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とある勇者の冒険譚  作者: azl
第五章 雪原地帯での謀略
31/69

VSトレント

かなり短いです

「げ、出やがった」


 ガインの大森林で木を切っていた俺。

 初めのうちは特に問題なくできていた。


 だけど案の定というかなんというか、奴が現れてしまった。


『トレントですね』


 そう、俺にどんどん近づいてくるあいつ。

 木の癖に歩いてんじゃねぇよ。


 で、どうするべきか。

 逃げてもいいけど・・・。


『多分気付かれますね。トレントの索敵能力は魔物の中でもトップクラスなので』


 ブルー曰く、トレントは周囲の木材から音や振動といった情報を得ることが出来るらしい。

 ここは森の中なので、木が沢山ある。そんな中、奴から逃げきるなど絶望的だ。


「やるしかないか・・・」


 気は乗らないがやるしかない、俺は背中の鞘からブルーさんを引き抜く。


『身体強化は?』


『完了しております』


 ならばいい。

 俺は大地を蹴り、トレントに距離を詰める。

 そして、


「はぁああ!!」


 そいつ目掛けて上段から斬り下ろした。

 だが、


「チッ、そんなこともできんのか!!」


 突如地面から現れた木の枝によって俺の一撃はふさがれた。


 もっともその木の枝は一瞬にして切断されている。

 だがその一瞬で十分、いつのまにかトレントは俺から距離を取っていた。


 そして放たれたのは、木による反撃。

 まるで槍のように鋭利なそれが、俺の喉元目掛けて飛来する。


 一本だけなら回避すればいいのだが、その槍は複数放たれておりそう簡単には敵わない。

 自分の喉元目掛けて飛んでくるそれらを、慎重に対処しないといけないのだ。


 だけど俺にはブルーがある。

 で、あるならばそんなことに気を使う必要もない。


 俺は飛んでくるその木の反撃を、ひとつ残らず”五月雨突き”で迎撃する。


 パラパラと落ちる木の残骸、それを確認した俺は再びトレント目掛けて接近する。


 だがそう簡単にしてやられるトレントではない。

 奴は、自身の持つ能力をもって、体の周囲を木で覆う。


 まさしく城塞の如き風貌。

 それは見た目だけではなく、その強度と分厚さもそれに匹敵するほどだろう。


 だが、


「岩穿突!!」


 俺の前では、否、ブルーの前では悪手だった。


 聖剣に斬れぬものなどあんまりない。

 鉄板だろうが金剛石だろうが、聖剣の前には紙切れに等しいのだ。


 それは奴の周囲を覆う木も同じ。

 俺の放った突きは、奴の作った城塞を易々と突き破った。

 俺によって大穴を開けられたトレント。

 瞳に宿っていた煌々の光も、すっかり消え失せてしまっている。


 そして、


「お、勝ったか」


 トレントが纏っていた木が崩れ落ちた。

 絶命したと考えていいだろう。


『む?ネイ、トレントの様子が!?』


 そう思っていたのだが、


ーズギャアア!!!!


 トレントが奇声を上げながら飛び掛かってきた。

 手負いの魔物が一番危険だ!!ってのをすっかり失念していた。


 俺は慌てて大地を蹴り、上空へ跳躍する。


 その刹那、トレントがパンっ!!という破裂音を立てて砕け散った。


「一体何だったんだ?」


 重力によって大地に戻された俺は、ついさっきまでトレントだったものを観察してみた。


『黒い煙のようなものが出てますね』


 おお、ほんとだ。

 プスプスと黒い煙が出てきている。


『解析・鑑定でも該当なしと来ました』


 ふむ、謎だな。

 ならば保留だ。今やるべきことをやろう。


 そう考えた俺は、ついさっきよりもずっと周囲を警戒しつつ木を切るのだった。

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