憧れの勇者様
初投稿です。
太陽もすっかり沈み、外灯の光がポツポツと見え始めた頃、少女が母親を呼ぶ声がします。少女は、ベッドの中でちょこんと顔を出しながら、お気に入りの物語を読んで!!とおねだりしていました。
「はいはい、わかったわ、昨日の続きからでいい?」
「うん!勇者様のすごい活躍早く聞きたいもん!!」
「そうね、勇者様のすごい所はここからだものね。それじゃ、始めましょうか。」
「うん!」
その物語とは心躍るとある勇者の冒険譚。ありとあらゆる国の少年少女の憧れ。
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「そうして勇者は頼れる仲間たちと共に、闇へと立ち向かいました。そして、巨大な闇を打ち払い、私たちの世界を守ってくださいました。私達は、勇者の守ったこの世界を大切に守り、日々を大切に生きていかなければならないのです。」
これで、勇者の冒険譚も終わり。母親がパタンと本を閉じました。
「あーあ、終わっちゃった。でも勇者様ってかっこいいなぁ、私も勇者様みたいに強くなれるかな?」
「毎日訓練すれば、きっとなれるわ。だからしっかり頑張るのよ?」
「うん!わかった。でも、お話も終わっちゃったし、今日はもう寝るね。」
「そうしなさい、ウル。明日は早起きしないと。だからね。」
「うん!それじゃあ、おやすみなさい。お母さん。」
「ええ、おやすみなさい。」
そうして1人の少女が眠りにつきました。
明日もきっと、家族達と穏やかな日常を送ることができる。このことを当然のこととして少女は受け入れています。そして母親もまた同じ気持ちです。
しかしこうして穏やかな日々こそ、かつて、闇を打ち払うため戦った勇者達がのこしたものなのです。
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