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異世界転移はされるもの!  作者: 二度寝
第1章 始まり始まり
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カリキュラム

 

 一先ず技術班で行う登録作業は終わった。また夕方にギルドからの支給品を受け取りに来なくてはならないが、それまではこの建物に用は無い。

 俺達はまた、ダラダラと話しながら別の建物に向かう。次は研修の登録だ。




「にしてもさー。ギルドの武器庫って言ったら『光線銃』くらい有っても良いと思わない?」



「カナデってそういうの好きなの?私は昔ながらの猟銃とかの方がカッコいいと思う派なんだけど…」



 カナデとリコが何やら物騒な話をしている。



「いや、光線銃って違法だろ。」



「わお。イチトが真面目な事言ってる。」



 ここで言う違法というのは日本での話だが、大概どこの国でも、無許可で持っていたら捕まる。


 まぁ、今話しに出てきた光線銃なんて物は、どこの街でも溢れかえっているけどな。異界からの技術流入を完全に防ぐ事なんて出来ないのだ。



「結局魔物には魔力や魔法が1番効果的だしなー。光線に魔力なんて込められないし。」



 なんて俺が呟くと、皆頷いている。光線銃はたしかに素人が使うには強力な兵器だが、魔物を殺傷するのには向いていない。となれば『対人用兵器』と看做されて、違法となるのだ。




「ところでみんな、受ける研修は決めてあるの?」



 教育班(カリキュラム)の建物が見えた所で、リコが話を変える。



「ボクは実技系かなー。座学はスキルでカバー出来るし。」



「……私はお勉強。ウチではしてこなかったから。」



 ヒカルの先天スキルについては、ざっくり聞いただけだが、なんでも「魔力の分だけ知識を引き出せる」らしい。イマイチ内容は分からないが凄そうだ。



「俺は全般的にだな。」


「オレも。」


「「私も。」」



 俺、イチト、カナデ、リコは、なるべく満遍なく研修を受けたいという意見で一致した。



「なんか大学っぽいわねー。」



 リコは大学生だったのだろうか。教育班の建物を見て、そんな感想を口にした。


 そういえば俺って、皆の過去について何も知らないな。俺は高校を退学になってギルドに応募したが、他の皆はどうなのだろう。


 いつか聞いてみたいものだ。



 武装登録の時と同じく、ガリバーの案内に従って進んでいく。



「あ、皆さーん!こっちですよー!」



 研修科目の選択は、教室の1室を使って行うようだ。その教室が目前に迫ると、入り口からこちらに呼びかける声があった。灰田教官だ。



「ここは灰田教官の担当なんですねー。」



「そうなんです。でもみんな後回しにしがちで、暇だったんですよー。」



 冒険者になる為に入ったのに、学生の真似事なんてしたくねー、って言っているヤツがいたな。そういう人が多いのだろうか。



「アカデミーで受けられる研修は、社会的に見ればすごい貴重なんですけどねー。」



 アカデミーというのは、ギルドの研修施設の事を指すようだ。ちょうど俺達がいるこの建物がアカデミーという事になる。



「メールで見たんですけど、一定の単位を取らないと卒業出来ないんですよね?」



「そうですね、卒業出来るまでは半人前として見られますし、受けられるお仕事(クエスト)にも制限がかかりますので、頑張って卒業を目指してくださいね!」



 灰田教官の説明によると、冒険者ランクを上げないと受けられるクエストが増えない。そして、アカデミー生の冒険者ランクは特例を除き、Cまでしか上がらないらしい。



「特例って?」



「卒業試験を前倒しで受けて、合格する事が出来ればランクを上げられますよー。というか、3年を待たずに卒業出来るっていう事ですね。」



 ほう。それは魅力的だな。



「ただし、当然そんなに簡単じゃないですよー?5年経っても卒業出来ない人もいますし……皆さんまだお若いんですから、堅実に学んで行ってください。」



 3年で無条件に卒業というわけでは無いのか。早く稼げるようにはなりたいが、俺の場合3年で一人前になれるかどうかも心配だ。



「分かりました。あまり欲張らずに頑張ります。…ちなみに俺達、ある程度受けたい研修を決めてきたんですけど……」



「皆さん真面目ですねー。今研修科目の一覧をお出ししますね。」



 事前にある程度目処を付けていた為、俺達の履修選択はスムーズに終わった。1日平均2.3科目の研修を受ける事で、単位の取得は間に合いそうだ。本当はもっと学びたい所だが、冒険業にも時間を使わなくてはならないので、この辺りが限界だと思う。



「はい、これで全員登録出来ました。皆さんお疲れ様でしたー。」



 教育班の施設…アカデミーで行う登録作業はあと1つだ。ただしこちらは必須では無いが…。



「教官、ゼミについてお聞きしたいんですけど…」



「あ、そちらの登録がまだなんですね。何でしょう?」



 ギルドにおけるゼミというのは、各属性魔法の専門家に師事する事で、自身の魔法技術の向上を図るものだ。



「えと、ゲンガさんにお願いする事は出来ませんか?」



 ガリバーの案内には、化神ことゲンガ氏の名前が載っていなかった。やはりレア属性の魔法適性を持つ者は、こういった所で不利だと感じるが、素直に諦める事も出来ず、一応灰田教官に聞いてみる事にしたのだ。



「ゲンガさんですか……桐崎さんは生体属性なんですね。……正直なところ難しいと思います。」



 まぁ半ば予想していただけにそこまで落ち込まないが、やはり非常に残念ではある。



「そ、そんな顔をされると……。あの方は神出鬼没といいますか、行動を把握出来無いんですよ。もしもお会いする事が出来ましたら頼んではみますが、あまり期待はしないで下さいね?」



「はい…ありがとうございます。」



「桐崎さんもお会いする事が有りましたら頼んでみて下さい。アカデミーに届け出る必要もありませんので。」



 ゼミは単位に関係が無いため、あくまで個人でのやり取りになるそうだ。ゼミとして用意しているものは、教官達の好意によるものらしい。


 灰田教官にお礼を言って、俺達は教室を後にする。これで登録作業はほぼ終わりだ。後は細かいものが少し残っているが、残りは宿に帰ってからガリバーを通して申請するだけで済む。



「ねぇ、そろそろお腹空かない?夕方まで何も無いし、少し街を見て回りましょうよ。」



「いいね!ギルドの周辺くらいは把握しておきたいしな。…なんなら俺、この島の名前も知らないくらいだし。」



 リコのナイスな提案にそう返すと、全員に白い目で見られてしまった。



「お前…それはやばいぞ?」


「……ヒカルよりバカ?」


「なんかボクまで傷つけられたんだけど!?」


「あんたって頭の使い方偏り過ぎじゃない?」


「リコ絡み以外でもヤバイ時あるんだねー。」



 そんなに言われるかね。

 俺も心までは不死じゃないんだけど。



「くっ!……ガリバーで調べるからいいもん。」



 俺は涙を拭い、ガリバーを起動した。



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