ファウスノーにて
カズヤの上Bと技全般の判定が滅茶苦茶強い。
CPUも比較的強いので、使い慣れてないキャラの練習にお勧めです。
ファウスノーはいくつもの集落が集まり、形成された国家である。
ただしこちらはショーコンドと違い、非常に長い歴史を持っている。
このファウスノーの政治は少々独特で、絶対的な主権を持つ者がおらず、国のトップは国民たちによって決められる、民主制が取られており、権威の継承というものがほとんど起きない。
それゆえ内乱や暗殺といった、武力が原因となる政権交代は歴史上において非常に稀。
基本的に選挙は年に一回、ただし国民の大半が希望する場合はその限りではないため、比較的国民の幸福度は高く、犯罪率は低い。
しかしファウスノーには、様々な集落が存在しており、その全てが平和であるとは言えない。
情報が秘匿された集落もあれば、治安が著しく悪い集落もあるのだ。
なかでも獣人と呼ばれる存在が住む集落は、近づく人間を全て追い払っているため、未だに謎が多い。
そのせいでこの集落は人間の不可侵領域となっており、近づくことが良しとされていない。
だけどまぁ基本的には良いところだ。
集落間の抗争もほとんどなく、ある程度国民の民意を含んだ政治が行われるので当然である。
それでは最後にファウスノーの食糧事情と、生息する魔物を紹介しよう。
ファウスノーは、植物を育てるのが非常に難しいため、魚や獣といった生き物の狩猟によって食材を得る場合が多い。
シカ、サケ、クマなどなど。
そういった食材を無駄なく食べるための技術が、ここファウスノーでは著しく発達している。
最後に魔物なのだが、つい先ほど挙げたシカ、サケ、クマ型以外にもトレントといわれる魔物が稀に発見されることがある。
この魔物は木のような見た目をした魔物で、周囲の樹木を操ることが出来る。
それ故発見され次第討伐隊が形成されるレベルなのだが、つい先ほども言った通りこの魔物が発見されるのは稀、一々心配する必要はない。
今回は特に厄介事に巻き込まれることなく、安全にファウスノーを渡ることが出来る。そう思っていた。
だがこの時の俺は知らなかったのだ、今まで史上一番の厄介事に巻き込まれることに。
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「ごめんなさい。今新規のお客様のご利用は受け付けていないんです・・・」
「えぇ、そんなぁ~」
今俺たちが来ていたのは、ファウスノーのとある宿屋。
俺たち三人は、リュークさんと別れを告げた後、ファウスノーの雪原を歩き続けていた。
その間の夜は、それぞれが寝ずの番をしていたのだけど、ラスが「全て私にお任せください」というので少々お言葉に甘えてしまっていたのだ。
でも流石に毎日というわけにはいかないので、全員でローテーションを組んでいた。
そのせいで俺たちにも若干の疲れが溜まっていたのだ。
だからここいらでそれを取っておきたいなぁと思っていたのだが、
「おいおい、今日も野宿かよ!?」
「私は別に構いませんけどね」
冒頭の会話に巻き戻るってわけだ。
ラスは慣れていると言っていたので問題なさそうだが、タイタスは今にも倒れそうだ。
そもそも極寒の地での野宿自体があまりにも危険な行為である、そんなさなか満足に休息を取れるわけがなかった。
「いったいどうして中断したんです?」
「それは・・・」
「それについては俺が説明しよう」
そう言って部屋の奥から出てきたのは、白い髪をオールバックにした男性、多分この宿屋の主だろう。
「あ、どうも。ネイと申します」
「おぉ、俺の名前はラズリだ。この宿屋のオーナーをしている」
「あ、分かりました。で、ラズリさん」
「おう、なんでお前らを泊められないかって話だったな。簡単だよ、薪がないんだ」
「薪、ですか?」
「あぁ、薪がねぇと暖炉は使えねぇだろ?そのせいでこの宿の部屋全部極寒地帯になっちまってんだよ」
なるほどね。
それはもうほとんど野宿と変わらないのからな。
周囲の安全が確保されているという違いがあるが、満足な休息が取れないことには変わりがない。
「じゃあ何で薪が取れなくなったんです?」
「あぁ、何でか知らねぇけどよ、最近トレントがやたら出没するんだよ」
「え、あの稀に発見されるっていう?」
「おう、そいつだぜ」
何でこのタイミングなのか、いろいろ考えてたけどやっぱり原因は・・・。
『魔王の仕業でしょう』
だろうな。
しかし泊まれないとなると少々困ったことになるな。
でも今の言い分なら薪を取ってくればいいって感じに聞こえなくもない。
「じゃあもし俺が薪を持ってきたら泊めてくれるってことですか?」
「まぁな」
「だったら俺が持ってきますよ」
「おいおい、危険だぞ?」
「こいつをこのまま連れて行く方が危険ですから」
そう言ってタイタスを指さす。
「おいおい、俺はぴんぴんしてるぜ?こんな風に・・・」
「顔が死んでるんだよ!!」
「え?」
「で、ラズリさん、薪を採るためには何処に行ったらいいんです?」
「何処でも構わねぇぜ、木があるところならな」
「分かりました、それじゃあ行ってきます」
「おいおい、本気でいくのかよ。危険だぞ?」
「百も承知ですよ」
そう言って俺は宿屋から出ていく。
「私も同行しましょうか?」
そうラスが提案してくれたが、
「いや、ラスも休んでてくれ」
流石にラスも疲れてるだろうからお留守番だ。
「オーナーさん」
「あいよ、部屋くらい貸してやるぜ」
「助かります」
なら大丈夫。
そう確信した俺は、ファウスノーの大部分を占めるガインの大針葉樹林に向かうのだった。