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とある勇者の冒険譚  作者: azl
第六章 帝国での復讐劇
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vs青い炎の鳥

「おい、助けに来たぞ!!」


 三人の兵士たちにそう叫ぶ。

 初め、兵士のリーダー格は俺たちの助けを手で制止しようとしていたが、すぐに自分たちの不利を悟り、こう言った。


「助かるよ。俺たちがこの二匹を引き受ける。だから君たちは・・・」


「無理をするな。こっちで二匹引き受けよう」


 兵士たちが言い終わるのを遮って、ラスがそう宣言した。


 というのも、現在戦闘中である兵士たちは、一番前に立っている人を除き、生きているのが不思議なほどボロボロだった。

 戦闘の継続が不可能なのは、一目見ただけでわかる。


 そしてその言葉を聞いた兵士。

 少しばかりの逡巡は見せたが、その意見をすぐに飲み込んだ。


「すみません。よろしくお願いします」


 ラスが頷く。


 まずは魔物の気を逸らさなくてはならない。


 ラスは三匹の魔物のうち、一匹に向けて、鋼鉄の糸を放出した。


「チッ、拘束は無理ですか」


 陽動には成功したラス。

 本来ならそのまま拘束しようと考えていたようだが、その目論見はうまくいかなかった。

 

 拘束しきる前に、魔物の纏う青い炎によって、鋼鉄の糸が溶かされてしまったのだ。


「ネイ殿、タイタス、一匹お任せしますね」


「「任せろっ!!」」


 ラスが再び糸を放出し、魔物を一匹俺たちのほうに引き付けた。

 その後ラスは、残った二匹を始末しに、兵士のほうへ走り出した。


「俺が引き付ける」


「分かった」


 青い炎の鳥は、俺たちの方をじっと睨みつけている。


 俺は足元に落ちてある石を拾い、その魔物のほうに投げつけた。

 ただし身体強化マシマシの全力投球で。


 まるで疾風のような音と速度で、魔物に迫る石。


 だがその魔物は、俺の動きを観察し、対応してのけた。


 纏う炎が揺らぎ始める。


 そしてその小さな口から、巨大な青い炎が放たれた。


 その炎は俺が投げた石を溶かしながら、凄まじい速度で俺に接近する。


「あぶねぇっ!!」


 間一髪の回避。

 俺に当たり損ねて岩肌にぶつかった炎は、凄まじい熱と爆音をまき散らしながら大爆発を引き起こした。

 爆発地点は赤熱し、マグマ状に溶け出している。


「おらよッ!!」


 だがしかし、当たらなければどうということはない。

 魔物の認識外にいたタイタスが、ハルバードによる斬撃を振るった。


「なっ!?」


 そしてその一撃は、確かに魔物の頭部を切り裂いていたはずである。


 しかしその魔物は対して気にした素振りもなく、その翼をパタパタとははためかしている。


『私なら問題ありません。とどめを!!』


 あまりの事態に気が動転していたが、ブルーさんがそんなことを言ってきた。

 とやかく聞き返すことはせず、その言葉を信じた俺。


 魔物の頭部に聖剣を振るった。


「グギャアアアアア!!」


 魔物が悲痛な叫び声をあげる。


 そしてそのまま体に纏っていた炎が消えうせ、チリとなって消えていった。


『あの魔物は一種の精霊のようなものなのでしょう。ですのでタイタスでは始末できなかったのかと』


 なるほどね。

 斬れないものはあんまりない聖剣じゃないと、アレを仕留めることは出来なかったと。


 それじゃあラスたちは不味いんじゃないか、そう思っていたがそれは杞憂だった。


「ふむ、片付きましたね」


 そこにあったのはバカでかい氷の柱。


 どうも忍術は通用したらしい。

 青い炎の鳥の体を、巨大な氷で包み込むことによって始末したそうだ。


「あの、今回はどうもありがとうございました」


 あまりの離れ業に見惚れていたら、そんな風に声が掛けられた。

 その声の主は、三人の中で唯一戦えた兵士だった。


 今は兜を外しており、そのハンサムな顔を外気にさらしている。


「気にしないでいいですよ。困ったらお互い様です」


「いえ、ぜひお礼をさせてください」


「お礼って言われても、ねぇ。俺たちはこれからビョルケスに行かないと・・・」


「実は我々、そのビョルケスの兵士なのです。お時間は取らせませんので、どうかッ!!」


「お、おう、分かった。じゃあいいよ」


 あまりの力強さに気圧されてしまった。


 まぁどうせ数日は滞在する予定だったし、問題ないだろう。

 そう思ってそんな返事を返したのだった。

次の投稿はおそらく九月三十日です。

MAYBE

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