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ヒロイン恋のエピソード

タイトルもサブタイトルも毎回適当です

SIDE サクラ

私、サクラは、幼馴染のテツくんが好きです。

初めはこの気持ちがわからなかった。

何故気付かなかったのだろう?テツくんには、誠実さ、真面目さ、かっこよさ、逞しさ、行動力、積極性、感受性、視野の広さ、人望、清らかさ、聡明さ、独自性、リーダーシップ、冷静さ、几帳面さ、思いやり、率直性、チャレンジ精神、柔軟な思考、反転志向、傾聴力、ユーモアにいいところはたくさんあるのに…。

そしてなにより優しいのである。もちろん私にも優しいが私個人が独占しているわけではないみんなに優しいのです。

私は彼、テツくんを独占したい。


そんなある日、私に能力が開花しました。しかもテツくんと同じ速くなる能力です。

初めはテツくんも「すごい!すごい!」と褒めてくれました。

しかし、次第に私の方が速くなってしまいました。

それでもテツくんは「次は負けない」と言ってくれました。でも知っています。その日からテツくんの走り込みが増えたことに。

それでも、私との差は埋まらず開いている。それからテツくんの優しさの中に私に対して嫉妬がみられるようになりました。普通の人には、わからないけど私にはわかります。だって幼馴染だもん。


テツくんは能力が開花してからずっと修行をしていました。そんな時、最近開花したばっかの子に抜かれたらきっとはらわたが煮えくり返る思いだろう。でも私は嬉しかったです。

彼が嫉妬してくれている。それは、私がテツくんを独占しているようなそんな気分になりました。

テツくんが私を見てくれている。他の誰とも違う私だけの視線、扱い。

そう…テツくんの特別…考えただけで胸が高まりそうでした。


そんなある日


「今度の連休に剣道の試合あるの聞いた?」


「聞いたんですけど、相手知らないですよね」


「相手は俺だぞ」


「そうなんですか、よろしくお願いしますね」


「ああ、試合の時は頼むよ」


テツくんとの試合が決まった。テツくんとは何回も道場で試合をしているが、どちらも本気ではなかったから互いに実力はあまり把握しきれていません。

世間では、テツくんのことを天才ではなく元天才と呼ぶ人がいるみたく、テツくんは評価をすごく気にする人なので、落ち込んでいました。いいところなんて星の数ほどあるのに…。

今回の私との試合で、テツくんはいいところを見せるつもりだと思います。

テツくんは公式試合では負けなしの成績です。何故スカウトがないのか不思議なくらいです。

テツくんのいいところをわからないなんて…。


テツくんの頭の中では、きっと私との試合のことでいっぱいだと思います。

それでも目の前でお話しているので、今は空想の私でなく生の私に意識を向けて欲しく言いました。


「そうだ、テツくん。今度デパートで大道芸の人が来るみたいですよ」


「面白そうだね。一緒に観にいこうか」


「うん、一緒にです。約束ですよ」


その場の思いつきな発言でした。

ただ、テツくんに見て欲しくて、できれば一緒にいたかった。

ただそれだけでした。




「さあ、楽しい大道芸の始まりだよ~」


ピエロの人が愉快に芸をする。

ボールを消したり、出したり。箱に入って消えたり現れたり。

他にもジャグリング、玉乗り、ナイフ投げ、火吹き芸、綱渡りなどサーカスに近い状態でした。

そんな時、ピエロの人が言った。


「みんな見てくれてありがとうね。これは、芸じゃないんだけど能力を披露しようかな。

そこのお二人さん前に出てきて」


ピエロの人に私とテツくんを指名しました。


「じゃあ、僕の手を握ってね」


私たちはピエロの人の手を握りました。すると意識が一瞬飛んだ後、視界が少し高くなり、横には私がいました。


「おー!入れ替わりかすごいな!これがサクラの体か!」


横の私はテツくんのような言葉づかいでした。

そして私は


「これが、テツくんの体…」


憧れのテツくんの体の中に私がいる。

そして、私の中にテツくんがいる。

考えれば考えるほど嬉しい体験だ。


「おい、ピエロ!お前、能力者なのかよ!」


「てめえ、いままでの芸も能力じゃねえのか?」


「金返せ!ついでに慰謝料もだ!」


能力者優先社会であるが、たまにこういう人間がいる。

ひどいレベルになると能力者殺人集団たる組織もある。

こういうやからは鬱陶しいからさっさと片付けるに限る。

せっかく気分が良かったのに。


「てめえ、ガキがなにみてんだよ!」


どうやら、テツくんのなかにいるのが私であるとわかってないようだ。

子どもと思って隙だらけだ、今なら倒せる!

あれ?


「ああん?どうしたんだ?腰でも抜かしてしまったか?」


おかしい、いつもみたいに動けない…。

テツくんの能力も同じ速くなるもののはずなのに…。


「このガキ、ビビッて動けないでやんの!」


「ははは、だっせー」


悔しい…何よりテツくんにいわれてるみたで…。

ごめんね…テツくん…。テツくんの方を見るといない。

あれ?テツくんは?



「お前らの方がだせーよ!」


私の体が鬱陶しい連中に切り込んでいった。一瞬で終わった…。

動きが違った、テツくんが動かしてるから当たり前であるが、その動きが私より格上である。

私の体のはずなのにテツくんは私よりうまく扱ってる…。

やはりテツくんはすごい…そして私はバカだ…。

どこかでテツくんを下にみていた。

テツくんは次の試合で全力で倒しに来るだろう。今のままでは負けてしまう。

そしたら私はテツくんの特別ではなくなってしまう…。

それだけは嫌だ…。

次の試合は勝つ…テツくんの特別であるために…。


SIDE テツ

デパートでちょっとした事件があった。

収穫はあった。


「サクラの能力の弱点はわかった…そして俺のとは明らかに別物だな。

いや、完璧に別の能力だな、あとで肉壁のところでルール確認するか」


元天才は爪は研ぐ。瞬殺姫は牙は研ぐ。

牙を研ぐ 相手を倒そうと準備し待ち構えること


爪を研ぐ 野心を抱いて待ち構えること、用意を怠らず機会を狙う

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