チートスキルは使いよう
「テツくん、あーそーぼー」
サクラちゃん(3歳)からのラブコールだ、
まあ、俺も3歳だけど…
「サクラちゃん、何して遊ぶ?」
「探検ごっこ!あそこの森に行ってドングリ拾うの!」
探検ごっこかあ…懐かしいな俺も子どもの頃
マンションのあちこちをうろうろしてたな…
あと、サクラちゃんあそこ(数メートル先の休憩スペース)って
木が10本しか植えてないよ…子どもにしたら十分に森か…
「わかった、行こう!
じゃあ、母さんあそこの木のところで
ドングリ拾って来るね!」
「走ったら転ぶから、気を付けてね。
あと、絶対に公園から出たら駄目よ」
確かに3歳児の体はうまく体が動かせないときもあり
頭と体のバランスが成人と全然違う
いざという時に動けない。
そんなこと考えていると、母親は
どうやら、ママ友に捕まったようだ。
「本当に、マリナさんところのテツくんは
しっかりしてるわね」
「うちのところなんて、落ち着きなくて
しょっちゅう悪戯してるわよ」
「うちのところもよ、すぐ欲しいものねだるし
いうことなんて全然聞かないもの」
「確かにテツは落ち着きがありますが、
家では、ベッタリで甘えん坊なのよね」
しまった!近所の小学生を参考にしたから、
三歳児には落ち着きがある子どもになってしまった。
今から3歳児っぽく演じると不自然だし、
今更、このキャラをやめるわけには、いかない。
仕方ない三歳の記憶なんて全然ないのだから
このミスは、次にいかせばいい…。
え、甘えてること…金髪巨乳には、勝てないんだよ。
「テツくん、ちゃんと拾って!」
おっと、考え事に没頭し過ぎたようだ。
サクラちゃんに怒られてしまった。
「ごめんね、サクラちゃんはすごいね
もう、そんなに拾ったんだね」
即座に謝り、相手を褒める。
これぞ、社会人の必須スキル、
ある意味チートスキルである。
「ドングリでお城つくるの!」
おっと、三歳児には、まだ効き目が薄いようだ。
しかし、じわじわとこのチートスキルが
歳を重ねるごとに、効き始めるだろう。
俺は、このチートスキルで無双してやる。
あれ?思ってた無双ものと違う…。
「ちょっと、あの女と別れると言ったじゃない!
どういうことよ!」
「いや、これには事情があって…」
「誰よ、この女!説明しなさい!」
どうやら、男女3人の揉め事…いや痴話喧嘩のようだ。
実は、この世界は一夫多妻である。
能力者がたくさん増えることを推奨のためであるのだが、
基本はうちの家みたく一夫一婦である。
審査(催眠術を使用していないかなど)がなかなか厳しいことや
結婚してもトラブルが多く、殺傷沙汰になるケースがほとんどであること、
その為イメージがとても悪い…。
一夫一婦でも揉めたりするのだから当たり前である。
「離れなさいよ、この泥棒猫!」
「離れるのは、あんたのほうよ!
このブス!」
「言ったはね、殺してやる!」
そう言うと、女Aの手から水の玉が出てきた。
「そっちが、その気なら!」
女Bは、バチバチと体に電気を流してる
やばい!これが噂の能力者バトルが始まろうとしている。
初めての能力者バトル(見学)何が起こるか全然わからない…
サクラちゃんを連れて逃げるしかない!
まさか、今日この日俺の能力が目覚めるとは、
近くにいた母親も手を繋いでいるサクラちゃん
そして、俺自身も誰も予想していなかった…。
ナルメアが出ず、爆死