親の心子知らず、知っても理解できず
評価、ブックマークありがとうございます。
されているのをみて奇声をあげて喜びました。
SIDE 黒犬ケン(父親)
私の息子であるテツは変わった子どもである。
産まれた時からほとんど泣かない子どもで、
泣かない理由は妻であるマリナが転落した際に
なんらかの異常がでたのではないかと疑った。
何度か病院で検査を受けたが異常なし。
実際にそういう子どももいるらしく、
それも1つの個性であるとの話である。
また、自閉症などの可能性もあるが、
それは、大きくなってみないと判断できないらしい。
「いいですか、泣かないというのは一見
子どもを育てるのに楽そうに考えられますが、
だからちいってそのまま放っておくと将来的に
うまく感情表現ができない子どもになってしまいます。」
「先生、ではどうすればいいんでしょうか…」
「泣かないからといっても、赤ちゃんは常に愛情を求めています。
抱きしめたり、話しかけたりしてあげてください」
不安に感じることもあったが、一番に不安であるのは妻であり、
妻は転落したことを悔いている。
私たち夫婦対する嫌がらせは、前から続いており、
その為私は、妻の近くにいられる警察へと転職した。
それは、私たち夫婦は元軍に所属しており、
その関係ではないかと思ったが、
ここまで過激的に行動するとは、思わなかった。
私まで不安でいると妻をさらに追い込んでしまう為、
私は慣れない家事など積極的に手伝い、
できる限り育児にも参加した。
そんな不安をよそにテツは、すぐに喋った。
ただ、最初の言葉が
「おっぱい!」
その後、取ってつけたように「パァパ」「マァマ」
と喋った。
明らかに「おっぱい」の発音が段違いにいい。
自閉症ではないな…。
おっぱいに対してかなり執着があり、
乳離れするのには妻を説得したりと大変だった。
その後1月くらいテツには無視されたが…。
その後もすくすくと育った。
「パパ 本読んで」
と、新聞や難しい雑誌を持ってきたり、
「ママ おっぱい吸わせください」
と、土下座していた。
子どもらしくない行動が目立つ。
そしてやはり、おっぱいに対する執着が異常だ。
あと、マリナもおっぱいを出さない。
テレビはニュースを好んでおり、
一人でリモコンを使い、観ていることが多い。
遠くからその光景を眺めていたが、
たまに、独り言のように
「また、ハーレム男が刺されたよwざまあw」
「うわ、オセロあるのかよ…」
「能力者って勝ち組じゃんw」
どこで覚えたのか子どもが話さないような言葉を喋っている。
もしかしたら、何かの異変ではないか診てもらうべきか、
「このケーキ美味しそう…食べたいな…」
……今度ケーキでも買ってきてやるか。
テツが三歳になったある日事件が起きた。
また、襲われたらいけないので外出を控えさせてたが、
もう大丈夫だと思い、近くの公園に妻と息子を送った。
事件があったと連絡を受け、妻を突き落とした事件に
関係あるかと思ったが違った。
どうやら、能力者同士の喧嘩に巻き込まれ妻がその喧嘩を
収めたらしい。
能力者同士の喧嘩なんて珍しくもない。
問題はその後であり、なんと
同い年の子どもを助けようとして、
能力を開花させたそうだ。
その話を聞いた時、成長が早い子どもと思っていたが
ここまで早いとは思わなかった。
能力は両親が能力者でも確実に発現するわけでない。
その後テツはテレビなどで大きく取り上げられた。
大人のように対応や言葉使い、
能力開花のエピソードも良いことから人気が高かった。
人気が高いため3歳児なのに見合いの話などもあり、
ひどい時には、テツを攫おうと者も現れた。
このままでは取り返しのつかないものになると思い、
テツのテレビなどの出演を取り下げた。
テツは「能力が地味だからなぁ…」と呟いていたが、
関係ないので安心してほしい。
テツは能力が開花してからよく走ったりして、
能力を使って遊んでいる。
初めてみるテツの子どもらしい一面である。
「よし、パパが特訓してやるぞ!」
せっかくのテツといっしょに遊べる機会、
テツとボール遊びをした。
テツはボールを能力を使い全力で取りに行く。
妻も近くでその光景を微笑ましく観ている。
とても幸せなひと時だった。
この幸せを守るためにも…。
「テツ」
「何?父さん?」
出来れば、パパと呼んで欲しいが…
「何があってもパパが守ってやるからな」
「???」
この子がすくすくと元気に育つこと、
これ以上の喜びはない。
だからテツ、無茶しないで、
笑って過ごして欲しい。
職場いったら半数近く同僚が休んでいた。
うちの職場何かやばい菌がいるんじゃなかろうか…。