未知の毒物
某所、某警察本部の会議室。
鑑定の責任者が発言した。
「検出されたのは何らかの毒物と推察されますが、未知の物質です」
室内の空気が凍った。
外は初夏を思わせる陽気で、半袖で歩いている人たちも。
事件はある田舎の沼で起こった。
時おり釣り人が来て、フナなどを釣っている。
地元の人たちだけが知っている沼。
ここで、ある日の朝に異変が。
沼に生息するすべての生物が死滅して水に浮いていた。
発見したのは地元の人。
勤務先のシフトで休日の朝、
愛用の釣りざお等を軽ワゴンに積んで、
「いつもの沼」へ。
水面の異常にすぐ気がついて、スマホで110番。
数分後にパトカーが現場に。
通報した人から発見当時の事情を聞いて、
所轄の署が鑑識を要請。
20分ほど経って鑑識担当者が到着。
水に浮いた魚や虫を数種類ずつ、沼の水、底の泥、周辺の土と植物、水面に接する大気、沼の周辺の大気を採取。
旧帝大の専門家にも協力を要請して、
毒物の検出が行われた。