春日野神社 2
「それで香奈枝さんは僕が魔素を吸収することをどう思ってるんですか」
ここからは慎重に話を進めないとね、言葉の選び方を間違えただけで揉めることもあるしね
「神気自体はそこの井戸から放出されたものが自然に拡散されるのでそれを吸収すること自体はどうでもいいのよ
でも、吸収した神気を使って何をやるかはちゃんと教えてほしいわね
勇気君の場合は神気を自由に使うととんでもないことでもできそうだから特にね」
香奈枝さんの心配をもっともだよね
僕は今のところ魔素を身体強化と身体防御に限って使う気だけど、それでも最低限に抑えないと平気で人ぐらいは殺せてしまう
「魔素の使い方ですが、身体の強化に限って使うつもりです
僕は心だけが異世界から戻ってきたので体は普通の高校生の状態なんですよ
それも普通というよりはいじめられっ子の身体ですね
流石にこれだと困るので最低限の身体強化は必須なんですよ」
「確かにひ弱そうな身体よね、それといじめられっ子って、勇気君は虐めれれてるんだ
それじゃあ、身体を強化して虐めっ子に復讐をするつもりなのかな」
この返事がポイントだ
下手に隠すと余計に疑われるね
それに、まだ未遂だし、今なら話しても彼女の名誉は守れるからね
「別に自分がいじめられる分には大した話じゃないんですよ
でもね、僕を庇ってくれた女の子がレイプされてそれが原因で自殺するのは許せないんです」
「レイプ、自殺、ずいぶんと不穏な話ね
それって勇気君が危惧してるって言う話かな」
予想外の言葉が出てきたようで香奈枝さんは戸惑ってるね
長く生きるという九尾の狐にしては随分とナイーブな反応だね
「違いますよ、今晩起きる話です
僕はその子の自殺の原因が自分にあることを知って一か月後に自殺して、それで異世界に転移するんです
何を言ってるのって顔をしてますね
でも本当なんですよ、僕は異世界に転移した日から一か月前の今日に戻されたたんです
なんでだと思います、その子の自殺を防ぐために決まってますよ
そうじゃ無ければ今日に戻ってくる理由なんて無いんだから」
少し熱くなったかな
「そう、それで許せない勇気君は何をするの」
「そんなの決まってます、レイプの現場に踏み込んで彼女を救ってレイプ犯には天誅を加えるんです
それしかないじゃないですか」
「天誅ですか、どれほどの天誅をするのかしら」
「彼女は死ぬんですよ、人を死に追い込むほどの悪行ですからね
少なくとも二度とレイプをしようとも思えない精神とレイプをしたくても出来ない肉体にはなってもらいますよ」
「それは随分と厳しい罰ね」
やっぱり反応が不思議だな、妖狐というよりは人間に近いのかな?
「そうですか、少なくとも九尾の狐が与える天誅よりは随分と穏やかだったりしませんか?
香奈枝さんにとって人なんて大した存在じゃないんでしょうし」
「あら、なんでそう思うのかしら」
「そりゃあ、僕を泳がしてるからですよ、どうせ問題があればすぐに排除できると思ってますよね」
「そう、たしかにそうかもね」
やっぱり人なんてどうにでも出来ると思ってるんだ
「それで、僕は話しましたよ、香奈枝さんはどう判断するんですか」
「そうね、私も暇じゃないんだけど、私の所の神気を使うのだとしたら私にも責任は生じるのよね
だから、勇気君に同行するね
そうしてやり過ぎそうだったら止めさせてもらうね」
「やり過ぎって言うのは」
「殺さない事、その女の子が後々逆恨みされない程度に抑える事、そんな感じかな
要は殺さない事、恐怖は与えても良いけど、長く残る強い恨みに繋がるような身体の欠損等は控える事かな」
この辺て香奈枝さんの経験から出る言葉かな?
やっぱり、長く生きていると色々と後悔を伴う経験のしてるんだろうな
「それって金玉をつぶすのはダメッてこと」
「恨みを煽るかもね」
「ならどうしようか、ああ、呪詛を埋め込みのはどうですか
暴力行為や合意の無いセックスしようとすると激しい頭痛に襲われて悶絶するなんてのはどうですか」
「う~ん、それならいいかも」
意外だ、呪詛はOKなんだ
まあ、物の怪の得意技でもあるからかな
「じゃあ、その線で、それと香奈枝さんはやっぱりお目付けには来るんですか」
「一応ね、お約束って言う事で」
こうして僕は香奈枝さんの監視のもとでレイプ犯を取り押さえて天誅を加えることになったのだ