。

 多分本気で俺をもてなそうとしているのだろう。

 ならあんまりきつくは当たれない。


「えぇ、とても・・・、残った二つは後でいただきますね。」


「いいえ、まだまだたくさんありますから、遠慮しないください。もっとお持ちしましょうか?」


「結構です!!」


 絶対いらない。もう二度と食べたくない。

 そんなことをひたすら考えていた。

 とりあえず、残った二つは腰の収納にしまっておこう。


「あの、ネイ様。」


 村長が俺に少し声色を変えて話しかけてくる。

 ここからは真剣な話し合いみたいだ。俺の力が必要か否かしっかりと見極めなければいけない。


「わたくし共が貴方様をこの村に呼んだ理由、お話してもよろしいでしょうか。」


「・・・わかった、話してくれ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 村長の話を聞き終わった。のだが、少々判断が難しい。

 その村長だが、俺の前で額を床につけて動かない。

 まずは、話をまとめよう。


 事件が起こったのは二日前、朝起きると家屋が崩れ去っていた。

 なんでも、食料を保存する倉庫だったそうだが、根こそぎ食べられていたそうだ。

 問題はこの家屋荒らしの犯人が、巨大な魔物の可能性があることだ。

 さらに不運なことにこの魔物、この村の鉱山の中に逃げ込んでしまったらしい。

 この村は鉱山でとれた鉄の一部を王国に送り、残った余りをたまにやってくる王国の商人との物々交換で、生計を立てている。

 俺がさっき頂いたパンと野菜は、その商人から物々交換で手に入れたものだそうだ。

 この村はあまり農業が行われていない、つまり食料を自分達で得られない。だから鉱山を使えないということは、この村の存続にかかわるのだ。


 で、ちょっと前にフィロンスト王国は村がその地域での産出物を送り、王国はその代わりとして脅威を排除する軍事力を派遣する、と説明しただろう。

 何でわざわざ部外者に頼むのか、王国が何とかしてくれるんじゃないか?と考えていたのだが、その理由というのが、何でもこの村王国からとんでもなく離れているそうだ。

 どれぐらいかというと、片道九日、つまり往復で十八日だ。

 それに加えて王国の軍事力を借りるには少々の手順を踏む必要があるらしく、さらに時間がかかるそうだ。

 この村は戦えない子供と老人がほとんどで、毎晩魔物におびえる日々を送っている、だから今魔物と戦える戦力と協力して魔物を倒してきてくれ、というのが今回の依頼だ。


 はっきり言ってこの依頼は危険すぎる、さらに言えば村を襲った魔物の正体がわからない以上死ぬ可能性も十分ある。

 できれば、危険なことにわざわざ首を突っ込みたくはないのだが…。

 この爺さんには心動かされるものがあった。

 今の爺さんを見れば明らかだが、爺さんはこの村の子供たちのことを大切にしている。

 それこそ、自分の命の倍以上に。

 この村を救うためならどんなことだってするだろう。

 はっきり言って決めあぐねている、なんというかこの爺さんを見るとどうしてもやらなきゃ。っていう気持ちがわいてくるんだよな。


 うーん・・・仕方ない、こういう時は損得勘定だ。

 まず俺にとってのデメリットは・・・。

 まず、死ぬかもしれないことと、あとは・・・。

 あれ、こんくらいじゃない?

 この死ぬかもしれないということ、ちょっと前ならただのデメリットだったが、今はそうとも限らない、”対魔物術”は死に直結するような戦いほど”経験”が得られたはず。

 つまり考えようによってはこれもメリットだ。


 じゃあデメリットなんて一つもないじゃん。

 決まりだ、この依頼を受けよう。

 そう結論を出したのだが、待ったをかけるやつがいた。


『少々お待ちを、まだあります。場合によってはとんでもない時間がかかる可能性があるじゃないですか、私としてはできるだけ急ぎたいのですが。』


 そう、ブルーさんだ。ついさっきまで黙っていたのにな。

 まぁ確かに、さっき出した結論も自分を正当化する言い訳に過ぎない、わざわざこんなところで命を懸けて戦う必要もないのだ。研究によって知られ尽くした強敵だっているはずだ、強くなりたいならそいつらを狩っているほうが安全で早い。わざわざこんなところで時間を使う必要はない。

 だが、そんなことは分かっている、じゃあなぜ俺が依頼を受けようとするのか。突き詰めれば、こんなにも必死に頼まれたら断れないからだろう。


『とんだお人好しですね。前に言ったはずです、貴方を殺して操ることができるって。それでも自分の意志を貫きますか?』


 当たり前だ。それでも俺の意志は曲がらない、俺の意思は脅し文句程度に曲げられるほど軟弱ではないのだ。

 ・・・できれば殺さないでほしいけど。

 

『・・・わかりました、今回は諦めましょう。ですが速やかに終わらせますよ。』


 あれ?もうちょっと口論が続くのかなと思ったのだが、案外早く諦めてくれた。なんでかな?

 とはいえ、少しでも早いほうがいいというのは理解している。そんな俺達の貴重な時間を割くのだからその補填は欲しいところだよな。

 つまり、助けるといってもタダでやるつもりはない。

 俺が働いた分の報酬はきっちり請求させてもらう。


「その頼み事引き受けましょう。ただし報酬は請求させていただきます。」


「っ!!ありがとうございます、私にできる事でしたら何でもします。」


「分かりました。さて村長、貴方は薬の調合が得意と言ってましたよね、ですから薬と、あとは・・・、保存のきく食べ物をください。これが最低条件です、これ以上は引き下がれません。」


 これがだめなら引き受けない。

 これからも頼まれごとをすることはあるだろうけど、ただ働きをするつもりはない、対等な報酬はもらっていくつもりだ。そうしないと時間が足りないからな。


「わかりました。私の所有する薬すべてを差し上げます。保存食はこの村の特製、ゴブリンの…」


「他のにしてくれ!!」


 俺の魂の叫びだった。

 結局食料は別のものを提供してくれるとのことだった。

 さらに追加でこの村にあるお金も分けてくれるそうだ。

 もっとも王国では物々交換が主流のため、あまり大した量ではないそうだけど。


 とはいえ、これで交渉成立だ。

 頑張りますか!!

 こうして、俺は魔物の住処と化した鉱山に向かうのだった。

次は戦闘回の予定です。

分かりにくい点や改善点などなどありましたら、ぜひ感想に送ってくださるとうれしいです。


ブックマークの登録をしていただけるととてもうれしいです。

そうですね、朝の早起きが成功した時ぐらいうれしいですね。


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