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とある勇者の冒険譚  作者: azl
第四章 神聖王国での激闘
29/69

知らない天井

「んっ、ん~?」


 何かに包まれたような感覚、多分毛布かな?

 そんな感覚の中で、重い瞼を気合でねじ開ける。


「知らない天井だぁ~」


 何処ここ?

 本当に何処?何でこんなところにいるんだ?


 落ち着け落ち着け、まずは記憶をたどろう。


 確か俺たちは、突如としてディザードに襲来した黒龍を追い払うために交戦した。

 で、確か俺が奴の逆鱗にブルーさんを突き刺した後、ラスに引き上げられた。

 で、こっからどうなったんだっけ?


 ヤバい、覚えていない。


 黒龍は?

 あいつらはどうなった?


 頭に若干の痛みを感じながら、辺りを見渡してみる。


「おっ、ブルーはいるみたいだな」


 俺の寝ているベッドに立てかけるように、ブルーさんが置かれていた。

 それを見て焦る気持ちも少しだけ落ち着いた。

 なので取り敢えずいつものように握ってみた。


『ネイッ!!ネイッ、無事だったんですね!!!!!!!!』


 うるせぇッ!!

 鼓膜が破れるだろうが!!

 あ、鼓膜じゃない?俺の頭に直接話しかけてるから?

 猶更悪いよ!!


『そんな騒がなくても聞こえるっての!!少し静かにしろ!!』


『ッ!!ごめんなさい、心配だったもので・・・』


 あら、思ってた反応と違う。

 本当に申し訳なさそうな口調での返事だった。なんだよ、調子が狂うじゃないか。

 どうやら俺のことを本気で心配していたみたい、だったら悪いことしてしまったな。


『あぁいや、悪ぃ、俺も言い過ぎたよ』


 まさか狡猾の代名詞みたいなブルーさんが、こんな反応をしてくるとは思わなかった。

 てっきり、黒龍相手に倒れてしまうなど情けない!!なんて言われるのかと思ってた。


『いえ、元気ならばそれでいいのです』


 だけどそんな感じだったのも一瞬で、今はいつもの感じに戻ってしまっている。


 まぁそれはいい。問題はタイタスやリューク、ラスにセテスさん、一緒に戦ってくれた人達の安否だ。

 姿が見当たらないけど、大丈夫なのかな?


『なぁブルー、タイタスたちは無事なのか?』


『ご安心を、全員無事です』


『そっか、なら良かった』


 なんでも交代で俺の看病をしてくれたらしい。

 でも今はちょうど誰もいない時間帯なのだと。けどまぁあと五分もすれば戻ってくるそう。


 取り敢えず全員無事なことが分かったので安心できた。

 でも気になることは残っていた。ここは何処なのか、一体どれくらい眠っていたのか?


