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異世界転移はされるもの!  作者: 二度寝
第2章 森の粘体と科学者
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開戦

 


 俺はやった!やり遂げた!



 永遠にも思える3日間を、遂に乗り越えたのだ。



「…まぁ、こんなものだろうね。3日間お疲れ様。まだまだカスみたいなものだけど、カスの中ではマシっていう程度には強くなったんじゃないかな?」



「…有難うございました。クソ仮面様。」



 3日間とはいえ、俺に修行をつけてくれた人だ。一応礼は言っておこう。



「様なんて付けなくていいよ。ゲンガさんと呼んでくれ。」



 この3日間で分かった事は、コイツには話が通じないという事だ。


 俺が何度やめてくれと叫んでも、クソ仮面は俺をボコり続けた。「これも修行だ」という言葉で、全てが許されると思っていやがる。



「さて。一度ステータスを見ておきなよ。レベルは上がっていないだろうが、そこそこマシにはなっている筈だから。」



 素直に従うのは癪だが、確かに気になる。この3日間ガリバーの通知は切らされていたからな。





 名前―桐崎 幸(きりさき さち)


 年齢―17歳


 種族―人間


 レベル―11


 職業―冒険者


 所属―仙境六花(仙境六花) 前衛班(カリバー) 後衛班(カノン)


 先天スキル―不死


 後天スキル―刀術Lv.3 銃術Lv.3 苦痛耐性Lv.8 剛力Lv.2 思考加速Lv.3 速読Lv.3 鉄壁Lv.3 投擲Lv.1 物理耐性Lv.1 魔法耐性Lv.3


 魔法―生体属性Lv.3 無属性Lv.2


 能力値―MP 160/160

 STR 280

 DEX 185

 VIT 325

 AGI 215

 INT 210

 MND 575

 LUK 5


 称号―時神の知人





 おいおい、どうしてくれるんだ。

 苦痛耐性が2レベルも上がってしまったじゃないか。

 スキルのレベルはMAX10だったよな?苦痛耐性カンストとかしたら可哀想過ぎるだろ。



「それなりに上がっただろう?肝心なのはアビリティだが、そちらも上がっている筈だよ。」



「…まぁ、はい。……これで皆の所に行って良いんですよね?」



「許可しよう。ホントは透明化くらい習得して欲しかったけどね。ホント要領が悪くて困る。」



 アンタみたいな化け物の物差しで言うな。


 とは言えないので、素直に礼を言っておく。



「有難う御座います。転送装置はどちらに?」



「せっかちだね。安心しなよ、外の世界では大した時間が経っていないんだからさ。」



 そんな事を言われても、早く皆の顔を見ないと落ち着かないのだ。ヒカルとフタバの無事を確認したいし、イチト達と合流して謝りたい。



「まぁいいか。…こっちだ。」



 ゲンガさんに続いて部屋を出る。


 そこには、ギルドの転送装置と良く似た物が設置されていた。だがこれは…



「……何の冗談です?」



「あ、やっぱり分かる?」



 どう見ても偽物だ。ナリはそれっぽいが、中身が違うと言うのか…上手く説明出来ないが、これで空間転移が出来ないのは分かる。



「ほんと、本質を見抜く目だけはあるね。生体属性の適性が高いって事なんだろうけど…女の子を相手にする時には気をつけるんだよ?髪を染めているからって、指摘したりするもんじゃない。」



「余計なお世話ですし、手遅れです。…それより本物の転送装置はどこです?」



 イチト達3人は、ゲンガさんにバァライへ送ってもらった筈だ。転送装置自体はある筈なのだ。



「そんな物は無いよ。…私が時空魔法で送ったんだ。」



「………。」



 負け惜しみじゃないが、その可能性も考えていた。

 だが、水、火、闇、生体と、4つの属性を使いこなし、その上時空属性まで使えるとなると、少々常軌を逸している。



「私は君のような凡才とは違うんだ。君の常識を押し付けないでくれ。」



「何も言っていません。心を読まないで下さい。」



 この人、初めて会った時は紳士的だったのに、この3日間で完全に化けの皮が剥がれたな。


 いや、これすらも化けの皮なのかも知れないが。

 …生体魔法使いを相手に、考えるだけ無駄か。



「バレてしまったし、装置には乗らなくていいや。……じゃあ送るよ。せいぜい頑張りたまえ。」



「ありが……っ。」



 最後の礼の言葉は途中で終わった。

 何の感慨も無く転移させやがって。本当にあの人は人間なのだろうか?







 ともあれ、俺は無事にバァライ近郊の森へとやって来た。イチト達はバァライに送られたそうだが、俺はいきなり森の入り口だ。転送装置の偽装がバレたから、遠慮なく近くに送ってくれたのだろう。



「…待ってろみんな。今行くぞ!」



 俺は森に入り、一直線にダンジョンを目指す。ゲンガさんに借りた犬型の魔道具に案内をしてもらい、疾走する。



「!!」



 森に入り、僅か2分で魔物に出会った。普通のスライムだ。



「『ショートカット1』。」



 俺はガリバーから刀を呼び出し、鞘から抜き放つと同時に振り抜いた。



「…よわっ。」



 スライムは、体内の魔石ごと真っ二つになる。


 ザコは無視してもいいんだが、少しでも経験値が欲しい。あれだけ体を再生したんだ、レベルアップの恩恵は捨てがたいものがある。



「…今度は3体か。…『ショートカット2』。」



 今度のスライムは、赤色のが1体、青色のが2体だ。銃も試しておこう。



 パンッ!パパンッ!



 3発で3体全ての魔石を砕いた。

 DEXが上がったのを実感できるな。



 その後もスライムを狩りながら進み、20分程でダンジョンに侵入した。ゲンガさんは、入り口が隠蔽されていると言っていたが、俺にはどう見ても入り口にしか見えない。


 MNDの恩恵だろうか。それとも目を魔力強化しているからか?…どっちでもいいな。



 俺は迷い無くダンジョンに踏み込む。









 ………………………………………









「待っていたよ。お2人さん。」




 ボク達は遂に、ダンジョンのボス部屋へと辿り着いた。ボス部屋は滝の裏に隠された洞窟。


 本来ならココに辿り着くのは容易な事では無かっただろう。


 しかしボク達は、余りにも露骨にココへ誘導された。

 不自然な魔物の出現、一定間隔で置かれた冒険者の亡骸。その全てが、この洞窟へと誘っていたのだ。



「「………。」」



「おやおや?君達までダンマリかい?ほらほら、君達のお仲間を殺したのは私だよ?存分に怒りをぶつけてくれたまえよ!」



 ボス部屋には白衣の男と、1匹のスライムがいる。

 いや、アレはスライムと言っていいのだろうか。その姿は、今まで見てきたスライムと余りにもかけ離れている。



「…お望み通り、ぶつけてあげるよ。」



 ここが普通のダンジョンで、普通のボス部屋ならば、怒りを覚えるのは可笑しな話だ。冒険者である以上、常に危険は付き纏い、死の覚悟だってしているだろう。


 しかし、これは違う。


 ダンジョンの存在を隠し、表にはスライムを出現させ油断を誘う。人為的な悪意の塊とも言えるダンジョンだ。これはキレても良いだろう。



「…ヒカルだけにやらせたりしない。」



 フタバも同じ気持ちだったようだ。

 彼女の眼光が、今までに見た事も無い程に剣呑になっている。



「『地球両断ぶれーど』!!」


「……『帯雷』。」



 ボク達で終わらせる。


 これ以上、こんな所で犠牲者は出させない。




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