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第70話 いつも通り

過去の話を修正しているのでこっちがおろそかになり更新が遅れます

申し訳ありません

誤字脱字報告をしてくれると嬉しいですが自分で頑張って修正しています('◇')ゞ

いつも通りの日常にいじめが追加されたが、シュウの生活には大きな支障はなかった。クラスメイトとのコミュニケーションが減るだけで何の問題もなかった。暴力に関してもシュウ自身にダメージはなく、見た目だけが痛々しいだけで何もなっていない。異世界から来た故に不良たちの攻撃ではシュウにダメージを与えることはできていない。シュウは不良たちに暴力を振るわれている際に痛がる振りをバレない程度にしていた。無反応だと不自然、大げさにしても不自然なので不良たちの反応を見ながら演技をしていた。そして不良たちの気が済むと離れていく。終わったのを確認して朝比奈泉が手当てをしに来て、自宅に帰った後治療してくれた箇所に貼ってある絆創膏や包帯を取っていく。これが一日の中に新しく追加されたのだ。増えたところで生活には支障はないが、朝比奈泉と絡むことが多くなっていた。



「今日も一段と酷い」

「そうなのか、自分じゃわからないな」

「………坂本」

「何だ」

「何で抵抗しない、普通なら止めてと言う

でも坂本が言っているところを見たことがない

弱みでも握られてる?」

「そういうわけではないが」

「なら何故?」

「俺が止めるように言ったところで止まるとは思えない

それに言って止めたら別の奴がターゲットのなるだろ

なら今は俺一人が犠牲になればいい」

「…………」



シュウは不良たちから暴力を受けても抵抗しなかった。それに理由はなく、抵抗しないことをいいことに不良たちは好き放題シュウを痛めつけていた。彼らにとってはストレス発散であり、彼らから見ればシュウは奴隷に近い。何故このようなことをするのか、朝比奈泉は心配だった。その様子を見てシュウは朝比奈泉には理由を少し話すが、他の人が聞けば「カッコつけんな」と言いたくなる。だが朝比奈泉は何も言わなかった。そして体の汚れを拭きながらいつも通り朝比奈泉が保健室から借りてきた救急箱を持って来て治療をする。普段口数の少ない二人がこうして話しているのはシュウと朝比奈泉のクラスの担任が見たら感動する程に貴重な場面であるが、近くに人の気配を感じると二人は口を閉ざすのでその場面を目撃した人はいなかった。



「私は………坂本がそう考えるなら止めはしない

でも限界が来たらいつでも私に助けを求めると良い」

「そうか、それは助かる」



殆ど無表情のまま話している二人の感情を読み取るのは至難の業である。シュウの幼馴染はある程度感情を読み取れることはできる。しかし他の人が見たら見分けがつかない。朝比奈泉も同じだった。感情がある程度わかるのは両親であり、友人や陰のファンクラブは全くわかっていなかった。二人は感情を表には出していないが、普通の人ならば楽しそうに話している場面であるのだ。しかしどう見ても二人から同じ感情を読み取ることはできない。それでも話している本人たちは似た者同士であるので、相手の気持ちがわかっていた。



「坂本……無理しすぎないように」

「あぁ」

「それじゃあ」

「…………朝比奈」

「何?」

「お前も困ったときには俺に言え

助けられるだけじゃ後味が悪いからな」

「うん、その時はよろしく」



朝比奈泉が誰にも見られないようにシュウから離れていくと、関節を鳴らしながら立ち上が帰路に就く。そしていつもと同じように一日を終える。何も変わらない詰まらない生活だった。


翌日、またいつもと同じ一日を迎えて同じ様に一日を終える。その筈だった。しかしこの日はいつも通りとはかけ離れた一日を終えることとなる。朝起きて、顔を洗い、部屋の掃除をしてから朝食を食べ、制服に着替え、登校する。いつもと変わらない日常だった。そして朝のホームルームを迎える前、教室に入ると



「坂本~~!!また学校に来たん!?」

「来るなって言ったろ~?懲りないなお前!!何だよ?また痛い目にあいたいのか?」

「男子やめなよ~!!坂本がかわいそうだよ」

「はぁ?お前が言うか?散々坂本の悪口を言っていたやつが」



他の日と同じように登校して、いつも通り教室に入ると不良たちから暴力を受け、汚れた机が目の前にある。いつも通り、不良たちが絡み、他の者は見て見ぬふりをしていた。ここまではいつも通りであったが、クラスの担任が教室内に入ると全員が席に着き、担任が教壇に立つ。この日もクラスの担任が軽い挨拶をして終わる筈だった。

何の前触れもなく、教室の地面に大きな円形の魔法陣が浮かび上がり発光し始めると地面に視線を向けた生徒が絶叫した。そしてその悲鳴は次々へと伝染していき、教室内では煩いくらいに騒ぎ始めた。このどうすればわからない事態に生徒たちは慌てると担任が落ち着くように叫ぶが、生徒たちは必死になって教室から出ようする。何とか脱出しようと扉を開こうとしたり、窓を割ろうとしたが、扉は開かず窓は割れない。生徒たちと担任は完全に教室に閉じ込められていた。教室内で生徒たちが騒ぐなか冷静だったのがシュウと朝比奈泉だったが朝比奈泉は表に出ていないだけで混乱していた。シュウはと言うと



(あの時と同じ、召喚の魔法陣……

また勇者召喚か)



冷静だった。

元々異世界から来たシュウは魔法の並の知識があり、それが召喚魔法であると気づく。そして異世界からこちらの世界に送った魔法陣と同じであり、歩むべき人生を狂わせた魔法陣。シュウはこちらの世界では向けることのなかった冷たい視線を魔法陣に向けていた。そして小さな声で呟く



「借り……思ったより早く返せそうだな」



魔法陣から放たれた光は教室を包み込むと、クラス全員と担任である女の教師が姿を消した。異世界に召喚された彼らは「魔王を倒し、世界を救ってほしい」と国の王は必ず懇願すると彼らは必ず了承する。彼らは魔王を倒すために動く。召喚されてからの流れは決まっていた。誰も流れに逆らわず、間違った方向へ進んでいく。その先には破滅しかなくても、何も知らない彼らは運命に逆らわずに進むしかなかった。その中で決められた運命と違った方向へ進んだ者がおり、異世界で唯一の正解の道へ進んだのはシュウともう一人だけだった。その時、自分が選んだ選択が正解を選んだシュウともう一人はまだ知らない。


この日、ある学校のクラスが消えたことはテレビのニュースとなり、騒ぎとなった。

まだまだ続きますよぉ!!

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