『なぁ、ここって何処なんだ?っていうか俺ってどのくらい寝てたの?』


『ここですか?ここはセテスの屋敷ですね。約三日ほど滞在しております』


『三日だと!?その間ずっと俺は寝てたのか?』


『その通りですが?』


『おいおい、なんてことだ・・・』


『生命力を全部使い切ったのですから当たり前です!!むしろ生きてること自体が奇跡なんですからね!!』


 お、おう。そうなのか。


 話してる感じ、どうもブルーさんは若干怒っていらっしゃる様子。

 なので「悪かったよ」と謝っておいた。


『分かればよいのです。それよりも、ですよ』


『なんだよ?』


『黒龍との戦いで、沢山の”経験(レベル)”を積むことが出来ました。その結果新しい”技能(スキル)”を獲得したようですよ』


 おぉ、それは素晴らしいな。

 黒龍自体は仕損じたけど、死闘というものは経験できた。

 それこそ”死を覚悟するような激しい戦い”ってやつを。


『だけどアビリティボードがないと確認できないのか・・・』


『その通りですね。一応”世界の声”は聞こえてきたので間違いはないのですが・・・』


『安心しろ、疑ってはいねぇよ』


 その後、別に話すこともなかったので、俺が眠っていた間に起きていたことをブルーさんが話してくれた。

 タイタスが花瓶を割ったり、タイタスが遠慮も知らずセテスさん家の料理を食い尽くしたり、タイタスがーーー。


 そんな他愛のない話をしていたら、廊下の方から足跡が聞こえてきた。


「う~す、邪魔するぜぇ~!!」


「よぉ、タイタス。悪ぃな、看病してくれてたんだよな?」


「お、お~!!相棒ッ!!目が覚めたんだな!!」


 入ってきたのは筋骨隆々の大男、タイタスである。

 タイタスは俺を見るや否や、俺のそばに駆け寄って抱き着いてきた。

 暑苦しいのでやめていただきたい。


「はいはい、お前の相棒だよ。だからさ、どいてくれねぇか?暑苦しいよ」


「お、悪かったな。ついつい、な」


 そう言ってタイタスはにやりと笑う。


「まぁいいさ。それよりもちょっと頼みたいことがあるんだが」


「なんだ、俺にできる事ならやってやってもいいぜ?」


「助かる。ちょっとセテスさんから、アビリティボードを借りてきてくれないか?」


「そんなことならお安い御用さ、任せろ!!すぐに戻ってくるぜ!!」


 そういうなりタイタスは扉をバタンッ!!と勢い着けて閉じた後、クソやかましい足音を立てながら、階段を下りて行った。


「陽気な奴だよな、本当に」


 今はちょうど夕暮れ、出発は明日になることだろう。


『なぁブルー?』


『何でしょうか?』


 不思議そうにブルーが訪ねてきた。

 どうしても言いたいことがあったのだ。

 出会った当初はこいつのことが嫌いだった。わがままだし、態度がでかいし、なんか怖いし。


 だけど、


『いつもアリガト、これからもよろしくな?』


 こいつがいたからタイタスに会えた、ラスにも会えた。

 こいつがいるから俺は今ここにいるのだ。


 苦しいこともあったけど、楽しいこともあった。

 それはこれからも変わらないんだろうな。


『ッ!!もう、急に何ですか!?』


 照れたような声色で、そんな返事が返ってくる。


『照れるなよな』


『フンッ、私の役目は魔王を倒すこと。であるならばあなたに協力するのは当然のこと。ですが・・・』


『ですが?』


『私もあなたに会えたこと、少しは喜ばしく思ってますよ?』


『・・・そうかよ』


 自分から言い出しといて恥ずかしくなってきた。

 はたから見れば勝手に顔を赤くしている変人・・・、病み上がりだから病人かな?


 まぁいいや。


『とにかく、これからもしっかり手助けしてくれよな、相棒?』


『もちろんです。あなたも私を十全に扱えるよう、努力して下さいね』


 任せろ。心の中でそう返事をした。


 そんなやり取りの後、静かだった廊下がまた騒がしくなってくる。

 ついさっきよりも音の数が多いようだ、ドンドンとやかましい。


 だけど、そんな音のおかげで、初めて俺は心の底から勝利を喜べた気がした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おまけ:アビリティボード


名前 ネイ


職業 剣士(勇者の種)



称号 勇者の種を宿す者



技能 基本技能...剣術 下級Lv10(MaxLv10)



        →燕返し、薙ぎ払い、袈裟斬り



        剣術  中級Lv15(+13)(MaxLv20)



        →円弧斬、岩穿突、五月雨突き



        対魔物術 下級Lv10(Max)



        →魔物特攻属性付与(極小)、魔物特攻属性付与(小)



        中級Lv20(+17) (MaxLv20)



        →魔物特攻属性付与(中)、魔物特攻属性付与(大)


        上級Lv2 (NEW)  (MaxLv30)


        →魔物特性特攻付与(極大)


   職業技能 主技能...流動の剣型Lv43(+22)(MaxLv100)



        →脚力増加(極小)、脚力増加(小)、見躱しのカン、脚力増加(中)、脚力増加(大)



        副技能...流動の剣技Lv30(+9)(MaxLv100)



        →霞斬り、カウンター、滑流斬、疾風斬、迅雷斬



        聖剣技Lv55(+5) (MaxLvなし)



        →念話、視覚共有、記憶探査、地形把握、身体強化魔法、精神操作、以心伝心、解析・鑑定、破邪の光、黒の障壁


        挫けぬ心(MaxLvなし)


        →窮地に活

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