表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある勇者の冒険譚  作者: azl
第五章 雪原地帯での謀略
44/69

不死者との闘い8

久しぶりに書いたので変な感じの表現が多くなってしまった。

 ぴくぴくと痙攣を繰り返す不死者。

 その数は少ないものの、不死牛と同時に相手取るのは避けたかった。


「火遁:炎蛇」


 だから可能な限り数を減らすべく、ラスが忍術を放つ。

 その炎は蛇が如く、不死者を包み、伝わり、焼き尽くす。


 つい先ほどの不死者であれば、もうすでに決着はついていただろう。

 だがしかし、この不死者は少しばかり普通ではなかったのだ。


「ふむ、二体ほど残っていますね」


 体中が炎に包まれた不死者。

 だがそのうちの二匹が、何事もなかったかのように立ち上がったのだ。


「どうも火に対して耐性があるようです。肉弾戦しかなさそうですね」


「なるほどな。少々面倒だがやるしかねぇか」


 肉塊を見据え武器を構える二人。

 ウサギ型とトラ型の二体。まずはトラ型を処理する、そう考えた二人はトラ型の肉塊のもとに接近する。


「食らえッ!!」


 ハルバードによる突きを振るったタイタス。

 その一撃は放たれた矢の如き速度である。

 そしてその一撃は肉塊の頭を穿った。


 だがしかし、その肉塊が斃れることはない。

 その証拠に虎の大あごが少しずつ開かれていた。


「斬れろッ!!」


 だがそれも想定済みであった。

 背後から首筋向けて刃を振るったのは、音を立てずひそかに接近していたラス。一切の抵抗なく刃が進み、その頭部を吹き飛ばした。


「チッ、まだ足りないか」


 だがそれでも虎の動きが止まることはなかった。

 大地を踏みしめ、爪をもたげる。


 血肉にまみれたそれが、タイタスのもとに振るわれようとしていた。


 だがしかしこの戦場にいる戦士の数は、二人ではなく三人である。

 故にタイタスは焦ることもなく、ただ泰然自若とその時を待ち続けていた。


「砕けろッ!!」


 そしてその時が来た。


 振り下ろされたのは獣人、アルバによる拳。

 パンッという音を立てて、横腹を深くえぐられる肉塊。


 肉塊がよろめく。そしてその瞬間に、ラスが忍術を発動させた。


「糸遁:虎挟」


 倒れ行く肉塊の地面に設置される、糸製の虎挟み。

 その刃は尋常ではないほどに鋭利であった。


「挟めッ!!」


 ラスの命令で口が閉じられる。

 刃は肉塊に深々と突き刺さり、動くことを許さない。


 そしてそのまま糸を肉塊に張り巡らせ、サイコロ状に切断した。


 だが油断してはならなかった。

 この場にいる肉塊は、一つではなく二つなのだから。


「タイタス、後ろッ!!」


 アルバの焦ったような声が、森の中に響き渡った。

 そしてその声に従って、後方に飛んだタイタス。


 そしてその瞬間、弾丸のような速度でウサギ型の肉塊が、タイタスの立っていた場所に飛び込んできた。


 とはいえそこはもともと立っていた場所である、飛び込んだウサギはタイタスに当たることなく樹木に激突してしまった。


 もっともその突っ込まれた樹木はバキバキと音を立てて、粉々に砕けてしまっているのだが。


「厄介だな。避けるのだけで手いっぱいだ」


 しかし件のウサギはたいして傷ついた様子もなく、タイタスのほうに向きなおって大地を蹴る仕草を繰り返していた。


 どんどんと前のめりになり、足裏が地に沈んでいく。


 思わぬ強敵が現れたものだ。そう嘆くタイタスだったが、ラスにとっては大した脅威ではなかったらしい。


「動かさなければいいだけですよ」


 ラスが事も無げにそういい放った刹那、ウサギ型の肉塊がばらばらに切り裂かれた。


「常に動かれてたらまずかったですねぇ」


 体が小さい場合、糸による切断がより容易になる。

 めり込ませる必要がなくなるからだ。


 ただし動き回る物体にはその限りではない、小さくて素早いとなると補足することが難しくなるのだ。


 だが今回の肉塊は動きを止めてしまった。

 これが今回の勝負を分けたのであった。


「さてと、残るは一匹、とっとと終わらせましょう」


 ラスが見つめるのは、不死牛の姿。

 未だ歩みを止めることなく、大地を揺らし続けている。


 そしてその不死牛も、タイタスたちのほうを見つめている。


ーBMOOOOOOOOO!!


 不死牛の咆哮が響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