ビョルケスにて
ビョルケス帝国は、アラオザル火山の中腹を切り開いて作られた、超巨大軍事国家である。
その軍隊は、イーナウド要塞都市から輸入された武器を使用しており、世界最強と名高い。
中でも帝国近衛団と呼ばれる女帝直属の部下たちは、一人で百の兵士に匹敵する力を持つと噂されており、少年少女たちの憧れの的となっている。
またその帝都も、世界最高峰と呼ばれるほどの繁栄を築いている。
世界各国から物産品が集まり、ここを根城にする商人も非常に多い。
その建築物は異国情緒にあふれ、眠らない町としても有名である。
ちなみにちょうどこの時期、もっと詳しく言えば明後日、ビョルケス帝国で建国パレードが催されるらしい。
結構体力と物資を消耗しているので、休憩がてら見に行ってもいいかもしれない。
そんな風に少しだけ心躍らせて、アラオザル火山を上るのだった。
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「暑ぃ~」
タイタスが情けない唸り声をあげている。
けどまぁその気持ちはよく分るよ。
俺の服は汗でべとべと、非常に居心地が悪い。
一週間前まで雪山にいたのに、今では溶岩噴き出す火山地帯である。
この環境の変化も、かなり来るものがあるのだが、ラスだけは特に気にしていない様子だった。
流石というかなんというか。
今も俺たちの前を歩いて、安全かどうかを確認してくれている。
まぁブルーさんも同じことが出来るので、必要かどうかは分からないけどね。
さてさて、そんな風なことを考えているうちに、広場みたいなところに出てきた。
この辺は噴き出す溶岩もなく、風通しも結構いい。
だから少しばかり休憩を取ろうと思ったのだけど・・・。
「お前たち、死にたくなければ気を引き締めろッ!!」
突如、そんな怒号が風に乗って聞こえてくる。
慌てて声のする方に振り向くと、魔物と戦う兵士たちの姿があった。
数は両方とも三つずつ。だが兵士のほうはその鎧が焼け焦げており、かなり押されているようである。
その兵士たちに相対する魔物だが、青い炎を纏う鳥だった。
耳を貫通するような甲高い雄たけびを上げ、兵士たちをどんどんと追い込んでいる。
「・・・行くしかねぇか」
見てしまったからには放っておくことは出来ない。
知らなかったら無視しても良かったのだが、知ってしまったからには助けたい。
「タイタス、ラス、助太刀に行くぞ」
「あぁ!!」
「はい」
二人が頷く。
俺たちは立ち上がり、その兵士たちの助太刀に向かうのだった。
三日おきくらいの投稿になっていくと思います。
ですが次回は九月二十七日です。
たぶん。